董卓顔の俺氏。貴族どもと交流す
ソフィアが王立カタルニオチタン学園に通い始めて1週間が経つ。
俺はHランクからGランクに昇進し、適当に冒険者ギルドのクエストをこなしている。
だがそれは逐次として進んでいない。
なぜなら、事あるごとにソフィアの学園に入り浸っていたからだ。
お昼休み、いる場所は保健室。
ソフィアはめでたく保健委員に選ばれたため、いわば保健室を占拠している状態である。
治癒魔術の使える存在はどうやらソフィアだけらしい。
俺とアリスはそんなソフィアの護衛として保健室にいた。
俺がいる必要はあまりなさそうだが。
部屋には清潔な白のベットが2つ。青い薄いカーテンがそれを覆う。
そして灰色の机と丸椅子があるだけの簡素な部屋だ。
机の上にはさまざまな書類が置いていある。
上質の紙だ。カルテかなにかだろうか。
「あー。保健の先生とかはいないのか?」
「保健の先生はいつもは教員室だねぇ。ここにいると疲れるからってぇ」
あぁ、それはなんとなく分かる。
ひっきりなしに、バカどもがくるからだ。
「おぉソフィア。あなたのエクリチュィアが来ましたぞー」
メンズ用の紺ブレザーという制服を来ているのが、この国の青年貴族である。
少女漫画であれば背中に花をしょっているイラストになりそうなほどのイケメンだ。
ただし、「喋らなければ」という前提が付くが。
お貴族様であればワイングラスとか持っていれば完璧なのだが、そこは学校。そんなものはない。
「エクリチュィアさまぁ、今日はどうされたのですかぁ?」
対するソフィアはのんきに答える。
「うむ。今日は戦闘訓練をしていたら頭を怪我してだな――」
なるほど。
さすがに頭をやられたのであれば仕方がない。
ちなみに、彼にはすでに婚約者がいる。
こうやって他の女に手を出して婚約破棄でも狙っているのだろうか。
もう、ここまでくるとわざととしか思えない。
「さすがはぁ騎士団長の息子さまですわねぇ。戦闘訓練で頭をやられるなんてぇ~」
そう言いながらもソフィアはこのエクリチュィアという男の前に手を翳す。
「痛いの痛いのとんでいけー」
……
…………
………………
シーン。
反応はない。
普通、そんなので呪文は発動したりはしない。
さすがにあざとすぎないかね。ソフィアさん。
「いや、それだけかね?」
「ん~。本当に怪我していて危ないなら治癒するけどぉ。男の子だものぉ。そのくらい我慢しなさぁい」
「あ、はい」
見たところ怪我らしい怪我は俺にも無いように見える。
どことなくソフィアが非難するような目になっていることに気づいたようで、エクリチュィアは動揺していた。
「それともぉ。エクリチュィアさまは私と付き合ってくれるのぉ?」
ソフィアはヒモを取り出した。長さはかなりある。
ヒモは最近のソフィアのお気に入りだ。
ソフィアはいま、あのスキルの練習をしているところなのだ。
「いやいや、さすがにあれば――」
エクリチュィアはそのお付き合いの正体を知っているのか、すごすごと引き下がり帰っていった。
ちなみにスキルを発動すると、人はこんな(↓)感じになる。
〇 ← 天井の柱
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| ← ヒモ [ぷらんぷらんする]
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+--+
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〇┻━┛ ← ヒト[ホモサピエンス]
そのソフィアとのお付き合いは、一部の、ほんとうにごく一部の生徒には人気があった。
俺はこの国の未来は本当に大丈夫かと真剣に思った――
天気は快晴でそろそろセミの音が聞こえそうな季節だ。




