三十三話 ロールキャベツの肉は…
「よーい、ドン」
夜乃が言う。
家の近くに銀杏の木がある、そこは通学路として通っている。
最近銀杏の木から家まで急いでどっちの方が早いか競争をしている。
そして先に家に着いた方が話をできる。
今まで夜乃に譲っていたが今日は話したいことがあるから少し走ろう。
そして圧倒的な差で俺が勝つ。
「ただいま」
「おかえり」
「鉄冶、早いよ〜」
「今日は話したいことがあるから」
「え!なに?!」
「夜乃が期待していることではないぞ、文化祭のことだ」
「ええ、まぁ、わかった」
夜乃と俺はリビングに向かう。
夜乃は荷物をテーブルの上に置き、ソファーに座る。
「実はさ、メニューなんだけどね」
「うんうん」
「カレー、唐揚げ、ロールキャベツに関しては俺だけで作らさせて」
「え?、どういうこと?」
カレーには蛇の肉、唐揚げにはあれ、ロールキャベツは猪の肉を使う予定だ。
ロールキャベツに関しては話していいだろう。
「ロールキャベツの肉は猪で行こうかなと思っています」
「みんな気になるね、でも生徒会に予算の提出はどうするの?」
「猪は大丈夫だよ、カレーの肉や唐揚げは俺が準備するんだ」
「わかったわ、それにしても鉄冶はわざと帰るときに「は…い」って言ったよね」
「うん、そうだけど不自然だった?」
「自然だったよ、コミュ症かなぐらいで」
「そうか、良かった」
俺が陰キャを演じているのは研信達の行動を確認するため。
ゲームはもうスタートしているのだから、毎日確認した方がいい。
今日、研信は文化祭実行委員会だけの集会に行っているはず。
誰のルートに入るんだろう。
だが今はわからない、修学旅行前ぐらいで確定ができるはずだ。
「鉄冶はどうして手を出してこないの?」
上目遣いで俺を見てくる。
我慢。
「毎日、同じ質問しているな、まだ出さない」
「毎日、その回答飽きない?」
「全然」
「私も全然飽きないよ」
俺と夜乃は笑っているのだった。




