第15話「戦略確認」
雷王との戦いを前に、イツキはカーティと戦略を確認する。
距離を保ち、MDW弾で装甲の隙間を狙う。
カーティの分析と予測を頼りに、慎重に戦いの準備を整える。
リョカは守備隊を守る結界を展開。そして――戦いの火蓋が切られる。
静かに風が流れていた。
目の前には、距離100mは離れていても相手の巨大さが伝わってくる。
「カーティ、敵分析情報」
〖(網膜表示)TARGET:雷王 分類:(推定)生体 93.2%(電子ノイズ低、放熱が筋活動に同期) サイズ:大型(推定質量 2.5〜3.7t) 外装:高硬度被覆(硬度推定:HRC 72〜85 相当※誤差大) 装甲の"開口":胸郭の膨張時、隙間 1〜3cm(周期 未確定) 主攻撃(推定):高電圧放電+近接爪(高剪断) 危険度:S(※お兄ちゃんが無茶すると即死だよ♡)〗
「カーティ、最後は笑えないな。戦略確認だ。敵から距離をとり遠距離射撃中心。対象は装甲開口部。弾丸は分子破壊波動弾(MDW弾)。 ターゲットからの電撃タイミングをカーティが捕捉。それ以外は?」
『お兄ちゃん、いきなり真面目モードだょ』
『結論、"今は決め打ちしない"。情報が足りない相手にドヤ顔プランは絶対NG!だから初手は「測る」よ。距離は50〜80mキープ。MDWで反応テスト』
『狙点は胸郭の可動部。呼吸で装甲が開く瞬間がいちばん通る確率高い。命中1発あたりの期待ダメージは‥‥うーん、耐久の2〜6%くらい。※未知素材だから振れ幅あり。"効けば上振れ"、効かなきゃゼロ。現実ってザンコク(しくしく)』
『メリットは内部破壊。外装が硬くても「中が壊れる」可能性がある。デメリットは二つ。①装甲が閉じてると効きが半分以下。②連射すると熱と電力が増える。お兄ちゃんの手に影響が出る前に私が止・め・る』
『で、いちばん大事。放電予兆。電界上昇→筋活動→咆哮、この順番が出たら0.4〜0.8秒前に叫ぶ。お兄ちゃんは"避けることだけ"考えて。撃つのはカーティが合図してから。いい?あと、視界が相当悪いから注意してね!』
「了解。合図待ち。距離維持、胸郭の開き狙い」
『よろしい。生きて帰ったらプリン買って。これ命令♡』
おいおい‥‥‥そもそもこの世界にプリンあるのかよ‥‥‥しかもお前食べれないし‥‥‥あ、金もない(dead!)
『じゃあ、武装ステータス表示するね。邪魔なら消すけど?』
網膜の端に、淡い数字が走った。
〖EX-FORM GUN / MDW 攻撃値:32(短銃)|貫通:C|内部破壊:A|消費:1.0 長銃モード:攻撃値45|命中補正:A(距離↑で強化)|近距離補正:D QR弾:攻撃値70|貫通:A|消費:3.5|副作用:魔法との相性リスク(結界干渉/未知材料) 推奨:現状MDW。QRは"切り札"。今使うと評価不能〗
「了解。切り札は最後まで取っておく」
オレは。
静かにうなずく。
このエクスフォームガンには引き金というものがない。
それはオレの脳に取り付けられている神経モデムとリンクしていて、脳からの命令で直接操作するため、物理的なトリガーを必要としないからだ。
もちろん"撃つイメージ"だけじゃ反応しない。
実行の意思が運動野に届き、神経の発火が"実行"に切り替わった瞬間だけ反応する。
リョカが杖を少し上にゆっくりと持ち上げた。
それは雷王の雷撃に備えるため。
""結べ、四至――荒振ぶものは外環に逸れ、烈しきは地へ鎮まれ""
リョカが言い放つとオルグたちを囲むように、薄ぼんやりとした膜のようなものが円形に形成される。
オレは、雷王から50mくらい離れた位置で止まり、ガンを両手で持ち雷王に向けた。
次話は4/18更新です。




