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ロックへの想い、ナナへの想い

ロックが「これから誰かにナナとの関係を聞かれたら、婚約者だと答えてもいいか」とナナに聞いたのは、年またぎが終わった1月の初めの頃だった。


ナナは迷わず「いいよ」と答えた。


ロックは、あちこちで普通の事のように「ナナと結婚する」と宣言しているくせに、「ナナと結婚できるなんて夢みたいだ。ありがとう」と特別な事のように言って、ナナをギュウっと抱きしめた。



▽△▽△▽△▽△▽△



地球にいた頃、奈々は結婚をあきらめていた。

会社員の頃に少しだけお付き合いした人はいたけれど、奈々が会社をやめた時にお別れした。


奈々が、趣味だったアクセサリー作りを仕事にすると決めた時、応援してくれたのは家族だけだった。

だから、家族から離れたら、自分は1人なのだと思っていた。


ロックは、夏にナナの誕生日を迎えたらナナと結婚すると言う。ナナの誕生日の翌日には役所に届けを出しに行く勢いだ。


コウを引き取る為に結婚できないかと言い出したのはナナだ。ロックはそれに「いいに決まってる」と答えた。


それからロックは、ナナと結婚すると周囲に話すようになった。当たり前の事のように。


ロックは、何よりナナが一番だ。ナナが「私は、ずっと一緒にいると決めてるから」と言った瞬間から、多分ロックは結婚する事を決めていた。


だから、コウとジルの事が無くても、ロックとナナはいずれ自然に結婚したと思う。


本当に不思議だ。燃え上がるように始まった恋ではないのに、じわじわとロックへの気持ちがナナの心に広がっていく。


ロックからは、ナナと共に生きるという強い意思が、迷いのない想いが、手を握るたびに、ギュッ抱きしめられるたびに、ナナの体に沁み込むように伝わってくる。


ナナは、地球で生きていた年月よりもずっと長い時間を、これからロックと一緒に歩んでいく。


この先、沢山の出会いと別れがあるかもしれない。でも、ロックが共に居る限り、ナナはずっと幸せだと思う。



▽△▽△▽△▽△▽△



ロックは、自分は一生ひとりで生きていくのだと思っていた。

大切な人を次々失ったせいか、家族の住んでた家を守ろうという強い思いはあったけれど、新しい家族をつくろうとか、女性を口説こうとか、親友を作ろうとか、そういう気持ちにはならなかった。


冒険者をして、たまに臨時のパーティを組んで、出会いと別れを繰り返して、また1人に戻る。

知り合いは増えていくけど、ずっと寄り添う特別な出会いは無い。そうやって生きていくのだと思っていた。


あの日、風車に行ってナナとモモに出会った。

ロックは、あの瞬間からナナが好きだったのだと思う。だから、自然に家に連れ帰る事を考えた。


ナナと、どんどん離れがたくなって、自分の気持ちを自覚した。


ナナと居ると、少しずつ、少しずつ、ロックの大切なものが増えていく。愛しいものが増えていく。周囲がやさしく変わっていく。


「私は、ずっと一緒にいると決めてるから」


ロックは、ナナが望む限り何があっても離れないと決めた。こんな人はもう絶対に現れない。ナナと共に生きたいと強く願った。


ナナと夏に結婚するのはコウやジルのを引き取る為だけど、結婚するのはナナだからだ。


人間、自分で守れるものはそんなに多くない。ロックの守るべきものはナナだ。そこに一切の迷いは無い。



ジルとコウは、大人になるまで共に歩む家族だ。ロックとナナの子供も授かるかもしれない。


大きなテーブルの椅子が、埋まっていく。家族がふえていく。


子供達は皆、いずれこの家から飛び立っていくだろう。


いつか大きなテーブルの椅子が2脚になっても、横にナナがいるのなら、ロックは幸せだ。


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