34.ハマリエルと敵情視察
丁京都フリーヶ丘。
住みたい街ランキング常連・スイーツの聖地として知られるこの街には──
今日も恐ろしい(?)悪の組織が存在していた。
一方、正義の味方ハマリエルは、
超悪い子軍団お手製の乙女ゲームをプレイしていた。
「何をしているんだこの正義の味方は」と思った方。
──これは敵情視察です。
彼女の(大変な)敵情視察をお楽しみください。
「これは敵情視察なんだから……!」
ハマリエルの前の画面には「ときめき世界征服」というゲームが表示されていた。
聡明な読者の皆様なら察しがつくであろう。これは超悪い子軍団が資金繰りのために開発した乙女ゲームである。Strom限定販売、値段は1000円。ちなみに評価は「非常によくない」がほとんどである。
「相手の心情を理解できれば対策だってできるんだから……!」
そう言い画面の「New Game」をクリックする。
ちなみにハマリエルはゴリゴリの乙女ゲーマーである。
今日から私は超悪い子軍団に入団することになった。緊張するなあ……!
「そういう流れなのね。ふぅん……」
ハマリエルは画面をクリックする。
アレプト「あんたが新人ね!まずは意気込みを聞かせなさい!
▶︎がんばります
▶︎信条を言う
▶︎初任給はいくらですか
「これは……信条を言うが一番好感度高いでしょうね」
▶︎自分の悪の美学を言う
▶︎世界をめちゃくちゃにしたい
▶︎アレプト様に忠誠を誓います
「まだ選択肢あるの?!うーん、あいつら、やってることがめちゃくちゃだもん……世界をめちゃくちゃにしたいでいいかな……」
アレプト「そういう破壊主義者はお断りよ。帰りなさい」
〜BAD END〜
「なんで?!理不尽すぎない?!なんなの?!」
思わずマウスを放り投げそうになるが抑える。もしかしてこれはクソゲーでは……?
「いや、そうと決まったわけじゃないわ!全クリしないと評価ってできないし……」
アレプト「忠誠を誓うだけなら言葉だけでできるのよ!」
〜BAD END〜
オティス「その美学は私と被っている、切り捨て御免……!」
〜DEAD END〜
グシオン「がんばるだけだったら誰でもできますよ」
〜BAD END〜
「なんで初手初任給が正解なのよ!」
ハマリエルは思わず台パンをしてしまいそうになる。ダメだ。MOBAより理不尽だ。そう思う。
アレプト「正直なのは嫌いじゃないわ!じゃあまず入団テストよ!ご飯を作りなさい!」
そうして始まったのは料理制作のミニゲーム。タイピングをして料理を作っていく形式なのだが、異様に入力時間が短い。
なぜならグシオンの入力速度がデフォルトになっているからだ。
ブエル「食材を台無しにするのはダメだと思うよ」
〜BAD END〜
「なんなのよ、もう!」
キーボードを投げたくなる。数十回試したところで合格となった。
「これで、やっと攻略開始……」
そう思いセーブをしようとセーブ画面を開く。
「……なんでセーブデータ一個しか保存できないのよ!」
そんな叫びが、フリーヶ丘に響いた。
「そういえばあのゲーム、売り上げどうなの?」
「順調ですね、評判は最悪ですが!」
クソゲーを作らせれば天下一品。
セーブデータが一つしかないのは、さすがに酷い仕様ですね。
敵情視察というのは、いつも大変なものなのです。
そして本日は、この回に加えて最終話も更新しています。
ぜひ最後までお付き合いください。




