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TSしましたが、取り忘れてますよ?  作者: kero


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魔法少女ダークバージョン爆誕

挿絵(By みてみん)「……おい、そこのベール女。身の程を教えてやる」

初日の放課後。ホームルームが終わった瞬間、教室の空気は完全に臨界点を超えていた。

教壇のエルミナ先生が書類を片付け、最後尾の窓際で混沌神(パパ)と始祖ママが相変わらずニヤニヤと見守る中、Sクラスのリーダー格であるエリート貴族の男が、椅子を蹴り立てて俺の前に立ちはだかった。

男は怒りに拳を震わせ、教壇の先生をキッと睨みつける。

「先生があそこまで言うのなら、実力を見せてもらおうか! 特権階級を気取るそのベール女が、本当に我らエリート以上の力を持っているのか、決闘で白黒つけさせてやる!」


(よしっ! テンプレ決闘イベント、キターーーッ! 頼む、俺を完膚なきまでに叩きのめして、この学園から追い出してくれ……!)


俺がベールの下で密かに歓喜のガッツポーズを決めた、その時だった。

教壇のエルミナ先生が、冷徹なエルフの瞳をフッと細めて、信じられない無茶振りを口にしたのだ。

「あら。あなた一人では、私のステラちゃんの実力を測るには役不足(※力不足)ね。……そうね、面倒だからクラス全員でかかりなさい」


「はぁぁぁぁぁっ!?」

俺の悲鳴を置き去りにし、先生はさらに言葉を続けた。

「せっかくだから、全校生徒の目の前でやりましょう。学園長、手続きを頼むわね」

もちろん、この最高の『おもちゃの晴れ舞台』を、後ろのクソ邪神が見逃すはずがなかった。

混沌神は待ってましたとばかりに指をパチンと鳴らす。その瞬間、神の力によって学園の全放送システムが強制ハッキングされ、全校生徒および全職員の脳内にダイレクトに大音量のアナウンスが流れ響いた。


『はーい、全校生徒のみんなー☆ 今から運動場に全員大集合してね! 巷で噂の、僕の愛しのステラちゃんVS特別Sクラス全員の、プライドを賭けた集団決闘が始まるよぉ♪ 授業をサボってでも見にきてねぇ!』


「何が『はーい』だクソ邪神!! 放送を私物化するなァァァッ!!」

------------------------------

夕暮れ時の広大な運動場。

混沌神のゲリラ全校放送のせいで、周囲の観客席には何千人もの全校生徒、さらには顔を青ざめさせた学園長や教授陣といった学園関係者が、鈴なりになって押し寄せていた。

運動場の中央で、Sクラスのエリート生徒たち数十名が、ギラギラとした魔力を全身から立ち昇らせて武器を構えている。対するは、頭にミニ王冠を載せ、黒ベールを被った俺一人。


「ステラちゃん、約束通り、戦うと同時に『変幻(変身)』しなさい。今回は私の魔力で、その防風ベールも衣装に合わせた特別仕様に書き換えておいたわよ」

観客席の最前列で、エルミナ先生が腕を組んで不敵に笑う。


「了解です、先生……。もう恥ずかしさは、二年前のアララット王宮に置いてきた!」

俺は覚悟を決め、全校生徒の視線が集まる中で叫んだ。

「わたしはっ、せかいいち可愛い魔法少女ですっ……☆(9回目)」

カチャリ、

と音がして、頭のミニ王冠とベールが光を放つ。

激しい魔力の突風が吹き荒れ、眩い闇の光が運動場を包み込んだ。光が晴れた時、そこに立っていたのは、いつものフリフリのピンクの衣装ではなかった。

それは、黒のゴシックロリータ風のドレス。

漆黒の布地をベースに、血のように赤いリボンが随所に結び付けられ、頭には黒いベールが美しく一体化している。そして俺の手には、ロベルタ傘(現代実弾レールガン仕様)ではなく、

【自身の身長を遥かにおびやかす、漆黒の巨大な死神の大鎌(デスサイズ)】

が握られていた。


「ゴ、ゴスロリの黒メイド死神……!? 魔法少女ダークバージョン、爆誕じゃねえかァァァッ!!」


「――ツ、ツボだわァァァァァッッッ!!!(ガタッ)」


その瞬間、観客席の最前列で見ていた始祖のお母様(始祖ママ)が、あまりの俺のカッコよさとダークな美しさに脳の全リミッターが消し飛び、興奮のあまり

「ステラちゃん尊い……っ!」とリアルに鼻血を噴き出して失神し、ベッド代わりに混沌神の腕の中へと崩れ落ちた。

ママ、お目覚め早々またログアウトしてんじゃねえ!


「おい、ベールが黒くなっても関係ない! 突撃しろぉぉぉっ!!」

Sクラスのリーダーの合図と共に、天才エリートたちが一斉に高位の攻撃魔法や剣技を放ち、俺に向かって津波のように押し寄せてきた。

勝負は、見るまでもなかった。完全なる圧勝、いや、ただの『お掃除(演習)』だった。


「――響け! 漆黒のファンタジア! 『マジカル・ダーク・スラッシュ』……☆(※強制の可愛い詠唱)」

俺は自身の戦闘力(内なる始祖の魔力)と、一年半鍛え上げたエルミナ先生直伝のステップを融合させ、大鎌を大きく一周振り抜いた。

その瞬間、ダークバージョンによる極大のエフェクトが炸裂する。

空を覆い尽くすほどの【漆黒とピンクの巨大なハート型のオーラ】の嵐が運動場を吹き荒れ、放たれた高位魔法や剣撃のすべてを、その圧倒的な魔力の質量で一瞬にして透過・霧散させた。


「な、なんだこの魔力の量は……!? ハートが、ハートが空間を圧搾して――」

「ひ、悲鳴を上げる暇も――」

ドゴガガガガァァァァンッッッッ!!!!


ハートのエフェクトの嵐が運動場を蹂躙し、Sクラスのエリート生徒たち数十名は、一瞬にして防御結界ごと吹き飛ばされ、一人の例外もなく白目を剥いて地面に転がり、全滅していった。戦闘時間、わずか3秒。


「ふぅ……。状況、終了。加減が難しかったが、誰も死んでないからヨシ!」

俺は大鎌をパッと消滅させ、ゴスロリ服のスカートを直して、ベールの下でフンスと胸を張った。

周囲の観客席は、水を打ったように静まり返っていた。

これまで「どうせ王家の七光りの地味な小娘だろ」とナメてかかっていた学園長や教授陣、全校生徒たちは、目の前の地形が変わるほどの絶対的な暴力を前に、完全に顔を青ざめさせ、ガタガタと震えて直立不動の姿勢で固まっていた。

------------------------------

だが、この「魔法少女ダークバージョン無双」の恐怖は、このガザリア魔導学園の中だけでは終わらなかった。


「ひゃはははは! 最高の授業参観だねぇ! よし、この素晴らしいステラちゃんの殲滅劇、僕のマネジメントで『あっちの世界のバカども』にも中継してあげよう☆」

混沌神は、気絶した始祖ママを抱きかかえながら、ニヤリと妖しく笑って指を鳴らした。

神の嫌がらせ(計略)によって、今のステラの圧倒的な戦闘映像は、鏡の魔道具を通じて【アララット王宮】、さらにはルシアン皇子のいる【ガザリア帝国王宮】の謁見の間の大スクリーンへと、リアルタイムで強制同時中継されていたのだ。


「ひ、ひえぇぇぇぇ……っ!!」

画面の向こうで、アララット国王やガザリア帝国の皇帝、そしてあのよろず(先生)たちが、エリートクラスを3秒で更地にしたステラの暗黒魔法少女の威力を目撃し、ガタガタと震えて机の下に隠れていた。


『あのアララットの魔法少女(ステラ)にだけは、何があっても、絶対に逆らってはならない……!!』

二つの大国の国家中枢の関係者たちが、揃って魂の底からそう固く心に誓い、国家の公式最高機密マニュアルに『ステラ様全肯定の条項』を書き加える瞬間だった。

中身は30歳の元陸上自衛官。

平穏な学園生活を望んだ初日の放課後にして、俺は全校生徒をドン引きさせ、二つの大国を完全恐怖で支配するという、これ以上ないほど「世界のバグの頂点」に上り詰めてしまうのだった。

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