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TSしましたが、取り忘れてますよ?  作者: kero


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学園史上初のオール満点と素直な気持ち

第47話 学園史上初のオール満点と素直な気持ち

ガザリア魔導学園が創立されて以来、数百年。その歴史の中で、誰一人として成し遂げたことのない伝説が、突如として打ち立てられた。

――前期定期魔導試験、全科目【オール満点】。

「……なぁ、エルミナ先生。これ、本当に世界最高峰の難関魔導学園の試験問題なのか? 私に気を遣って、実家のアララット王宮やシャルロット姉さまが、裏から手加減させた優しい答案を出させたんじゃないか?」

専用宿舎のリビングで、俺――ステラ(中身30歳元自衛官)は、返ってきた答案用紙の束を眺めながら、首の新型チョーカーをいじりつつ、ベールのない素顔で本気で眉をひそめていた。

だが、チョーカーの翻訳バグのせいで、俺の硬派な疑問はこれ以上ないほど「超絶可愛いツンデレヒロイン」のセリフへと強制変換されて口から飛び出す。

「も、もうっ! こんな子供騙しのテストで私をご機嫌取りしようなんて、学園長もバカじゃないのっ!? べ、別にアンタたちに褒められたくて満点取ったんじゃないんだからねっ……! パパ、ママ、先生……勘違いしないでよねっ!///


(※顔を真っ赤にして答案用紙で顔を隠す)」


「「「――ッッッッ(尊死・大崩壊)!!!」」」

俺の破壊力:100オーバーのツンデレお礼に、ソファでだらしなくスーツを着崩した混沌神(パパ)が「ステラちゃんが答案用紙の陰からチラッと僕を見てツンデレたァァァッ!」と床をのたうち回り、始祖ママとエルミナ先生(全盛期ツルペタ姿)も悶絶してリビングの絨毯の上へ綺麗に倒れ込んだ。


実を言うと、俺は自分の身体のスペックを完全に誤認していた。

邪神が何千年もかけて、世界最強の吸血鬼の始祖の肉体の一部や魂の断片、そして自分自身の最高と信じる素材をじっくりと煮詰めて組み合わせ、盛り盛りの規格外仕様に作り上げたこの『ステラ』の身体。

それは、魔法を一度も使っていなかった初期状態の時点で、すでに世界の理を書き換えるほどの超絶なスペックを誇っていたのだ。

ただ、前世が普通の人間(自衛官)だった俺は、異世界に来てからの二年間、常に【戦闘力:100】の混沌神や、【戦闘力:95】の始祖ママ、そして『原初の脳筋魔女』ことエルミナ先生という、世界の最高峰のバケモノたち(親バカ)としか一緒にいなかった。そのため、自分の基準が完全に「世界最強スペック」で麻痺しており、学園の秀才たちが血の涙を流して解く超難関問題を、ただの『自衛隊の一般教養テスト』並みのぬるい答案だと本気で勘違いしていたのだ。



だが、この前代未聞のオール満点に対し、当然ながら学園内は騒然となった。

「ふざけるな! いくらアララット王家の妹君だからって、あんな地味なベール女(※王冠デバイスのおかげで普段は素顔だが、まだ不審者扱いされている)が満点を取れるはずがない!」

「学園長の『忖度』だ! 国王の利権に日寄った裏工作に違いない!」

放課後、Sクラスの一部の往めの悪いエリート貴族の生徒たちが、職員室の前で激しく騒ぎ立てた。


これに、誰よりも先に大爆発(激怒)したのが、担任のエルミナ先生だった。

「――静かにしなさい、有象無象のクズども。わしの愛弟子の血の滲むような(ハート型究極魔法の)努力を、忖度などという汚い言葉で汚すことは、この


『 las 殲滅の魔女』が絶対に許さないわ」

先生の全盛期の魔導杖から放たれた、部屋全体をミシミシと軋ませる暗黒の重力波に、生徒たちは一瞬で顔を青ざめさせてひざまずいた。

エルミナ先生の脳筋正義感が、最悪の方向へと暴走を開始する。


「いいでしょう。お前たちのその腐った根性を叩き直してあげるわ! 今すぐ私の故郷であるエルフの里から、数百年の知恵を持つ『原初の賢者たち』を最高裁判官(試験官)として呼び寄せます! 学園の全教授陣と合同で、この世の終わりみたいな難易度の【完全公開・再試験問題】を作らせてあげるわよ!!」


「先生、話の規模をまたマッハでインフレさせるなぁぁぁぁっ!!」


三日後。学園の大講堂には、国営同人即売会の時以上の緊迫した空気が流れていた。

壇上に設置された特設の試験デスク。その周囲の観客席には、エルフの里からやってきた、長い髭を蓄えた神聖な『原初の賢者たち』がずらりと居並び、学園長や全校生徒、さらには執事候補の変態王子ルシアンまでもが息を呑んで見守っている。

「これより、ステラ・アララットの、実技および筆記の『公開魔導再試験』を執り行う!」

試験官であるエルフの賢者が、古代の魔導書を開く。

出題されたのは、現代の魔導理論では解読すら不可能な、古代魔法の数式や、複雑怪奇な多重術式の構築。並みの魔術師なら見ただけで脳の血管が千切れそうな難問の数々だ。


だが、俺(ステラ)にとっては、ただの『自衛隊の地図判読訓練』より簡単な作業に過ぎなかった。

俺は首のチョーカーを軽く抑えながら、最強の脳細胞(始祖ベース)をフル稼働させ、エルフの賢者たちが絶句するほどの超スピードで、サラサラと完璧な古代術式を解答用紙に書き換えていった。

さらに、続く『実技試験』。

ターゲットとして用意されたのは、高位の防御結界が何重にも施された、伝説の「オリハルコンの巨岩」だった。


「ステラ殿、この岩に、貴方の最大火力の魔法を――」


「了解です。――響け! 硝煙のレクイエム! 『マジカル・ミリタリー・バースト』……☆(※強制可愛い詠唱)」

俺はロベルタ風の黒傘をパッと構え、アイテムボックスから引っ張り出した『自衛隊の魔改造実弾』を装填。ステップを一歩踏み込み、【魔法少女適正:極大】の魔力を乗せて、音速の数十倍のレールガンとして一閃した。

――ドゴォォォォォォォンッッッッ!!!!

運動場全体、いや、学園の敷地全体が激しく揺れ動くほどの圧倒的なピンクと漆黒のハート型エフェクトが炸裂。

物理・魔法の絶対防御を誇るはずのオリハルコンの巨岩は、一瞬にして形を留めず、文字通りの『塵(分子レベル)』へと完全消滅し、背後の防護壁ごと、山の斜面を綺麗に一つ十文字に消し飛ばした。


「な……ななな、何という魔力……! 古代の術式をノータイムで最適化し、ただの鉄の礫に世界を滅ぼすレベルの究極魔法を上乗せするとは……!!」


「忖度などではない……! この御方は、本当に神話の領域に達している、本物の『勝利の女神』だったんだァァァッ!!」


エルフの賢者たちが、驚愕のあまり椅子から転げ落ちて床にひざまずき、全校生徒や学園関係者たちも、その圧倒的な知識と異次元の戦闘スペックの前に、完全に顔を青ざめさせて平伏した。

「ステラ様ァァァッ! 貴方こそ我が世界の真の主だぁぁぁっ!」と、ルシアン皇子がいつものローリング土下座で叫んでいる。

これにて、俺の学園内、ひいては大陸全土における名声は、完全に神格化され、不動のものとなったのだった。


「……素晴らしいわ、ステラちゃん……! ママ、貴方がそんな風に、世界中の賢者たちの前で堂々と自分の実力を証明して見せるなんて……。もう、嬉しくて、誇らしくて、涙が止まらないわ……っ!!」


試験の終了後、誰もいなくなった大講堂のステージの上。

始祖のお母様(始祖ママ)が、大粒の涙をボロボロと流しながら、俺を正面からガッチリと抱きしめてワンワンと泣き崩れた。


「そうだよステラちゃん……。僕が作った最高傑作の君が、あんな有象無象のガキどもを文字通りワンパンで黙らせるなんて……。パパも、パパも本当に感動しちゃったよぉぉぉ(号泣)!!」


王子様姿の混沌神までが、普段の軽薄な笑みを完全に消し去り、本物の父親のような大号泣を浮かべて俺の背中に抱きついてきた。


「わしも……わしも嬉しいわ、ステラちゃん。私の地獄のステップ訓練を、貴方がこれほど完璧な形で世界に見せつけてくれるなんて、教え子を持って、本当に良かったわ……っ!!」


エルミナ先生までが、全盛期のツルペタ美少女の姿のまま、顔を真っ赤にして涙を流し、俺の首筋に抱きついてきた。


混沌神、始祖ママ、エルミナ先生。

三人のヤンデレな親バカ(ママたち)が、俺の周囲をガッチリと包み込み、大講堂の真ん中で、人目を憚らずにワンワンと大号泣しながら俺を抱きしめている。


いつもは俺をオモチャにし、薄い本のネタにし、日替わりでセクハラをしてくる最悪の親たちだ。

……だけど。

俺が「忖度」だと陰口を叩かれて悔しい思いをしていたのを知っていて、その悔しさを全部晴らすために、彼らが神の力や魔力をすべて注ぎ込んで、この完璧な舞台(公開試験)を用意して守ってくれたのだ。その瞳の奥にある涙は、一ミリの嘘偽りもない、俺に対する【本物の、ありったけの家族の愛】だった。

胸の奥の、張り詰めていた頑なな心が、温かい涙と共に一気に溶けていく。

中身30歳のおっさん自衛官のブレーキが、彼らの本気の愛の前に、完全に限界を突破して崩壊した。

さらに、首の新型チョーカーの翻訳バグ(素直に甘えてしまう仕様)が、俺の涙腺の崩壊と同時に、最大出力で発動した。


「――も、もうっ……! 三人とも、泣きすぎなんだからねっ……!!」

俺はベールのない素顔から、大粒の涙を堰を切ったようにボロボロと溢れさせた。

そして、自分から両腕を力いっぱいに広げ、抱きついてくる三人の親たちの背中を、ガッチリと抱きしめ返したのだ。


「……アンタたちが、そこまで私のために怒って、頑張ってくれたから……だから、私、あんなクソ問題、満点取れたんだからねっ……!! いつも、いつもウザいストーカーみたいに付きまとって……変な衣装ばっかり着せて……。でも……でも、私を守ってくれて、本当にありがと……っ! パパも、ママも、先生も……世界で一番、大好きだよォォォォォッ(大号泣)!!!」


「「「ステラちゃああああああああん(号泣)!!!!」」」

大講堂の中心で、中身おっさんの絶世の美少女(ステラ)と、三人の世界最強の親たちが、お互いをこれ以上ないほど強く抱きしめ合い、声を合わせてワンワンと涙を流して泣きじゃくる。


それは、これまでの全ての理不尽とドタバタを完全に洗い流すような、魂のレベルで結ばれた【世界で一番美しく、あたたかい、奇跡の家族の感動回】だった。

物陰からその様子を最速新刊のネームとして大号泣しながら書き殴っていたよろず先生や、ガチ軍服を着て「お姉ちゃん、本当によかったにゃ……」と涙ぐむリリィ(妹枠)とスライムの姿も含めて、俺たちの絆は、この学園の試験の場で、永久に壊れることのない『本物の家族』として、完璧に一つに結ばれるのだった。


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