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TSしましたが、取り忘れてますよ?  作者: kero


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第二のおかん爆誕 ステラは爆死

長谷川聡』の真実

そして、俺たちはついに、このダンジョンの最深部――【第百階層】の巨大な扉の前に立っていた。

「ここが、本当の最深部……。この奥に、ボクたちの目指す全てがあるにゃ」

アリスがゴクリと息を呑む。エルミナ先生も、かつてないほど真剣な顔で魔導杖を強く握りしめていた。

扉の向こうからは、これまで出会ったどの魔物とも違う、圧倒的で、それでいて不思議と『懐かしい』、神聖なまでの吸血鬼の魔力が溢れ出ていた。


実を言うと、この最深部で待つ主――【吸血鬼の始祖】は、俺たちがこのダンジョンに足を踏み入れた瞬間から、ダンジョン内で起きたことの全てを感知し、ずっと俺のこと『だけ』を見つめていたのだ。

ギィィィィ……と、歴史の重みを感じさせる巨大な扉が、音を立てて左右に開く。

「よし、警戒を怠るな――」

俺がロベルタ傘を構えて一歩を踏み出した、まさにその瞬間だった。


「――あああっ! やっと会えたわ、私の可愛い愛しいステラァァァァッッ!!」

「ぶふぉぉぉっ!?」

扉をくぐったコンマ一秒後、奥から音速を超える速度で飛び出してきた【銀髪赤瞳の絶世の美女】に、俺は正面から強烈に抱きつかれていた。

その美女こそが、このダンジョンの主・吸血鬼の始祖(女性)だった。彼女は俺をガッチリと抱きしめ、顔を胸に埋め、涙を流しながら猛烈な勢いで頬ずりを繰り返す。

「可愛い! 遺伝子レベルで愛おしいわ! もうどこにも行かせないからね、私のステラちゃん!」

あまりの猛烈な母性の爆発っぷりに、俺は一瞬でフリーズした。……待て、なんだこの既視感。まるで、王宮で俺を甘やかしまくっていたシャルロット姉さまのブースト版――【第二のオカン爆誕の瞬間】だった。

だが、この光景を見て、後ろにいた執事姿の混沌神の顔から、完全に笑みが消え失せた。


「……おい、泥棒猫。僕のステラちゃんに、何、当然のように抱きついているんだい?」

混沌神から放たれたのは、これまでの日替わりコスプレのふざけたオーラではない。神域を震撼させた、本物の、ガチの【激昂の神気】だった。


「ハッ! 誰が泥棒猫よ、このストーカー邪神! 自分の所有物みたいな顔してステラを見つめるんじゃないわよ!」

始祖の美女は、俺を背中に庇うようにして混沌神をキッと睨みつけた。お互いに胸ぐらを掴み合わんばかりの勢いで、激しい罵り合いが始まる。なんと、この二人は何千年も前からの知り合いだったのだ。


「元々は君が悪いんだろ!? 僕が君にあれだけ様々な趣向(プレゼント)を講じて、好意を伝えようとしてあげたのに、全部無視してフッたくせに!」


「当たり前でしょ! 貴方の好意の伝え方は『幼稚園児が好きな子をいじめて泣かせるレベル』なのよ!

急に嫌がらせの呪いをかけてきて、誰が喜ぶっていうのよバカ邪神!」


「だから、振られた僕が、それなら君を超える最高傑作を自分で作ってやろうと思って、何千年もかけて魂のレベルから構築して作り上げたのが、この『ステラちゃん』なんだよ!!」


「――は?」

混沌神の口から飛び出した衝撃の告白に、俺の脳細胞が完全に停止した。

邪神は勝ち誇ったように、だが狂気的なヤンデレの瞳で俺を見つめる。

「君のパーツは最高だからね。僕は君(始祖)と何百年も死に物狂いの殺し合いをして、君の肉体の一部分、最高峰の魔力、さらには魂の断片すらも力ずくで奪い取って、それを最高の材料にしてステラちゃんを創り上げたのさ!」


そう、これが俺――ステラの出生の秘密だった。

前世の『長谷川聡(30歳曹長)』という男の身体と魂は、今現在の完璧なステラという人形を構築するための、ただの『使い捨ての土台(依り代)』に過ぎなかったのだ。

邪神の本来の計画では、長谷川聡の意識など消滅し、自分の言うことを何でも喜んで聞く、最高に美しい自作の人形(ステラ)として完成するはずだった。誤算は、長谷川聡の男としての、自衛官としての強靭な意思が、奇跡的にそのまま残ってしまったこと。


「本来なら、僕の思い通りに動く人形だったら、僕は数百年で飽きてそのへんに捨てていたはずなんだ……。なのに、長谷川の意思が残っていたせいが半分、君の魂のパーツが入っているせいが半分で、僕の予想を裏切る面白い反応(ツッコミ)ばかりするから……」

混沌神は、自分でも気づかないうちに、耳を赤くして視線を泳がせた。

「だ、だんだん目が離せなくなっちゃって……。今では僕の人生のすべて(恋人、いや、もはや手塩にかけた可愛い娘)に変わっちゃってるなんて、僕自身が一番不本意なんだよ……!」


邪神の、あまりにも重すぎるガチな独白。

一方、吸血鬼の始祖の女性は、俺の手を優しく握りしめ、慈愛に満ちた目で俺を見つめた。

「そうよ、ステラ。貴方がこのダンジョンに入った瞬間から、私は魂の結びつきで分かっていたわ。貴方のその輝く金髪も、真っ赤な瞳も、私の肉体と同類なの。あの時、バカ邪神に奪われた私の大切な半身が、こんなに愛おしい『娘』として、私の元に戻ってきてくれたんだって……!」


始祖の言葉を聞いた瞬間、俺の胸の奥からも、言葉にできない温かい、懐かしい感覚がじわりと込み上げてきた。

血を吸いたくならなかったのも、神殿で死なずに一瞬で自己再生できたのも、すべてはこの目の前の『始祖』のオリジナルの力が流れていたからだ。肉体同士が、魂同士が、互いを「同類」だと感じて共鳴している。


「ステラちゃん、今まで辛かったわね。これからは私もずっと一緒よ。貴方が行くところは、すべて私の居場所(家)だからね!」


「あ、ありがとうございます……(あ、これシャルロット姉さまに続く、新たな『オカン』が誕生したな……)」

俺はベールのない素顔で、温かい気持ちになりつつも、これからのさらなるドタバタを予感して遠い目をした。

ちなみに、この吸血鬼の始祖の美女。元々ステラのモデル(材料)になっただけあって、背格好やビジュアルの系統は俺とそっくりだった。


ただ、下半身の仕様を比べてみると、始祖のモノも人族サイズとしてはかなり立派で大きいのだが、一応は規格内に収まっている。しかし、俺(ステラ)は混沌神が「始祖のすべてにおける上位互換」として、顔も、胸も、そしてあそこのモノ(特大バズーカ)も、全てのパーツを限界まで盛りまくって作ったため、始祖を遥かに超越する【完全なる規格外のハイブリッド生物】に仕上げられていたのだった。神の悪趣味、ここに極まれりである。

こうして、第百階層のボス部屋の戦いは、激闘ではなく「邪神vs始祖の、ステラを巡る親権(?)争い」という泥沼のコメディへと発展し、最終的に始祖の美女も、スライムと共にステラの正式な『従者』としてパーティーに加わることになるのだった。


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現在の、我が最凶パーティーの純粋な力関係(強さ設定)は以下の通りである。


1. 混沌神:序列1位。本気を出せば世界の概念ごと全てを消し去る絶対の神(戦闘力:100)。


2. 吸血鬼の始祖 & ステラ:序列2位。始祖は邪神にパーツを奪われた後、死に物狂いで修行を重ね、現在では本気の邪神と唯一対等に渡り合えるレベル(戦闘力:95)まで力をつけている。


そしてステラも、元がその始祖の上位互換であるため、今後自身の出せる力を完全に覚醒させれば、始祖と同等かそれ以上のバケモノ(戦闘力:95オーバー)へと化けるポテンシャルを秘めている。


3. エルミナ先生:序列3位。全盛期の肉体と魔改造魔法、さらには数々の物騒な隠し玉を持つ『原初の脳筋魔女』。


4. ハイ・スライム:序列4位。物理・魔法無効の絶対生物(ただし邪神の絶対隷属セキュリティ付き)。


5. アリス:序列5位。現在は最弱だが、ベテランの技術とこれからの伸び代を最大に秘めたケットシー。


「よし! 最下層の攻略も終わったし、アリスの妹さんのエリクサーも手に入った! ……それじゃあ、このまま全員で、王宮へ向かって帰り道(帰りも98層分ボスと戦う)の進軍を開始するぞ!」


「分かったわステラ、帰りの道中は私の手料理を毎日食べさせてあげるわね!」


「何言ってるんだい泥棒猫! ステラちゃんに毎日美味しいご飯(割烹着仕様)を作るのは、マネージャーである僕の特権だよ!」


脳筋の魔女、宇宙猫の鍵師、変幻自在のスライム、そしてガチのヤンデレ邪神と、新たに加わった最強の始祖オカン。

世界のパワーバランスを完全に崩壊させた、中身おっさんの吸血鬼魔法少女(ロベルタ仕様)の、あまりにも賑やかで過酷な帰り道(三年計画)が、今ここに幕を開けるのだった。


(第二部・深淵の監視者ダンジョン編、堂々完結!)


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