閑話休題3.バロックと取り戻したもの
丁京都フリーヶ丘。
住みたい街ランキング常連・スイーツの聖地として知られるこの街には──
今日も恐ろしい(?)悪の組織が存在していた。
そして、一人刑務所で服役する男がいた。
バロックの後日談です。
水が一定で落ちるリズムは、岩をちょっとずつ削っているみたいで心地が良い。
拘束されながら、こんなことを思う。
師匠の刀として彫刻刀を奮っているつもりだった。
師匠の代弁者として作品を作り上げているつもりだった。
でも師匠は違かった。俺の腕を道具として使っていただけだったんだ。
「クソッ……」
独房は狭く、拘束をされている。初日に暴れたのがいけなかったか。
禁固刑五年。
その間、俺は作品を作ることができない。
こんなにも、頭の中は作品を作ることで一杯なのに━━!
気が狂いそうだ。でも騒いだら拘束が厳重になるだけだ。
だから、俺は━━
「刑務官さんよぉ」
「粘土を触らせてくれ」
こねる、固める、やり直し。
彫刻と違って自分でこねるのが面倒だ。だが、なぜか清々しい気持ちでいた。
……数年ぶりに自分だけの作品を作った気がする。
出来上がった粘土は不細工で、ガタガタで、小学生が作ったみたいに不恰好だった。
でも、それだけで十分だった。
また、一からやり直そうと思えるのには。
救いか、現実逃避か。
全ては彼のみぞ知る。
ですが、清々しい顔にはなったんじゃないでしょうか。




