42.超悪い子軍団と監査
丁京都フリーヶ丘。
住みたい街ランキング常連・スイーツの聖地として知られるこの街には──
今日も恐ろしい(?)悪の組織が存在していた。
そして、なにより恐ろしい監査が行われようとしていた。
行政回です。
「アレプトちゃん、今年の監査員、なかなか厄介だよ」
(無理矢理)アフタヌーンティーに誘われたアレプトは、ブランの一言を聞き逃さなかった。
「悪事にかける費用より服にかける費用の方が高いと指摘されてね」
「それは当然の反応じゃない?」
「そこなんだけど、あいつ、別案を出してきたんだ」
「無理矢理双子玉川の人間にロリィタを着せれば予算は問題ないって!」
「そんな抜け穴みたいなこと……」
「とにかく、気をつけろアレプト。君のところはただでさえ厄介なんだ。肝に銘じておけよ」
そんな会話をしたのが数日前。
「こんにちは、今年世知谷区の悪の組織の監査員を務めます清水そそぐと申します。よろしくお願いします」
来たのは人畜無害そうな女だった。
「まず確認したいのですが、この異様な入金はなんでしょうか……?」
「ああ、それは──」
「私から説明します!」
ソファーの下から榛名が出てくる。
「いつからいたんですかぁ?!」
「それはそれはブエル様がいらっしゃる時からずっと」
「キモいよお前……」
「それは私個人の財産です。パトロンとして投資したものになります」
「なるほど、違法で手に入れた金ではないと。では譲渡金はこちらになりますのでアレプトさん、入金のほどよろしくお願いします」
「ええ、わかったわ」
(なによあの二人、散々脅してきて。ただの小娘じゃない)
「ああ、でもそうですね……譲渡金を払わなくて済む方法があります」
「え?」
「このお金をブエルさんが悪事の一環としてぼったくりのレンタル彼氏を行ったということにすればいいんです。そうすれば辻褄が合います」
「……あんた自分が何を言ってるか理解してる?」
「はい?私は監査官ではありますが、皆さんへの還元を考えて行動しています!」
……厄介というのはこういうことか。アレプトは頭を抱える。
何故中立の立場であるべき監査官が悪事を提案しているのか。アレプトには理解できなかった。
「……あんた、元悪の組織だったりする?」
「いえ?新卒二年目です!」
「あんたがやるべき仕事は確実に監査官じゃなくて悪の組織よ」
「よくわかりませんが褒め言葉として受け取っておきますね!悪事の範囲内でしたらいくらでも暴れてもらって構いませんので!」
「あの〜、僕の発明なんですけど、ご覧の通り赤字ですがそこの補填はしていただけるのでしょうか?」
グシオンが声を上げる。
「ええと……ああ、これですね。ものはありますか?」
「はい、これで全部です」
グシオンがガラクタ……もとい発明品を出すと清水は銃を取り出す。そして発明品を再起不能なまでに叩き潰した。
「僕の……発明品が……!」
「これは処女機構が使っている電子銃になります。これで処女機構に壊されたことにして赤字を回収しましょう!」
明るく言う彼女とは裏腹にグシオンは崩れ落ちている。
「……ずっと言いたいことがあったのだが」
「どうしました、オティスさん?」
「貴様のその長髪……長さが私と被っている」
「ああ、そういえばお揃いですね」
「っ……!許せん」
「ちょっとオティス、監査官を敵に回すのは──」
「わかりました!」
そう清水は言うと髪を肩あたりでナイフでバッサリ切る。
「これでどうでしょう!私の仕事は悪の組織のみなさんに気持ちよく仕事をしていただくことなので!」
「……理解できないわ」
しばらくして監査が終わると、清水は帰っていく。
アジトには疲れ切った四人とブエルにベタベタしている榛名だけが残った。
「……しばらく審査は、懲り懲りね……」
そもそも悪の組織の監査ってなんなんでしょうね。
監査官が一番危険人物だった気がしますが、気のせいでしょう。
清水も、ままならない女です。
次回もお楽しみに!




