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TSしましたが、取り忘れてますよ?  作者: kero


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絶望の魔法少女

高貴な婦人に襲われた件で、俺はすっかり人間不審に陥っていた。

食事はシャルロット姉さまとだけ取り、あとは一人で部屋で食べる。


なぜなら、よろず(女)が致命的に怖い! 身近な人間が重度の腐女子で、しかもその「推し」の一人に自分が勝手にラインナップされるのがこれほど恐怖だとは、前世のどの自衛隊訓練でも習わなかった。


邪神の件を話して以来、よろずは時々頬を高揚させてこちらをジッと見つめてくる。


視線だけで精神が削られる。そんな中で、この前ついに決定的な大事件が起きた。


……夢精した。

しかも、人間が一生で出す総量を超えるほどの、物理法則を完全に超越した大洪水である。

思い返せば、あのクソ邪神が最後に言った


「君のモノの暴走(勃起)に気を付けろ!」という言葉、あれは予告だったのだ。

これまでは不思議なほど何も起きなかったのに、あの邪神の言葉がトリガーになったかのように、俺の「男の部分」が完全に目覚めてしまった。

どうしていいか分からない。何より、デカすぎるんだよ! コンチクショウ! 混沌神め、これも絶対に奴の遊びの一環だろ! マジで泣くぞ!


「……神には神よ。人間が神をどうこうすることはできないわ。私たちの神にすがりましょう」


涙目で事情を打ち明けると、シャルロット姉さまは慈悲深い目でそう提案してくれた。こうして俺たちは、アララット王国の主神を祀る『アトラス神殿』へと向かうことになった。


だが、この時の俺は完全に忘れていたのだ。自分のステータスに【聖:-60】と書かれていたことを。


目が赤く、不老不死で、吸血鬼(アンデッド)の可能性が極めて高かったことを!だって、普通に昼間のお天道様の下をベール被って歩けてたんだから、気づくわけないだろ!白亜の巨大なアトラス神殿に着いた瞬間、胃の底からせり上がるような凄まじく嫌な不快感に襲われた。それでも、この「特大ハイブリッド暴走問題」を解決するため、俺はベールを押さえながら入り口へと一歩を踏み出した。そして、神殿の鳥居?アーチ?というか、聖域の境界をくぐろうとしたその瞬間――

――どぉぉぉぉぉぉんっっっ!!!!


「ぶふぉぉぉっ!?」

もの凄い衝撃と共に、俺の身体が入り口から強烈に弾き飛ばされた。

それだけではない。

神殿の強力な結界に触れたせいで、身体全体が激しく燃え上がりながら、大通りのど真ん中までラグビーボールみたいに吹っ飛んだのだ。

「ぎゃああああ! 熱い! 痛い! 燃えてる!!」アスファルト(もどき)の上をゴロゴロと転がりながら、俺の脳裏に「あ、俺吸血鬼だったわ」という事実が遅すぎる光速で蘇る。

その時、俺の頭の中に、あのクソ邪神・混沌神のヘラヘラした笑い声が直接響いてきた。

『ひゃはははは! 僕から逃げられるわけないでしょ? 君は僕のものなんだからさぁ♪』


「混沌神めぇぇぇぇ!!」心の中で呪詛を吐き散らす。アトラス神の聖なる炎によって、俺の肉体は一度完全に炭化し、生命活動を停止した――が、

その次の瞬間。特性【自己再生:大】と【不老不死】が瞬時に強制起動。

一瞬にして肉体が再生され、何事もなかったかのようにピカピカの絶世の美少女(中身おっさん)の姿へと戻った。


うん、身体は完全に元通り

……そう、『身体だけ』は


「……あ」

着ていた服も、顔を隠していた漆黒の防風ベールも、聖なる炎で綺麗さっぱり爆散していた。

つまり今の俺は、昼下がりの中央大通り、神殿の門前という超一等地で、完璧な全裸(かつハイブリッド下半身)のまま地面に転がっているわけだ。


「な、何事だ!?」

「神殿が爆発したぞ!?」

突然の爆音に、辺りには何事かと参拝客や一般の信者、さらには警備の騎士たちまでが大勢集まってきた。

そして、煙の向こうに佇む、衣服を一切纏っていない「世界の美を結集したような金髪の超絶美少女(ただし股間には大砲)」の姿を目撃した。


「はわわわ……神々しすぎる……っ!(バタリ)」「女神様だ……! いや、下半身に何か凄い神の依り代が見えるぞ!?」「結婚してくれぇぇぇぇ! 邪教の神でも構わない、我が妻になってくれぇぇぇ!!」周囲の男たちが一瞬で魅了の呪いに脳を焼かれ、鼻血を噴き出して失神する者、目を血走らせてプロポーズしながら突撃してくる狂人どもで、大通りは一瞬にしてバイオハザード状態のパニックに陥った。


「くるなァァァァァッ! 頼むから俺の股間を見るなァァァァッ!!」俺は羞恥心と恐怖で叫びながら、咄嗟にその場で叫んだ。


わたしはっ、せかいいち可愛い魔法少女ですっ……☆

(ポーズは取れてないが今回は両手が自由なのでノータイム発動!)

まばゆい光と共にフリフリの魔法衣装(今回はミニスカじゃないやつ)が自動装着され、俺は変身を遂げた。


魔法少女モードによる【速:45】および【敏:40】の超絶的な身体能力バフが全開になる。


「チェストォォォォォォッ!!」

俺はプロポーズしながら迫り来る男たちの頭を文字通り『踏み台』にし、驚異的な脚力のトップスピードで垂直に跳躍。

そのまま王宮の方向へと、音速の壁を突破する勢いで遁走(逃亡)を測るのだった。


もちろん、神殿の入り口で一人取り残されたシャルロット姉さまが、遠くへ飛んでいく俺を呆然と見上げていたのは言うまでもない。(続く)



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