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TSしましたが、取り忘れてますよ?  作者: kero


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魔王の手のひら返しと、中庭のゲリラ掃討作戦

よろず先生が魔王領の国営印刷ラインを完全にジャックして量産した、あの『魔王領ハネムーン新刊』が秒速で十万部溶けるように爆売れした翌日。


俺――ステラ(中身30歳元自衛官)は、漆黒の大理石で構築された魔王城の最奥、広大な『謁見の間』へと連行されていた。

重厚な黒鉄の扉が開かれた先。禍々しいドクロの彫刻が施された玉座に座っていたのは、この世界の闇の半分を統べる絶対君主――【現・魔王】その人であった。

鋭い角、圧倒的な威圧感。並みの冒険者なら対峙しただけで精神が崩壊するレベルの、ガチのラスボスである。


「……よく来たな、神と始祖の申し子、ステラよ」

魔王の地響きのような重々しい声が、謁見の間に響き渡る。

はっ。

魔王陛下におかれましては、ご健勝で何よりにございます

俺は頭のミニ王冠(顔面安全解放デバイス仕込み)を抑え、ベールのない素顔で、陸上自衛隊仕込みの完璧な敬礼を決めた。


よし、

ここまでは普通のファンタジーだ。

魔王よ、頼むからお前だけでもまともな統治者であってくれ。

この狂った親バカどもを叱り飛ばしてくれ……!

俺がベールの下で本気でそう願った、まさにその直後。魔王は玉座の横に山積みにされていた『よろず先生の新刊』と『実物大ハイブリッドお人形(魔族仕様)』を愛おしそうに撫でながら、ガバッと立ち上がった。


――ステラよ! 聞けばお前は、あの混沌神と我が始祖様が何千年もかけて魂から創り上げた最高傑作だそうだな!

昨夜、お前のその尊いツンデレ新刊を読ませてもらったが……

完璧だ!

完璧すぎるぞ!

陰陽の調和を果たしたそのハイブリッド肉体、そして世界の美を結集したビジュアル……!

お前こそ我が魔王領の『次期魔王(公式アイドル)』として、今すぐこの国を譲るに相応しい!!


「国家の主権を同人誌の萌えの勢いで譲渡しようとするなぁぁぁぁっ!!」

俺のベールのない顔面で、本日一番の特大の【宇宙猫(スペースキャット)】の顔が炸裂した。

アララット国王以上の超スピード手のひら返しである。魔王領の最高権力者、よろずの本に脳を完璧に焼かれてやがった。


ひゃはははは! さすが魔王、話が分かるじゃないか!

よーし、ステラちゃんが次の魔王になるなら、

僕が国営グッズのロイヤリティを七割……いや一割に設定して、

魔王領全土をステラちゃんファンクラブの植民地にしてあげるよ☆

後ろで『魔王領の高級な軍服姿』に変身した混沌神(パパ)が、出席簿を叩いて大爆笑している。


ええ、大賛成よ! ステラが魔王になるなら、

ママが全力でバックアップしてあげるわ!

ほら、

ステラ、

新しい魔王としての威厳を込めて、

さっきの『パパもママも意地悪ばっかり!』をもう一回言って頂戴!

始祖ママが目を血走らせて詰め寄ってくる。


チョーカーのバグのせいで、俺の喉はまたしても勝手に自動翻訳を開始した。

も、もうっ!

魔王様まで何ふざけたこと言ってるのよ、バカっ……!

べ、別にアンタたちのために魔王になるわけじゃないんだからねっ!

でも……ママたちがどうしてもって言うなら、

ちょっとだけ……ちょっとだけこの国を統治してあげても、いいんだからねっ……! パパ、ママ、大好き……♡

(※顔を真っ赤にして上目遣いで大鎌をぎゅっと握りしめる)


「「「――ッッッッ(魔王領・最高権力者トリプル大崩壊)!!!」」」

俺の破壊力:200オーバーの次期魔王就任(ツンデレ仕様)宣言に、床を転げ回る混沌神、鼻血を噴き出して玉座へ崩れ落ちる始祖ママ、そして現・魔王までもが

「あああ! 尊い! 今すぐ退位してステラ様の奴隷(ファン)になりますぅぅぅ!」と床にローリング土下座を決めて号泣し始めた。

その横では、執事候補の変態王子ルシアンが「さすがステラ様! 魔王領のトップすらパシリにするとは、これぞ我が至高の主!」と、便乗して床に五体投地している。本当に地獄の空間だった。

------------------------------

だが、この魔王城が完璧な萌えの狂気に包まれていた、

まさにその瞬間。

魔王領ばかりが同人利権とステラを独占していることに激怒した、

もう一つの世界最強陣営【神聖国】の狂信者たちが、

最悪のゲリラ作戦を敢行していた。


――今だ! 邪悪なる魔王領の城内へ潜入し、

あの神聖なるお姫様(ステラ様)を強引に神聖国へ奪い返す(拉致する)のだ!!

白の法衣の下にガチガチの戦闘装備を隠した、神聖国の高位魔導騎士たちによる精鋭の刺客グループ数十名が、魔王城の美しい中庭へと秘密裏に壁を越えて潜入してきたのだ。

――ミリタリーセンサー、

感あり!

敵襲(エンゲージ)!!

俺の中の中身(元自衛官・陸曹長)が、一瞬にしてその殺気を感知した。

お前ら!

くだらない親権争いはそこまでだ!

城内の中庭に不審者多数、ゲリラ部隊の潜入を許したぞ!


な、

何にゃってー!?

ステラお姉ちゃんの純潔(セクハラ利権)を狙う不審者は、

ボクが鉄の規律で一瞬でミンチにするにゃッ!!」

俺の叫びに即座に反応したのは、ガチの漆黒軍服

(ミリタリー戦闘メイド仕様)に身を包んだ、

妹枠のロリケットシー・リリィ(戦闘力:30)だった。


アハハ! お姉ちゃんのハネムーンを邪魔する害虫どもは、ボクの触手で分子レベルまで消し消ししちゃうよ!

同じくガチ軍服を纏った、性別のないハイ・スライムも、指先を不気味な黒い魔力のオーラへと変幻自在に変化させて後に続く。


俺たちは謁見の間を飛び出し、夕暮れ時の広大な中庭へと躍り出た。

「そこまでだ、魔王領の狗ども! 我らは神聖国の精鋭――」

潜入していた神聖国の刺客たちが武器を構えて名乗ろうとしたが、俺たちのパーティーの『前衛』は、そんな生ぬるいプロセスを一切許さなかった。


作戦名『害虫駆除』、これより突入するにゃッ!!

ピンを抜け!!

リリィは、腰のガーターベルトから自衛隊式の手榴弾を凄まじい速度で引き抜くと、戦闘力30の圧倒的な敏捷性と剛腕で、

刺客たちのド真ん中へと正確に投擲した。


アハハ!

ボクの透過能力で、みんなの防御結界をごっそり中抜きしちゃうね!

スライムが液体のように形を変えて突撃し、

刺客たちが張ろうとした神聖防御結界の魔力回路を内側から完全に中抜きして無力化する。

無防備になった神聖国の精鋭たちの頭上に、リリィの投げた特製マジカル・グレネードが着弾。

ドガガガガァァァァンッッッッ!!!!


ひ、ひえぇぇぇぇ……っ!!

な、なんだあの弱そうなロリメイドの馬力は!?

手榴弾の威力が、中級魔法を超えて――


トドメだ!

――響け!

硝煙のレクイエム! 『マジカル・ミリタリー・バースト』……☆

(※強制可愛い詠唱)

俺はロベルタ風の黒いフリフリ傘(仕込み銃・現代実弾レールガン仕様)をパッと構え、ステップを一歩踏み込んで、現代実弾に魔法少女の極大魔力を乗せて一閃した。


――ズガァァァァァァンッッッ!!!

漆黒とピンクのハート型のエフェクトが中庭を激しく吹き荒れ、

神聖国の高位魔導騎士たち数十名は、

一瞬にして武器ごと衝撃波で吹き飛ばされ、

一人の例外もなく白目を剥いて地面に転がり、

完全なる現行犯で『即座に掃討(完全制圧)』された。戦闘時間、わずか4秒。


「ふぅ……。状況、終了。魔王城の中庭の治安維持、完了だな!」

俺は硝煙の立つ黒い傘をパッと閉じ、肩に担いでベールのない素顔でフンスと胸を張った。


す、すごすぎるにゃ……。

お姉ちゃんのミリタリー魔法、やっぱり世界最強にゃ……!

リリィが目をキラキラ輝かせて俺に抱きついてくる。


後ろでは、玉座から這い出てきた現・魔王が「素晴らしい……!

あの美しい黒ゴスロリ軍服姿での、現代兵器と暗黒魔法の融合……!

やはりステラ様こそが次期魔王だァァァッ!

とさらに脳を焼かれて大号泣し、

よろず先生がステージの袖から

最高です!

中庭での戦闘メイドゲリラ掃討作戦! 今の新刊の第5章の挿絵に決定です!!と、凄まじい残像でペンを走らせていたのだった。


世界を二分する神聖国のゲリラ部隊すら、わずか数秒で完膚なきまでに粉砕・現行犯逮捕したことで、俺の「魔王領の絶対的支配者(公式アイドル)」としての名声と恐怖は、さらに盤石なものへと塗り替えられていくのだった。

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