↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/9

からかう

「さあ、選べ」俺は翠天弥音を掲げ、彼に突きつけた。「俺によって即座に殺されるか、俺に従うか」

俺は自分のことが大嫌いだ。


いつも一人で、社交界は狭く、友達なんてほとんどいない。性格は冷静すぎて無感情に近く、異性との関わりも少ない。人に尽くすことは好きだけど、見返りも求めていた──心を込めて接しても、何も得られない。


俺は決断力があり、好き嫌いがはっきりしていて、感情の表し方は単調だ。自分にも他人にもそれほど要求しないが、相手の気持ちだけは異常に気にする。


同じように返してくれると、俺は望んでいた。


だから、俺はお前を選んだ。徐敏芊。


――1月3日、22:00


ミカエルからメッセージが届いた。


「黒濁塵様へ」

「明日の午後、晶骸蟻王を攻撃します。あなたに召集リーダーを務めていただきます。団長からの命令です。」

「あなたを絶対的に信頼するミカエルより」


「ふざけるな」

メッセージを見て、俺の口元が冷たく捲れ上がった。「召集の責任者に俺を据えるとは……」


「計画が乱れちゃったね」徐敏芊が寄り添ってきた。「どうするの?」


「じゃあ、演技に付き合ってくれ」俺は彼女を見た。「いいか?」


彼女はただ頷いた。あまりに早く、まるで毛むくじゃらの小動物のように。


頭を撫でたいと思ったが、やめた。


1月4日、午前8時


冒険者協会の中、ピンク髪の少女が現れただけで騒ぎになった。


「身長168cm、体重45kg……きっとBカップだ」

「お前、変態か?」

「そうだよ」


俺は人垣の外に立ち、くだらないささやきを聞いていた。


発情した雌犬どもめ。


俺は黒濁塥として姿を現した。


「あいつ、気味が悪い」赤髪の青年が仲間に囁いた。


「でも、安心感があるよ。一緒に組まない?」女たちが話し合っていた。


安心感……か、気味が悪い……か。


真逆の評価が、同時に俺に向けられていた。


これが人間だ。統一など不可能で、矛盾だらけ。


そして、その隙間こそが、俺が利用する場所だ。


黒濁塥と徐敏芊はミカエルを見た。視線だけで、互いの意図を汲み取った。


「まずこうして、次にこう」俺は徐敏芊に言った。


「あ?」


「こうして、それからああする。分かった?」


「は?」


「いや、つまり……こういうことだ」


「何言ってんの?」

「Oh, shit, fuck you」


すぐに、俺たちの口論が人々を引き寄せた。


「だから! どうすれば天馬ギルドに入れるの?」

「そうするって言ってるだろ!」

「それがどういうことなのよ!」


彼女がすっかり演技に夢中になっているのが分かった。俺は手を叩いて、くだらない演技を終わらせた。


すると、すぐに男が出てきた。


「私に任せればいいのに、可愛い嬢ちゃん」


「誰?」


「天馬ギルド、第十三席、汐月だ」


「知らない」


汐月は真っ赤になった。だが、本性は悪くないことは見れば分かった。


「私も天馬ギルドだ」俺は言った。「何か言いたいことは?」


「私たちのギルドは、世界で一番優しくて、平和なギルドです!」汐月は大きな声で宣言した。「みんな、登録して!」


俺はもう演技をやめた。「天馬ギルドに入りたい者は、誰でも応募しろ。ただし、団長の試験を受けろ」


「ひどい! 嫌がらせだ!」汐月はまだ演技をしていた。


本当に、手間がかかるやつだ。


「違う」俺は淡く言った。「ただ、お前が足りないだけだ。権力があるからといって、好き放題するな。このギルドは、私情で動かない」


人々はざわめいた。


そして、すぐに俺の元に応募が殺到した。


演技終了後、徐敏芊が嬉しそうに言った。「大成功だよ!」


「当然だ」俺は言った。「天馬ギルドの最大の強みは公平さ。それをアピールすれば、必ず人は集まる」


「これからどうするの?」


俺はただ、彼女を見つめていた。


笑ってはいるが、ヘルメット越しなので彼女には見えない。なのに、彼女は笑い返してくる。


俺は少し嬉しくて、少し意外だった。


その後、黒濁塥は大きな声で宣言した。


「午後三時、天馬ギルドは蟻迷宮のボス、晶骸蟻王を討伐する! 報酬は功績ごとに公平に分配する! 参加したい者は集まれ!」


「質問です!」プレイヤーが立ち上がった。


「どうぞ」


「天馬ギルドは、本当に約束を守るのですか? インナープレイヤーを使って、私たちを騙そうとしているんじゃないですか?」


「団長クリスティーン・フォンは、絶対に公平な男だ」


「なら、団長を見せてください!」


他のプレイヤーも一斉に同調した。


ミカエルが団長に連絡すると、返事が来た。


「分かっていた。今から向かう」


ミカエルは俺に、もう少し待つように合図した。


「は?」


「ハハハハ!」扉が勢いよく開いた。「俺こそが団長、クリスティーン・フォンだ!」


彼は周囲を見渡し、力強く宣言した。「俺はインナープレイヤーだ。ボスの情報はすべて把握している。ここに契約書を用意した。いつでも撤退できる」


長い時間をかけ、召集はついに完了した。


いよいよ、ボス戦だ。


だが――


「ピピーン!」


システムパネルが強制的に表示された。


【緊急通知】

【凶険種・魔猿(毒)を至急討伐せよ。さもなければ全員死亡】

【報酬:任意の橙武器】


皆、恐怖に顔を凍らせた。外からは、すでに凶暴な気配が伝わってくる。


巨大な紫がかった白猿が、人々の前に現れた。

狂ったように襲いかかり、腕には巨大な角質の刃が生えている。硬く、鋭い。


クリスティーンは、全員に散るように指示した。


「みんな、攻撃開始!」


――


「ふふ……必死だな」


俺は壁の陰に立っていた。ここなら、彼らと魔猿の戦いがまるごと見える。


実に面白い。


「黒濁塥様は、どこにいるのだ?」ミカエルが焦っていた。


三時間前に遡る――


俺は分身に黒造主を持たせ、自分の姿に偽装させて送り出した。


黒造主を持つ黒泥の兵は、俺の分身として動く。つまり、俺はずっとここにいた――ただ、意識だけで。


その間に、俺はあらゆる場所に行った。


カジノ、闘技場、闘獄場、迷宮……


最後に、巨大なテントでできた奴隷市場に辿り着いた。


暗くて、誰もいない。主は、まだ来ていないようだ。


「ふふ、何を買いに来たの?」


「余計なことは言うな。強くて、使いやすく、操りやすいものを出せ」


「直接的で、いいわ!」女主人は手を叩いた。「これをお勧めするわ!」


彼女は巨大な檻の布を剥いだ。中には、紫色に輝く巨猿がいた。


「凶険種・魔猿よ!」彼女は得意げだ。「王国から500金貨で買ったの。勇者様のために用意したの!」


「ハハハ」

「ハハハハハ」


「他には?」


彼女は次々と紹介してくる。


俺は恐怖種・恐狼、爬行種・齧歯獣、飛行種・白頂隼……を選んだ。


「ふふ、全部で5金貨550銀貨33銅23ベルだわ。 まとめて5金貨550銀貨にしてあげる」


「なぜ、金を払う必要がある?」俺は淡く言った。


「品が良さそうに見えて、強奪するつもりだったのね!」彼女は顔色を変えた。「魔猿、出せ!」


魔猿の首輪と鎖から魔力が流れ、凶暴に俺を襲わせる。


俺は黒泥でまともに受け止め、隙に翠天弥音で首輪を斬った。


魔猿は一瞬、呆然とし、その直後、女主人に襲いかかった。


だが彼女は指輪の力で紫色の光に包まれ、逃亡した。


「転移の指輪か……」消える光を見ながら、俺はつぶやいた。「ドラマなら、遺言を言うところだが。まあ、どうせ俺はすぐに殺すが」


俺は再び魔猿と見つめ合った。


彼はしばらく止まり、そして勢いよく街へ走り去った。


これが、計画の一歩目だ。


俺はサーカスのテントのような店を出て、計画通り、最高の観覧席に着いた。


星痕広場の、誰も気にしない小さな台の上だ。


ただ、魔猿の劇を待てばいい。


別の視点――


徐敏芊は、紫色の巨猿が人を捕食しているのを見て、肝を潰した。

すぐに、自分の方に来る気配がした。


魔猿は人間の血を吸うのが好きだ。人の血には魔素が豊富に含まれているから。


彼女は、ここを離れる機会をうかがった。


ミカエルは黒濁塥がいないことに気づき、徐敏芊に尋ねた。


「黒濁塥様を、見なかったか?」


「見てない……」彼女は平常心を装った。「早く逃げよう。殺されたり、干からびになりたくない」


「君の選択は尊重する。だが、もっと多くの人が死ぬ前に、手を貸してくれないか?」


「ゆるせない」徐敏芊は首を振った。「私は自分の命が一番大事。だけど、あとで後方で治療するわ」


「ありがとう! 俺は団長と共に戦う!」


なぜか、嘘をついた自分が情けなくて、むなしい後悔が込み上げた。


だが、今は本当の黒濁塥と合流することが最優先だ。


戦場で、ミカエルは幸運にも「黒濁塥」と再会した。交渉の後、クリスティーンと共に作戦を立てた。


作戦が実行された。


魔猿の周りは、冒険者たちで囲まれた。最初は魔法で攻撃したが、白い毛にはほとんど効かない。


それで、魔猿は怒った。


人間に囚われ、今度は討伐される。

もう、人間なんて憎くてたまらない。

今は、感情をぶつける時だ。


魔猿は跳び上がり、紫色のエネルギー砲を吐き出した。


建物が崩れ、ほこりの中、プレイヤーは腕の刃で一瞬にして薙ぎ倒された。風魔法で視界を回復し、戦士が襲いかかる。


天馬ギルドは作戦を練っていた。


クリスティーンは、黒濁塥とミカエルを先鋒に任せた。黒濁塥を信頼しているから。ミカエルはただの補助だ。騎士だから。他は、他ギルドに取られないように、機を待つ。


「黒濁塥」は頷き、突撃した。


皆の視線が、一斉に集まった。


彼はすばやく滑り込み、拳を躱し、闇夜の歌劇で魔猿を縛り上げ、三段階の近戦髑髏兵を召喚して共に戦った。


だが、魔猿は強烈な魔力波を放出し、すべてを無効化した。

「黒濁塥」は隙をつかれ、硬直してしまった。


魔猿の強撃が、彼を一撃でふっとばした。


「黒濁塥」は五軒の建物を貫き、廃墟の中に消えた。


プレイヤーたちは恐怖に動けなくなり、逃げ出す者続出。

だが魔猿は許さず、すぐに魔力を回復した。


この時、各ギルドは本気の戦力を出した。


赤竜ギルド、黄金ギルド、九色鹿ギルド、フェニックスギルド、鳴水ギルド、そして天馬ギルドの団長たちが、本気の包囲網を組んだ。


「天木くんたち、動き出したみたい」徐敏芊は囁いた。


「そうだな」黒濁塥の分身が彼女の元に来て、黒造主を渡した。「俺が離れたら、彼らは本気を出した」


「ありがとう」徐敏芊は黒造主を受け取った。


「このまま、芝居を見続けよう」


魔猿は、多くの戦士に囲まれて、だんだん苦しくなっていた。


だが、回復力が異常。

傷はすぐに消え、魔力も底がない。


やがて、隙をついて陣形を崩し、後衛を次々と倒していく。


まずいと思った小ギルドの団長は、逃げ出そうとした。


巨大な紫色の体が、行く手を阻んだ。


「きゃあ!」男は崩れ落ち、ただ逃げようとした。


「嘘だ、死にたくない! 故郷に帰りたい、夢を叶えたい……」


「バシャッ」


魔猿は両手で叩きつぶした。

体は干からび、血が飛び散る。

魔猿は舌なめずりし、血まみれの獲物を丸呑みにした。


咀嚼などなく、ただ飲み込む。


まるで、人を喰らう悪魔そのものだ。


徐敏芊は気持ち悪さにたまらず、望遠鏡を置いて吐き気をもよおした。


観覧席の人々は、逃げる、座り込む、気絶する。


「このままでは危険だ」黒濁塥の分身が言った。「だが、現実はこんなものだ」


「現実……ゲームの中の現実?」


「そうだよ。……あいつは誰だ?」


赤髪の男――赤竜ギルドの団長、天戸竜司が、魔猿と戦っていた。


彼は龍炎双剃刀を使い、職業は竜戦士(二刀流)。

スキルを使えば、竜の力で一時的に抑え込める。


両刀からは赤い炎が噴き出し、魔猿の毛を焼き払う。


一振りで切り裂ける。

さすが黒武だ、通常の武器とは段違い。


戦いは激化し、拮抗した。


天戸竜司は完全竜化を発動し、火竜人になった。


だが、結果的に魔猿に完膚なきまでに敗れた。


メガ竜形态ではスピードが落ちる。

もともとスピードで躱していたのに、それが失われた。

一撃で飛ばされ、足を掴まれ、振り回され、地面に叩きつけられた。


魔猿は、彼を吸収しようとした。


「天木くん、助ける?」徐敏芊が尋ねた。


彼女の瞳には、同情が宿っていた。

あまりにも多くのプレイヤーが死に、ヒーローが殺される姿に無力感を感じ、俺が状況を変えてくれると望んでいた。


だが、俺は違う。


「悪い」俺は言った。「人を同情する資格があるのは、それだけの価値がある者だ。彼は人のために戦っているように見せて、何か目的があるはずだ。俺の目的は、魔猿を従えさせること。それに、ヒーローには仲間が必要だろ?」


思った通りだ。


赤髪の男は、仲間の閃光弾で救われた。

魔猿は、ただただ破壊し続ける。


「徐敏芊」俺は彼女を見た。「俺は全員を救う義理はない。できる範囲で、だけな。今は魔猿から距離があるし、俺たちはただの観察者だ。我慢することを覚えろ。……だが、そろそろ出番だ」


「うん! 行ってくる!」


俺は恐狼を召喚し、彼女を戦場まで送った。


戦場で、徐敏芊は治療を始めた。


途中、多くの死にかけたプレイヤーを助けた。幸運にも、ミカエルを見つけた。簡単な話の後、クリスティーンの元に行った。


「最悪だ。もう、魔猿に挑む者などいない」クリスティーンが言った。「他の団長たちと協力して、魔猿を倒す。報酬は公平に分ける」


「私も行く!」


「まさか黒濁塥が死んだとは……クソッ」


他のメンバーは、団長の怒りに怖がった。


「団長、仇を取ろう!」


一斉に、ギルド全体で魔猿に襲いかかった。


だが、愚かなことに。

魔猿は、すでに8割以上の力を回復していた。

一撃でタンクを薙ぎ、素早く後衛にまで達した。


同じ光景の繰り返しだ。


クリスティーンは怒りを抑え、スキルで魔猿を拘束した。

皆は一斉に刀を突き立てた。


「え? 刀が折れた……」

「なんで? どうして? こんなに治るの?」


魔猿は拘束から解き放たれた。


周りの人々は、末期症状だ。

毒液を気体にして、周囲を溶かしていく。

クリスティーンも飛ばされ、頭から血を流していた。


残りの戦士は、特殊な技で攻撃した。


徐敏芊が駆けつけ、治療を始めた。


「逃げろ……」クリスティーンが言った。「お前は、今は俺たちを助けるべきじゃない。魔猿は魔力の高い者を狙う。手遅れになる」


「いや!」徐敏芊は歯を食いしばった。「みんなを助ける! 必ず方法がある! 信じて!」


彼女は、さらに前に進んだ。


クリスティーンは、一度撤退することに決めた。


徐敏芊は、突然、殺気に満ちた視線を感じた。


後ろを振り返る――魔猿がいた。


彼は、完全に回復していた。


「終わった、終わった、終わった」彼女は心の中で後悔した。「どうしよう、死ぬ……」


だが、彼女は信じていた。あの人を。


一瞬、血しぶきが舞った。


大きな腕が、地面に落ちた。


そして、黒い髑髏騎士が、魔猿の前に立っていた。


「やっぱり来てくれた、天木くん」徐敏芊は座り込み、感涙に咽いだ。


彼は黙って、ただ一度、彼女を振り返っただけ。

すぐに、目の前の敵に集中した。


数分前――

徐敏芊が魔猿の近くまで走っていくのを見て、俺は少し心配だった。

同時に、少しだけ理解できた。


数日間の生活で、彼女は単純で、優しくて、普通の女の子だと分かった。

そして、いつも俺のことを見てくれている。


俺は、彼女が死ぬのが嫌なのか?


ただ笑って、超跳躍力で魔猿の元に飛んでいった。


俺は、彼の動きを見ていた。


お互い、様子をうかがい合っている。

敵が動かぬなら、俺も動かぬ。


だが、俺はもはや動く必要がなかった。


「穢泥侵蝕」


無数の黒泥兵が、戦場に沸き起こった。


まるで、影の領域だ。


「さあ、選べ」俺は翠天弥音を掲げ、彼に突きつけた。「俺によって即座に殺されるか、俺に従うか」


魔猿はしばらく迷った末、俺に襲いかかってきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。