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TSしましたが、取り忘れてますよ?  作者: kero


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世界ツアー編・第二訪問国 コボルト王国篇

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## 犬耳の国へようこそ!


### 第一部 山岳国家コボルト王国


#### 第一節 次の目的地


ゴブリンアイランドでの歓迎ライブを終えた翌日。


俺たちは、次の訪問国へ向かう準備をしていた。


「ステラちゃん! 次はコボルト王国だよ!」


混沌神が、いつもの王子様姿で地図を広げている。


「コボルト王国?」


「そう! 大陸の北西部にある山岳国家だよ。ゴブリンアイランドとはずいぶん違う国だね」


始祖ママが横から説明を加えた。


「コボルトは犬に似た特徴を持つ種族よ。耳や尻尾、優れた嗅覚や聴覚を持っているわ。山岳地帯で暮らす者が多く、採掘や金属加工、建築などを得意としているの」


「へえ」


「特に地下建築の技術は世界でも有数よ。山の内部に大きな都市を作っているの」


「地下都市か。面白そうだな」


俺は地図を覗き込んだ。


ゴブリンアイランドは海運と交易で栄えた島国だった。


今度は山岳国家か。


同じ世界でも、種族によって暮らし方や文化は大きく違うらしい。


「それで、今回の訪問目的は?」


「もちろん、観光と文化交流、それからライブだよ!」


「それは分かっている。ほかには?」


エルミナ先生が説明を引き継いだ。


「コボルト王国は、他国との交流には積極的だけれど、国土の大部分が山岳地帯だから、交通や物流に独自の問題を抱えているの。今回の招待は、文化交流を兼ねて、国の中心都市を見てほしいという話よ」


「なるほど」


「それと、コボルト王国の王様は音楽が大好きらしいわ」


「それはいいな」


「特に打楽器が好きなんだって!」


混沌神が嬉しそうに付け加えた。


「ステラちゃんのライブ映像を見て、ぜひ自国でも開催してほしいと申し出てきたんだよ」


「へえ。どんな音楽なんだろうな」


「それは行ってからのお楽しみね」


始祖ママが微笑んだ。


俺は地図を眺めながら、少し考えた。


「ところで、今回も俺が行くことは先方に伝わっているんだよな?」


「もちろん!」


「俺の希望や条件も?」


「うん!」


「親たちが勝手に国を改造しないことも?」


「…………」


「おい」


「だ、大丈夫だよ!」


混沌神が目を逸らした。


始祖ママも、なぜか窓の外を見ている。


「……エルミナ先生」


「私が責任を持って監視するわ」


「頼む」


本当に頼む。


前回のゴブリンアイランドでは、幸いにも大きな問題は起こらなかった。


しかし、それはエルミナ先生が二人を抑えてくれていたからだ。


今回は邪神たちも同行する。


どう考えても、問題が起きない方がおかしい。


「そういえば、今回のライブ会場はどこになるんだ?」


「王都の大広場を予定しているそうよ。ただ、コボルト王国は山岳国家だから、地形によっては会場を変更する可能性もあるわ」


「分かった。現地を見てから決めよう」


「そうね。それがいいと思うわ」


俺は荷物を確認した。


今回も必要最低限のものだけを持っていく。


……はずだった。


「ステラちゃん!」


始祖ママが、後ろから声をかけてきた。


「何だ?」


「今回の旅行用のお洋服を用意したわ!」


「…………」


嫌な予感しかしない。


「山岳地帯だから、暖かい服も必要でしょう?」


「それはそうだな」


「それに、コボルトの人たちと仲良くなれるように、可愛い犬耳の帽子も作ってみたの!」


「いらん!」


「ええっ!」


「俺はコボルトじゃない!」


「でも、きっと似合うわよ?」


「似合うかどうかの問題じゃない!」


混沌神が横から口を挟む。


「パパも、ステラちゃんに尻尾を付けたら可愛いと思うんだ!」


「付けるな!」


「じゃあ、パパが作ってあげるよ!」


「作るな!」


エルミナ先生が二人の間に入った。


「あなたたち。ステラちゃんが嫌がっているでしょう」


「うう……」


「分かったわ……」


……助かった。


俺は深く息を吐いた。


こうして、第二訪問国コボルト王国への旅が始まった。


#### 第二節 山の国


転移門を抜けた先に広がっていたのは、想像していた以上に雄大な景色だった。


「おお……」


目の前には、幾重にも連なる山々。


その頂には雪が残り、山の斜面には針葉樹の森が広がっている。


そして、遠くの山腹には巨大な建造物が見えた。


「……あれが街か?」


「そうよ。あの山の内部に王都があるの」


始祖ママが教えてくれた。


俺は目を凝らした。


山肌にいくつもの窓が並んでいる。


それだけではない。


山の中腹には大きな門があり、その周囲には建物が張り付くように建設されていた。


「すごいな。山の中に都市を作ったのか」


「コボルト族は昔から山と共に暮らしてきた種族だからね」


混沌神が説明する。


「山を削って住居や工房を作り、地下には水路や交通路を整備しているんだ」


「地盤の問題とか、換気はどうしているんだ?」


「それも独自の技術があるらしいよ」


「なるほど」


これは見てみたい。


俺はこういう建築物には興味がある。


「ステラちゃん、楽しそうだね!」


「そりゃあ、これだけの建造物なら興味も湧くさ」


「じゃあ、パパがもっと大きな都市を作ってあげようか?」


「いらん!」


「ええっ!」


「俺は見学したいだけだ!」


エルミナ先生が笑っている。


「混沌神、今回は見学するだけよ」


「はーい……」


そんな会話をしていると、前方から大勢の人影が近づいてきた。


どうやら、こちらを出迎えに来てくれたようだ。


先頭に立っていたのは、立派な衣装を着たコボルトだった。


犬のような顔立ちに、三角形の耳。


毛並みは灰色で、胸元には金色の勲章がいくつも並んでいる。


その後ろには、同じような姿の者たちが整列していた。


「ようこそ、コボルト王国へ!」


先頭のコボルトが、丁寧に頭を下げた。


「私は王国宰相、バルドと申します。皆様のお越しを、国王陛下ともども心より歓迎いたします!」


「こちらこそ、招待していただきありがとうございます。ステラです」


俺が挨拶すると、バルドは目を細めた。


「おお……! 映像で拝見した通り、実に素晴らしいお方ですな!」


「どうも」


「陛下は、皆様を王宮にお迎えするため、朝から準備を整えておられます。どうぞ、こちらへ」


「よろしくお願いします」


バルドが先導する。


その時だった。


「ステラ様だ!」


「本物だ!」


「ダークディーヴァ様!」


道路の向こうから、歓声が上がった。


見ると、コボルトの子供たちが集まっていた。


尻尾を振りながら、こちらに手を振っている。


……いや、尻尾は普通に振るものなのか。


そんなことを考えていると、一匹の小さなコボルトが俺の前にやってきた。


「ステラ様!」


「ん?」


「ぼく、ステラ様の歌が大好きです!」


「ありがとう」


「ぼくも、あんなふうに歌ってみたいです!」


「そうか。じゃあ、練習してみるといい。好きな歌を歌うのが一番だ」


「はい!」


その子は嬉しそうに尻尾を振った。


俺は頭を撫でてやった。


すると、周囲の子供たちも次々と集まってきた。


「ぼくも!」


「私も!」


「ステラ様、握手してください!」


「はいはい。順番にな」


その様子を見て、始祖ママが目を潤ませている。


「ステラ……。本当に人気者ね……」


「ママ、泣くなよ」


「だって……!」


混沌神も、嬉しそうに頷いていた。


「パパ、誇らしいよ!」


「お前は何もしていないだろ」


「ステラちゃんのパパだからね!」


……もういい。


エルミナ先生が、そんな二人を見て微笑んでいた。


「子供たちが喜んでくれるのは嬉しいことね」


「ああ」


俺はもう一度、子供たちに手を振った。


そして、コボルト王国の王都へと向かった。


#### 第三節 王宮の歓迎


王都へ向かう道は、山の斜面に沿って作られていた。


途中には大きな橋が架かり、山と山を結んでいる。


橋の下には深い谷が広がっていた。


「これは……」


思わず足を止める。


橋の構造は、石と金属を組み合わせたものだった。


かなり古い建造物のようだが、手入れが行き届いている。


「この橋は、三百年以上前に作られたものです」


バルドが説明してくれた。


「我が国の先人たちが、山々を結ぶために建設しました。現在でも主要な交通路として使われております」


「三百年か。すごいな」


「はい。コボルト族は建築技術に優れております。山を知り、山と共に生きる。それが我々の誇りでございます」


「いい考え方だな」


俺は橋を渡りながら、周囲の景色を眺めた。


街の建物は、山の斜面に沿って段々に作られている。


その一方で、山の内部にも巨大な空間が広がっているようだった。


「王都の地下には、どれくらいの規模の都市があるんですか?」


「場所にもよりますが、王都の中心部は地下十層以上にまで広がっております」


「十層!」


「はい。住居、工房、倉庫、交通路、水路などが整備されております」


「それはぜひ見てみたい」


「もちろん、ご案内いたします」


俺は少し興奮していた。


これは単なる観光ではない。


この世界の建築技術を知る、良い機会になりそうだ。


やがて、王宮に到着した。


王宮は山の内部に作られている。


正面の大門をくぐると、巨大な吹き抜けの空間が広がっていた。


天井には魔法の光を放つ結晶が埋め込まれ、壁には歴代の王たちの肖像画が飾られている。


そして、その奥には玉座があった。


「よくぞ参られた!」


玉座から立ち上がったのは、白い毛並みのコボルトだった。


頭には王冠を載せ、豪華な衣装を身につけている。


「余がコボルト王国国王、フェルドである!」


「ステラです。招待していただき、ありがとうございます」


「うむ! よく来てくれた!」


王は嬉しそうに笑った。


「魔王領でのライブは、余も拝見したぞ! あれほど素晴らしい歌と踊りは、我が国の歴史にもない!」


「ありがとうございます」


「特に、あの大鎌を振るう姿! 実に勇ましかった!」


「……あれは演出ですからね?」


「分かっておる! 分かっておるとも!」


本当に分かっているのか?


王は大きく笑った。


「さあ、まずは歓迎の宴だ! 遠慮せず楽しんでいってくれ!」


王の合図で、広間の扉が開いた。


そこには、豪華な料理が並んでいた。


肉料理に、野菜料理、山菜を使った料理。


それに、見たことのない果物や飲み物もある。


「これは美味そうだな」


「我が国の名物料理でございます」


宰相が説明してくれた。


「山で採れる香草や茸、家畜の肉などを使った料理です。特に煮込み料理は、寒い山岳地帯で暮らす我々にとって欠かせないものです」


「なるほど」


俺は料理を一口食べた。


「……うん。美味い!」


「おお! お気に召しましたか!」


料理長らしきコボルトが、嬉しそうに尻尾を振った。


「ありがとうございます!」


その様子を見て、始祖ママが少しだけ頬を膨らませる。


「……ママの料理も美味しいわよね?」


「もちろんだ」


「本当?」


「本当だ」


「じゃあ、今度はママの料理も食べてね!」


「分かったから、今は宴を楽しませてくれ」


「うふふ!」


……やれやれ。


宴は和やかに進んでいった。


そして、食事が一段落した頃。


コボルト王が、俺の方へ向き直った。


「さて、ステラ殿。実は、そなたにお願いがある」


「何でしょう?」


「我が国でも、ぜひライブを開催していただきたい!」


「もちろん、構いません」


「おお!」


王が立ち上がった。


「感謝する!」


「ただし、会場や日程は相談して決めましょう。無理に人を集めたりするのはやめてください」


「もちろんだ! 我が国の民にも、ぜひ楽しんでもらいたい!」


「それならいい」


混沌神が嬉しそうに笑った。


「ステラちゃん、今回もライブが決まったね!」


「まだ会場も決まっていないだろ」


「大丈夫! パパが最高の舞台を作るよ!」


「勝手に作るな!」


エルミナ先生が、二人を見た。


「今回は現地の技術者と相談して決めること。いいわね?」


「はーい」


「分かったわ」


……頼むから、余計なことをしないでくれ。


宴の後、俺たちは王宮の客室へ案内された。


窓の外には、山の内部に広がる巨大な街並みが見える。


「……すごいな」


俺は思わず呟いた。


この国には、まだまだ知らないことがたくさんありそうだ。


そして、明日からは本格的な観光が始まる。


地下都市の見学。


工房街の訪問。


そして、コボルトの人々との交流。


……さて、どんな一日になるのだろうか

コボルト王国編です。大きな方向性は決めているのですが、正直言ってブレぶれです。魔王領の後始末編が締めるタイミングだったのですが続けちゃいましたから。次のドワーフ編迄は大まかに考えているのですがなかなか難産しています。皆さま、こんな話が読みたいとかが有りましたらどうかお気軽に、書いてくださいませ、ただ書けるかどうかは、非才な私にお任せ下さい。

方向性は違いますが『よろず屋ステラ』書いてます、よろしくお願いいたします。

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