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小さき蹄、大きな約束  作者: sakura540
第5章 番外編など
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番外編8 リトルボス産駒その2 グレイトボス(前編)

英語は翻訳アプリでやってます。

作者の意とは違う意味になってるかも!?

園田競馬場。そこは日本の兵庫県にある地方競馬場であり、地方馬が走るレース場である。

(この物語では園田、姫路を合わせて兵庫、といえるが偉大なる園田民により兵庫ではなく園田、と呼称する。)


一方で日本には中央競馬場があり、そこで走る馬を中央馬と言われる。

幼いころから競走能力と素質がある馬は中央馬に、競走能力がいまひとつだったり素質がない、または戦績が芳しくない、ごく稀にだが馬主が地方馬主の資格しかないなどの理由で走る地方馬。


少しでも競馬を知る方々からすれば実力や格付けは中央馬>地方馬である。

もっとも、地方馬でも大井競馬場をはじめ南関東を主戦場とする地方馬は中央馬にも引けを取らない馬が存在はする。しかし、園田はどうだろうか?


競馬では中央の重賞レベル以上を一軍、中央のオープン戦レベルまたは地方交流重賞レベルを二軍、中央の条件戦レベルまたは南関東馬の重賞レベルを三軍とすれば園田の馬は四軍、といえるだろう。


だが、それは本当に正しいのだろうか?

とある競馬通のアメリカ人記者は言う。

「In Japan, there exists a demonic realm known as Sonoda Racecourse.」

そんな園田競馬場にまたもや怪物が誕生するのであった。


・・・


俺はグイレトボスと名付けられた。名付け親は馬ではなく新城という人間。生まれは野村牧場、母はグランボスという馬で園田の女帝と呼ばれてたらしい。母いわく俺の父は俺たち同様ボスって名前が付く馬でボスにふさわしい風格と実績を持つ史上最強馬、そして母の初恋相手らしい。あと、俺は母の初子でもある。


野村牧場には実績を残した馬がごろごろいる。兵庫女王盃を連覇した俺の母を筆頭に中央G1を複数勝ったヴィルグレイス、アメリカから来たクラウディースカイがいる。今は牧場にいないが俺の父や俺の2つ上のヴァレサといったG1を複数勝ってる馬もいるし、俺の父もこの牧場の出身。


そんな恵まれた環境で俺はデビューしてそしてG1を…、ってあれ?俺は母と同じ園田でデビュー?

なぜ?


・・・


「新城様、グレイトボスのデビューですが、ホントに園田でよろしいのですか?中央でもやっていけると思いますが…。」


「この子の場合はじっくり育てたいけどレースを多く走ってほしいからね。ダート向きそうだし園田からでも勝ち上がっていけば勝手に中央に行けると思ってます。」


「はぁ、そうでしたか。…で、そちらの方は初めましてですよね?」


「は、はじめまして。園田で調教師になった宮西翔太といいます。よろしくお願いします。」


「ああ、あなたが。リトルボスとグランボスがお世話になったという騎手の方でしたか。今は調教師を?」


「はい、調教師だった鈴木さんの後を継ぎ、先月、園田で調教師になりました。」


「そうでしたか。」


「今後ともよろしくお願いします。」


「ということでグレイトボスは宮西調教師の所からデビューさせることにしました。…さて、宮西調教師、そろそろグレイトボスのいる方に行きましょうか。では野村さん、これで失礼します。」


・・・


おかしい、俺も同期の奴らみたいに中央でデビューするはずだった、なのになぜ地方?父と母と同じ園田はいいのだが、俺だって中央に行きたかったぞ。


『ふーん、やっぱり芝だと俺の方が早いな。』


『うるせー、砂だと俺の方が早いわ!』


『そんなんだから地方行きになったんだろ?』


『地方からでもお前より上になってやるわ!』


『ははは、それは面白いな。…待っててやるからさっさと中央に来いよ。』


こんな軽口を叩く野郎はゴールドヴァレー、こいつの母はあのヴィルグレイスで俺とは同期、いつも一緒に走り回ってた友でもある。俺らの中で俺以外だとこいつが一番早く走る。俺ほどではないけど。



園田競馬場でデビューしてレースで4レース走り4勝した。。

2歳初出走、JRA認定アッパード、ネクストスター園田、園田ジュニアカップ。

どのレースもあっけなく差し切り勝ち。はっきり言ってゴールドヴァレー以外の相手になら負ける気はしないし、どのレースでも俺と同格以上の奴はいなかった。


それより気になるのは俺の鞍上、つまり騎手だ。

なんで調教師の娘の宮西奈緒が俺の鞍上だ?多分20代半ばくらいかな?高卒後騎手学校に入って地方の騎手になったらしい。そんな奴が俺の上に乗るってどういう事だ?俺はゴールドヴァレーみたいな奴を相手にする馬だぞ?若いお嬢ちゃんの出る幕じゃない。実績のある有名な外国人騎手にしてくれよ。それかせめてもっとベテランで上位にいる騎手とかさ。俺につきっきりで世話してくれるのはいいけど下手な騎乗したら二度と乗せないからな、全く。


まぁもっと格上のレースになればこいつとはおさらばだろう、それまでの辛抱ということで俺はとにかく勝ちまくることにした。

兵庫ユースカップ、菊水賞、兵庫優駿、摂津盃、園田オータムトロフィは5戦5勝、つまりデビューから9戦全勝。

次走は名古屋大賞典、ようやく中央馬と戦えるらしい。待っていろ、ゴールドヴァレー!


・・・


『お前がグレイトボスか、馬主から話は聞いてる。園田で無双したんだって?なかなか強そうだな。こんな俺だがお前の併走相手だ、よろしくな。』


『久しぶりだな、牧場で会ったの覚えてるか?スタントボスだ。よろしくな。今度の名古屋大賞典にむけて調整するのか?俺は次走の有馬記念で引退だからそれに向けて軽く併せる程度だがよろしくな。』


ここは栗東トレセン。本来なら地方馬である俺が御呼ばれさせるような場所ではないが、次走は交流重賞、馬主の口利きでここで調整できることになった。


どうみても引退したであろうロートルな小柄な馬と引退間近の現役中央馬との併せ馬か。たしかスタントボスは俺が記憶してる限りぱっとしない戦績だったはず。ふ、俺の相手になるはずが…


『あれれ、園田三冠の現役ダート競走馬様がダートの併せでロートル相手に手も足も出ずに息切れとは…』


『俺は芝専門だけどまだいけるぞ?え、もうへばったの?ダート馬がこのザマ?マジでやばくね?このザマだとお前のライバルのゴールドヴァレーだったかな?次の有馬で戦うけど大したことなさそうだな。』


『な、なんだとぉぉぉ~!』


ムキなって走っても相手にもならないままズタボロにされた。


『お、そろそろ終わりか。いやぁ~スタンは早くなったな。もう俺では相手になってないわ。』


『いやいや、先輩のご指導と周りの人間の助力の賜物ですよ~。』


『…!そうか、そういう事か。俺の敗因は鞍上の…』


『自分の実力不足を鞍上のせいにするな!』


『!?』


『ははは、昔のスタントみたいなこと言ってるな~。』


『う、し、師匠、あ、あれは若気の至りで…』


『ま、そういう時期もあるか。グレイト君、今は若気の至りでそういうことを言うのはいいが、鞍上のせいにしているうちは俺にもスタントにもゴールドヴァレーにも勝てないぞ?』


『…うるさい、ダマレ』


『まずは鞍上や周りの人間とうまく付き合うところから始めた方がいいな。…さてスタント、グレイト、そろそろ厩舎に戻るか。』


・・・


思い出した。あいつ、去年の年末の園田ジュニアカップで見かけた馬だ。レースで走らなかったようだが。

あいつは、名は忘れた。園田で凄い人気があった馬だ。

年齢はかなり上、それで俺より小柄であんな走りができるのか…。

スタントボス、戦績はぱっとしない2歳上のモブ馬だったはず。そんな馬にも勝てないとは…。

そういえば…あいつらとの併せ…レース本番でもあんなのはなかったな。調整だったので走り自体は大したことないはずなのに精神的に削られるような…。あれは一体何だったんだろう…。

鞍上のせいにするな、か。理解も納得もできないがあれほどの馬たちが言うんだから正しいのかもな。

あ、ゴールドヴァレーのやつ、有馬走るのか。…いいなぁ。あいつも頑張ってるんだなぁ~…。


・・・


「なおちゃん、お疲れ様。」


「ひろみ先輩、お疲れ様です。」


「今日の併せ馬、楽しかったね。…まさかリトルボスの鞍上にショータ調教師が乗るとは思いませんでしたけど。」


「俺だってホントは今でも現役行けたんだぞ?それはそうと、なお。今日の併せ、どうだった?」


「全力で走ってなかったはずですが途中でヘロヘロになってました。調子悪かったのかな?」


「おまえなぁ~…そんなんで騎手やってるとは。ちゃんと馬を見ろよ!…ひろみはどう思う?」


「どの馬も調子自体はまずまずで軽めには走ってました。ただリトルボスは高齢で衰えてるとはいえ世界最強ダート馬ですし、スタントボスは芝の世界最強馬の一角にいると言える実力馬ですから、そんな世界レベルの馬たちと併走すれば、園田が主戦のまだ若いグレイトボスはたまったものじゃないでしょう。」


「そういう事だ。馬は馬でも国内どころか世界でしのぎを削った馬は半端じゃない。今後、上を目指すなら覚えておくようにな。」


「…はい。」


「…次の名古屋大賞典、頼んだぞ!」


「はい!」


・・・


『師匠、グレイトの奴のこと、どう見ます?』


『ん?…そうだな、昔のお前よりは精神的にはマシで年齢が同じなら現役の時の俺より上じゃない?』


『え、そんなに高評価ですか?あんな無様だったのに?』


『お前なぁ、昔のお前を思い出してみろ。人間を荷物扱いしてたこと、忘れたのか?グレイトはあんなんでもそこまでひどい扱いじゃなかったぞ?』


『あ、あ~、そうでしたね。』


『もしかするとかつての無敗の園田三冠ケーオーサークル以上の実力があるんじゃない?ただ、競ってきた相手、レースがまだまだなだけだろ。』


『へぇ~…俺にはそうは見えなかったけど。』


『はっきりいってあいつは怪物だぞ。だから園田の無敗の三冠馬になれたんだ。俺の現役時代にあいつがいなくて良かったと思う位だ。俺たちは世界を知っててあいつがまだ世界を知らない井の中の蛙でおそらく晩成型の3歳馬だったからひとひねりできたけど世界最強(俺達)を知った以上、騎手と折り合いがついたなら、1年後であれば芝でも俺たちでも相手にならないかもな。それくらいの逸材だ。…それよりお前は次のレース、有馬の事を考えてろ。ラストランだろ?世界最強馬様(スタントボス)が無様なレースするなよ?それにひろみの騎手人生最後のレースでもあるからな。それでもし負けたらコレ、だからな?』


『ハイ、ワカリマシタ!』


・・・


「第4コーナーを回って直線コースへ。先頭は2番グレイトボス、後続とは5馬身、いや6馬身と差が広がっている!2番手パールタイト、3番手グレインジャー、外にローズラビットが追いすがるもどんどん差が広がっていく!先頭はグレイトボス、先頭はグレイトボス!そのままゴールイン!…タイムは2分6秒4と良馬場ながらレコードに迫るタイム。8馬身差で1着グレイトボス、2着はローズラビット、3着はウェストスカイ、…」


・・・


「…いやぁ~、今年の名古屋大賞典は大荒れでしたね~。」


「まさか交流重賞で実績のある中央馬達が交流重賞初参戦の園田の馬に成すすべなく敗れるとは思いませんでした。」


「しかし、良馬場で鞭なしでレコードに迫るタイムを叩き出しましたから、これが重馬場だったらとんでもないタイムになってませんか?」


「やっぱりレース前に私が言った通り、それくらい走る馬ですよ。ですので私はグランドボスを軸にしましたから三連単、的中しました~。」


「凄いですね。三連単だと…かなりの金額になりましね。」


「…以上、本日のメインレース、名古屋大賞典でした~。」


・・・


園田以外での初のレース、距離も2000mといつもより長かったけど今日のレースは余裕で勝てた。けどおかしい。今日のレースで初めて中央、それもかなりの強豪馬が出ると聞いたから気合を入れたんだがなぁ。

あのチビロートルが出ないのは知ってた。スタントボスって奴は有馬記念に出ると言ってたが人間の都合でひょっとしたらここに出るかな~っと思ったんだけど。たしか、ゴールドヴァレーの奴も有馬記念か。それだったら俺も有馬記念に出たかったな。…俺がレースも騎手も選べる訳じゃないから、とりあえず勝って勝って勝ちまくるしかないか。それにしても今日は中央馬が出てたらしいが、そんな馬いたのか?園田の奴らとそこまで差がある感じがしなかったから今回は出てないんじゃね?

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