↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TSしましたが、取り忘れてますよ?  作者: kero


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
39/60

王宮メイド合同演習

「――我が王宮のメイドの規律が、致命的に乱れている」

ある朝、俺――ステラ(中身30歳元自衛官)の部屋の前に、いつになく厳粛な面持ちをした二人の人物が立ちはだかっていた。

一人は、元の絶世の美女に戻ったシャルロット姉さま(第三王女)。そしてもう一人は、近衛騎士長エドガー(本物)である。二人はぴしりとした軍装をまとい、我が部屋の惨状――すなわち、俺のベッドに全裸でダイブしているスライムと、音速のステップでシーツを剥ぎ取ろうとしているリリィ、そしてそれをスケッチしているよろずの姿を、冷徹な目で見つめていた。


「シャルロット様、その通りです。いくら国家事業の同人活動とはいえ、新入りのメイドたちが主(あるじ)に対してセクハラまがいの過剰スキンシップを仕掛け、規律を完全に見失っている。これは近衛騎士団、ひいては国家の風紀に関わる大問題です」

エドガーがクソ真面目な顔で頷く。


「ええ、エドガー。だからこそ、今すぐステラちゃんも交えて【ミリタリー式のメイド合同演習(地獄の特訓)】を行うわ! 元陸上自衛官陸曹長であるステラちゃんの知識を活かし、我が王宮のメイドたちを、鉄の規律を持った『最強の戦闘メイド集団』へと叩き直すのよ!」


「……は?」


俺のベールの下から、本日何度目か分からない素っ頓狂な声が出た。

ちょっと待て。規律が乱れている原因の100%はあのバカメイドのよろずだし、俺はその被害者だ。なぜ俺まで巻き込まれてミリタリー式の合同演習(レンジャー訓練)をやることになってるんだよ!?

だが、一度走り出したシャルロット姉さまと近衛騎士団のクソ真面目な暴走は、誰にも止められなかった。

------------------------------

翌朝。王宮の広大な裏庭の訓練場は、完全に「自衛隊の駐屯地」さながらの地獄絵図と化していた。


「規律! 節度! 迅速な行動! ほら、よろず先生、這いつくばる角度が甘いにゃ! ほふく前進(ロークロール)の時はもっと地面に胸を押し付けるにゃっ!」


「ひ、ひぃぃぃっ! リリィちゃん、いつの間にそんな鬼教官みたいな性格に……っ!」


訓練場では、フリフリのメイド服を着たよろずやピノ(男の娘)、そして王宮のサポートメイド軍団たちが、泥まみれになりながら地面をほふく前進で進んでいた。

その横で、戦闘力30の圧倒的な敏捷性をもったリリィが、教官用のホイッスルをピピッ!と吹き鳴らしながら容赦なくメイドたちを蹴り飛ばしている。


リリィの『ガチ勢』の方向性が、よろずのセクハラ教育から、俺の自衛隊式の戦闘訓練の方へと完全にスライドして暴走していた。


「よし、次は『BLACK LAGOON』のロベルタ衣装を着こなすステラお姉ちゃんによる、黒傘(仕込み銃)の射撃および撲殺突撃訓練だよ! みんな、ボクの動きについてきて!」

スライムが、俺のロベルタ風メイド服を完璧に模倣した姿に変身し、手にした鉄パイプを片手で軽々と振り回しながら、メイドたちを率いて突撃訓練を開始する。


「……なぁ、エドガーさん。これ、メイドの規律を正す訓練じゃなくて、ただの『物凄く物騒な戦闘メイド部隊』を育成してるだけじゃないか?」


俺は黒い防風ベールを押さえながら、隣で満足そうに腕を組んでいるエドガーにツッコミを入れた。


「何を言うのですか、ステラ殿。見てください、あの統率された動き。よろず先生のトーンを削るスピードの比ではありません。これで我が王宮の防衛力は数倍に跳ね上がりました」


エドガーはクソ真面目な顔で太鼓判を押した。ダメだ、この国の騎士団、根本的に脳のネジが外れてやがる。


そして、その訓練場の特等席(パラソル付きの豪華なチェアー)では。


「ひゃはははは! 傑作! フリフリのメイド服で泥まみれになってほふく前進するなんて、最高にハレンチで面白いねぇステラちゃん! よし、この素晴らしい『戦闘メイド演習』のビジョンも、今夜よろずちゃんの脳内に直接ダイレクト転送して新刊のネタにしてあげよう!」


「ええ、大賛成よバカ邪神! 次の新刊のタイトルは『鬼教官ステラ陸曹長の、戦闘メイド調教(ガチBL仕様)訓練編』で決まりね! 資金と国営印刷所のラインは私がいくらでも追加してあげるわ!」


白の王子様姿の混沌神(パパ)と、始祖のお母様(始祖ママ)のヤンデレ親バカ同盟が、ノリノリで訓練を観戦しながら次なる公式グッズ(ミリタリーメイド仕様の等身大お人形)の開発会議を開いていた。


「お前ら、訓練を薄い本の燃料にするなぁぁぁぁっ!!」

俺の怒声のバズーカが虚しく響き渡る中、一ヶ月に及ぶ地獄のメイド合同演習は、王宮のメイド全員が「力:30」くらいの戦闘戦闘マシーンへと進化を遂げるという、誰も予想していなかった最悪の結末(大成功)で幕を閉じるのだった。


------------------------------


## 第四十四話:アララット王国の終幕、そして未知なる「留学編」へ

合同演習が終わり、王宮の風紀が(色んな意味で物凄く物騒な方向に)整った頃。

シャルロット姉さまと国王陛下から、俺の部屋に一枚の、豪華な金の刻印が押された「公文書」が届けられた。


「ステラちゃん。貴方のその強大な【魔法少女適正:極大】と、現代兵器を融合させた独自の魔導術式……。これをさらに極め、そしてこの国の同人国家事業をさらに世界へ広げるために――貴方に、隣国の魔導大国への【留学】を命じます!」


「……は? 留学?」

俺はベールの下で目を点にした。

話を聞けば、このアララット王国の同人誌や実物大お人形の輸出により、世界中の大国が「あの最強のハイブリッド魔法少女ステラとは何者だ!?」と色めき立っているらしい。

国としても、これ以上ステラを王宮に閉じ込めておくのは(主に混沌神と始祖ママの暴走のせいで王宮が毎日物理的に崩壊しかけるため)危険だと判断し、国際親善とさらなる魔導研究という名目で、世界最高峰の魔導学園へとステラを送り出す(体よく追い出す)ことを決定したのだという。


「なるほど……。この狂った親バカどもと、同人作家のよろず先生から、ようやく物理的に距離を置けるってことだな……!?」


俺は胸の中で、かつてないほどの歓喜の炎を燃え上がらせた。

留学先は、完全なるアウェイの地。そこなら、よろずの薄い本の拡散も届かない(はずだ)し、日替わりで衣装を変える混沌神の嫌がらせからも、少しは解放されるに違いない!


「よし! その留学の任務、喜んで引き受けます! 今すぐ出発しましょう!」

俺は上機嫌でアイテムボックスにウォッカとグロックを詰め込み、出発の準備を整えた。


だが、俺たちのパーティーのメンバーを、もう一度思い出してほしい。

【混沌神(100)】【吸血鬼の始祖(95)】【エルミナ先生】【ハイ・スライム】

【アリス】【リリィ】。


このダンジョン編から行動を共にしてきた最凶の面々は、当然のように全員が「ステラが行くところは、私たちの居場所(家)よ♡」と、荷物をまとめて馬車へと乗り込んでいた。

「さあステラちゃん! 留学先の学園でも、僕が完璧な『特級クラスの同級生(あるいは不審な新入生)』の姿に変身して、毎日至れり尽くせりでお世話してあげるからねぇ♪」


「ママも、学園の理事長を裏から魔力でちょっと脅して、ステラのために最高級の特等個室を用意しておいたわよ!」


「ボクたち新入りの戦闘メイド軍団も、学園の女子寮でお姉ちゃんのハイブリッド部分の防衛(セクハラ)を頑張るにゃ!」


「お前ら全員、頼むからアララット王国に置いていかせてくれェェェェェッ!!」



中身はおっさん、見た目は絶世の吸血鬼魔法少女。

俺の社会的尊厳を文字通り粉々に粉砕し尽くした『アララット王国編』は、ここに堂々の終幕を迎える。


だが、その背後に引き連れたヤンデレ邪神、始祖オカン、脳筋魔女、宇宙猫、そして最強の変態メイド軍団を引き連れたまま、ステラ(長谷川聡)の物語は、さらなる混沌(カオス)の待つ、未知なる【第三部・魔導学園留学編】へと突き進むのだった!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。