32話 孤高の星は、夜を越えられない③
怪異の圧倒的な力の前に、完全に無力化されてしまった少女たち。
静まり返った夜の倉庫街には、彼女たちの荒く乱れた呼吸と、ドロドロと不気味に蠢く触手の粘着質な摩擦音だけが、淫らに響き渡っていた。
コンテナの頂から、ニブラの少年が静かに、滑るように地へと降り立つ。
月明かりに照らされたその表情は、まるでお気に入りのおもちゃを前にした子供のように、無邪気で、そして底の知れない残虐性に満ち溢れていた。
『あはは、本当に誰も動けないんだね。あんなに威勢がよかったのに、今はみんな、おもちゃみたいに床に転がっちゃってさ。……さて、どこから壊してあげようかな?』
少年は愉悦に肩を揺らしながら、まずは四肢を大の字に広げるようにして宙へ吊るし上げられているエヴァへと歩み寄った。
身悶えするたびに、黒い触手は彼女の豊かな胸の膨らみや、引き締まったウエストの曲線に容赦なく食い込んでいく。
衣服の生地が悲鳴を上げるように引き絞られ、肉体の艶やかなラインが卑猥なほど克明に浮かび上がっていた。
「くっ……ん、あ……っ……! は、離しなさい……っ」
エヴァが恥辱に頬を朱に染め、涙目のまま少年を強く睨みつける。
しかし、その必死の抵抗さえも少年の嗜虐心をさらに煽るだけだった。
少年が楽しげに指先をひねると、四肢を拘束する触手から、微弱な負の魔力がエヴァの体内へと直接流し込まれる。
「あ、あんっ……! んぅ……っ、は、あぁ……っ!」
背筋を直接駆け上がるような、ドロリとした未知の快感とゾクゾクとする感覚。
エヴァは小さく背中を反らせ、切なげな吐息を漏らして一気に脱力してしまった。
抵抗の意志を削ぎ落とされた彼女の肉体は、ただ触手の気まぐれな愛撫を受けるように、宙で無防備に揺れることしかできない。
『お姉さん、見た目に反してすごくいい声で鳴くんだね。やっぱり、普段は強がっている魔法少女が、こうやって陵辱されていく姿って最高の見せ物だよねぇ』
少年はクスクスと不快な笑い声を残しながら、今度は地面に倒れ伏す陽菜へと視線を移した。
激しい戦闘の衝撃によって、彼女のクールなイメージを象徴していた魔装の衣装は無残に切り裂かれていた。
露わになった白く滑らかな太ももや、普段の制服姿では決して見せることのない、少女らしい柔らかな素肌が夜風に晒されている。
「……っ、こっちを、見るな……!」
陽菜は乱れた髪の隙間から少年を鋭く睨みつけ、這いつくばったまま後退しようとする。
だが、それを嘲笑うかのように容赦なく伸びた細い触手が、彼女の細い足首をキュッと締め付け、強引に引き戻した。
「ひゃあうっ……!? んんっ、あ……っ!」
コンクリートの上を引きずられ、摩擦でさらに衣服がはだけていく。
陽菜は恥ずかしさと屈辱に顔を真っ赤に染め、せめてもの抵抗として自身の胸元を隠そうとするが、別の触手が容赦なくその両手首を捕らえ、地面へと縫い止めてしまった。
完全に無防備な姿勢で固定され、陽菜のいつものクールな仮面は跡形もなく崩壊する。
抵抗しようと身をよじるたびに、肌に擦れるコンクリートの冷たさと触手のぬめりが混ざり合い、ただただ荒い呼吸を繰り返すことしかできなかった。
『あはは、そんなに赤くなって可愛いなぁ。冷たい陽菜ちゃんがこんな風になっちゃうなんてね。……さて、それじゃあ最後は……今夜のメインディッシュの番だね』
少年がゆっくりと、月菜の前に重々しい影を落とす。
強制解除された彼女の私服はボロボロに破け、華奢な鎖骨や、少女特有の未成熟で白いお腹が大胆に露出していた。
今まで負の感情を露わにしなかった月菜は潤んだ瞳で少年を見上げ、恐怖に怯えながら必死に後ろへ下がろうとするが、その身体にはもう指先ひとつ動かせるほどの力すら残されていない。
『ねぇ、月菜。お兄ちゃんとの大好きな日常も、明日迎えるはずだった温かい誕生日も、全部僕がめちゃくちゃにしてあげる。……まずは、その可愛い身体からじっくりと絶望を教えてあげるよ』
少年の背後から、ぬるりと濡れた数本の触手が、月菜の無防備な素肌へと向かってじわじわと迫っていく。
太ももの内側や、細い腰回りへと這い寄る不快な感触に、月菜は恐怖と羞恥で身体を限界まで強張らせた。
「嫌……っ、触らないで……っ! お兄ちゃん……っ、助けて……っ!!」
少女の必死の拒絶を無視して、衣服の隙間から滑り込んできた粘着質な触手は、まるで肌を愛撫するようにゆっくりと這い上がっていく。
滑らかな素肌の上を、冷たくて温かいドロドロとした感触が移動するたび、月菜の口からは耐えきれない悲鳴と、苦悶混じりの艶っぽい吐息が漏れ出した。
触手は容赦なく少女たちのデリケートな境界線を侵食していく。衣服をさらに引き裂き、彼女たちが必死に隠そうとする秘所へと容赦なく魔の手を伸ばしていく。
エヴァは宙で締め付けられながら身を震わせ、陽菜は地面に縫い止められたまま絶頂に近い快感の波に抗おうと涙を流し、月菜は迫り来る怪異の手によって、身体を隅々まで汚されていく。
静まり返った夜の倉庫街には、怪物の卑猥な粘着音と、完全に無力化された魔法少女たちの甘く切ない悲鳴だけが、終わりなく木霊していた。明日という光が訪れる前に、彼女たちは怪物の腕の中で、底知れない快楽と絶望の渦へと深く、深く呑み込まれていくーー
「……Haah, ungh…… It can't be helped, then……(……はぁ、んっ……なら、仕方がない……)」
ーーーはずであった。




