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第16話「初撃」

雷王の咆哮とともに放たれる雷撃。

カーティの警告でイツキは回避し、反撃のタイミングを掴もうとする。イツキはMDW弾で応酬する。戦いは激しさを増していき、オルグたちは、イツキの戦いぶりに驚愕する。


雷王が全身から青白い光をまき散らしながらオレを凝視する。


(こいつ‥‥生物の皮を被った蓄電器か? どれだけの“電荷”と“電位差”を抱え込んでる)


❛❜我は高みに轟く者──雷霆ケラウノスを執る!❛❜


雷王の声が頭の中に響く。


『電界強度、上昇。放電咆哮の前兆。耳、守って。0.6秒』


「了解!」


雷王の周囲に漂う光量が増大し始め、胸郭が大きく広がり、口を開けた。

雷王の口からは、青白い光があふれ始める。


『放電!』


聞いた瞬間にオレは立っていた場所から飛びのく。


その直後、強烈な音圧と電撃――世界は押しつぶされ地面からは火が走った。

雷撃はオレをかすめて、後ろにいるオルグたちを襲う。


しかし、オルグたちに到達する直前に、半円の結界によって防がれた。

電撃は結界膜の縁で激しくバチバチと火花をあげた。


『今よ、撃って!装甲スキマ2.1cm、お兄ちゃんならできる!』


「MDW弾(分子破壊波動弾)いくぞ」


乾いた発射音が二発、短く重なった。

銃身の奥で、低い駆動音が一度だけ唸る。次の瞬間――


『2発命中!さすがカーティのお兄ちゃん♡』


雷王の胸郭の内側で、ボゴッ、ボゴッと鈍い破裂音が連続した。

装甲の隙間が内側から押し広げられ、胸元に穿たれた穴から血が噴き上がる。

肉と骨が"振動で砕かれた"のだとわかった。


イツキと雷王との攻防を見ていたオルグは驚きを隠せなかった。

――なんだ、あの武器は。

これまで見たことのないものだ。

でも、あの雷王の電撃をかわし、ダメージを与えられるとは信じられない。

雷王の鋼鉄を超越した装甲を打ち破るほどの破壊力。


「こいつは、とんだ化け物を連れて来たな、リョカ!」


オルグが嬉しそうに咆える。


雷王は傷を負っていたが、全くひるむ様子も、苦痛を感じているようにも見えなかった。


「おいおい、MDW弾をくらってもびくともしないとは、あいつどうなってるんだ。この弾は内部破壊効果もあるから生物にとっては脅威のはずだが。あいつ、機械なんじゃないのか、カーティ」


『お兄ちゃん、そんなことはないと思うよ。機械特有の電子ノイズがないし、放熱曲線も生物のそれだよ。う~ん、でも生物であれほどの電撃を放てるっていうのは理解不能なんだよね。まるで、ウナギの電板直列超巨大版を体内に持っているみたい。(ヤバッ!)しかもエネルギー密度が非現実的(アリエナイ!)』


「カーティでも不明ってことは、こりゃとんだ化け物ってわけだ」


オレは内心とは裏腹に笑顔を見せた。


(なるほど、多少の攻撃ではどうしようもないってことか。じゃあ、手数を増やしていくしかないかな)


『ここからは積極的に網膜投影だよ♡』


「わかった!」


『熱はまだ大丈夫。次、3点バーストで。胸→鎖骨下→腹、散らして"反応差"取って』


オレは合図に合わせて、三発を刻んだ。


しかし、放った瞬間、突如雷王の姿が消える。


「なに?どこに?」


『上!』


〖上空 V₀(初速)≈10/θ30°/φ-5°|T1.03‥頂0.51/+1.3‥落点+8.9/左0.8|右前(内)0.6 m半歩/大ジャンプ×|距離確保優先〗


オレが右横に飛びのき距離をとる。

――それと同時に、暗闇の中から雷王の腕が現れ地面に叩きつけられる。


オレは振り向きざまに連射する。

乾いた音とともに雷王の胸に複数の衝撃が走り鮮血が吹きあがる。


『攻撃より、もっと距離とって!』


カーティの声が耳に突き刺さる。


❛❜群よ屈し、周天を巡る電の環、今ここに解け!❛❜


雷王が言葉を発し、突然体を委縮させたかと思った瞬間、体中からバチバチという音が聞こえ始めた。


『ダメ!全身からサージ!』


カーティの言葉が聞こえるやいなや、雷王の体から膨大な電流が溢れだし周囲にまき散らされる。


しまった、間に合わない、やられ――オレは手を前にして目を閉じた。


その直後、電流がはじける音が響いた。あちこちで草が焼けるような匂いが漂った。


次話は4/25更新です。

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