第14話「雷王ケラウノス・アルクトス」
北門から現れたのは、伝説の魔物――琥珀の雷王ケラウノス・アルクトス。
圧倒的な存在感と雷撃の力を持つ異形の獣。
守備隊は恐怖に震えるが、イツキが前に出る。
「攻撃はオレがやろう」――エクスフォームガンを取り出し、雷王との戦いが始まる。
それは、レジンベアの2倍はあろうかという体躯で、もはや獣の枠に収まらない異形だった。
体中から鉄のように硬い体毛と装甲のような皮膚に覆われ、皮膚の隙間から琥珀色の熱が滲み、溶けた鉱石のような光が脈打っている。
電光の発行体のように、青白い稲妻が樹枝状の筋となって体表を走り、瞬くたびに毛皮の先端から火花がこぼれていた。
大きな振動とともに一歩ごとに雷の焼け跡が走る。
そのとき、まるで頭に直接話しかけるかのような低い声が轟いた。
≪我に聞け人間どもよ‥‥‥誰ひとり逆らうな。
我が欲するのは一人の人間だけだ。
我が名はケラウノス・アルクトス!≫
その言葉を聞いたオルグは驚く。
「ま、まさか、琥珀の雷王ケラウノス・アルクトスか?伝説の存在だったんじゃないのか‥‥‥なぜこんな森に」
オルグがあえぐように言った。
他の守備隊も唖然とした表情のまま時が止まったように雷王を見つめる。
オルグとカイがベルノの近くに走り寄る。
遅れてリョカも駆け寄った。
「ベルノ、なんでこんなとこに雷王が出現すんだよ!こんな化け物がいること自体聞いたことねえぞ!」
オルグが大きな声で叫ぶ。
「知るか!オレだって聞いたことも見たこともないんだ!伝え聞く話では、奴の電撃はどんなものも一撃で灰にしてしまうって話だ。しかも、その電撃は放ってからだと絶対避けることは不可避らしいぞ!」
ベルノがオルグに負けない大きな声で返す。
「電撃を放つ前によけるって、いつ放つかを予測しないといけないので、それってかなり難しいのでは?」
カイが冷静に質問する。
「んなの無理に決まってんだろ!リョカ、何とか防御魔法で防いでくれよ」
オルグがリョカを見て言った。
「遠距離からだと防げると思うけど、近距離戦になったときに、牙や爪は止められないわ。それと結界魔法を使用しているときに、攻撃魔法を同時に使用することはできないわよ」
「よし、できるだけ距離をとりリョカの結界魔法で対応する!だが、問題は攻撃だ。リョカが防御で手がいっぱいの状況でどうやって遠距離攻撃をするんだ?」
ベルノが眉をひそめ、誰もその問いに答える者はいなかった。
「大丈夫、私が何とかする」
リョカが地面を見つめたまま言った。
それを聞いたオルグがリョカを見る。
「リョカ、それってもしかして"アレ"を使うのか?」
リョカもオルグを見てうなずく。
「ダメだダメだ!そんなのオレは認めねぇぞ!」
オルグが声を荒げて言った。
「じゃあ、どうすればいいの?このままじゃ村が‥‥‥」
――「攻撃はオレがやろう」
皆が一斉に声がしたほうを見た。
そこには雷王の方を向いて立っているイツキがいた。
「一つ聞きたい、原理は良くわらないが、あんたらが言うその結界魔法とやらの中にいれば、雷王とやらは入れないのか?」
「いいえ、雷撃を防ぐ魔法では肉体による攻撃を防ぐことはできないの」
「カーティ、どう思う?」
『う~んそうね。自由電荷、電磁波、一部の流体のみ対象となるって感じなのかな?どんな原理なのか調べてみたいな(フシギー!)』
「雷王が直接襲ってきたら、どのみち終わりだな。ということは、雷王にダメージを負わせることができる奴が、奴と直接戦い、それ以外はここで待機ってことになる。そしてそれができるのはオレしかいないってわけだ」
「イツキといったか、あんたスピアが武器じゃなかったのか?」
ベルノが疑わし気な目を向ける。
「他にもエクスフォームガンがある」
その言葉を聞いたベルノたちは不思議そうにお互いの顔を見た。
「もう時間がない、いくぞ」
オレがそう言うと、雷王のいる方向に走り出した。
オレが意識をアーマーに集中する。
すると、アーマー胴体の右側が、まるで生き物の筋肉のように収縮した。
形状が意味を失い、装甲が溶けるように開く。
そこに収納されていたのは、――銃身だった。
最後に、装甲の一部が"噛み合う"ように収束し、銃は最初からそこに存在していたかのように、オレの掌に収まっていた。
「おい、エクスフォームガンって何だ?」
ベルノがオルグに耳打ちする。
「わからん‥‥‥雷王にダメージを与えられるってことは、多分すごい武器じゃないのかな‥‥‥」
オルグはボソッと答えた。
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