モモちゃんのリリーよりも凄い任務
ナナがベン親方からの伝言をギルドに受け取りに行った時、顔見知りの魔法使いシグマさんに会った。
ナナは魔法の使い方が少し他と違うので、特に誰とも敵対はしていないけれど、親しくしてくれる魔法使いもあまりいなかった。
シグマさんは、ナナに対してフレンドリーに接してくれる数少ない魔法使いだ。
そんなシグマさんが、ナナに抱っこされているモモを見て言った。
「ナナさんは従魔を使わないのかい?」
「モモちゃんは従魔ですよ」
「いや、そうじゃなくて、いつも抱っこして歩いてるだろ?仕事を任せてないんだなと思ってさ」
「仕事?」
「そうそう、手紙を運んだり、追跡させたりさ」
ナナは、モモをじっと見る。
「従魔って、仕事するもんなんですか?」
「まあ、普通はそうだね。ただのペットじゃないしね。どんな仕事をさせるかは魔法使い次第だけどさ」
「シグマさんのリリーちゃんは、どんな仕事を?」
ナナは、シグマさんの肩に止まっている小鳥のリリーちゃんに目を向ける。
「うちのリリーは、パーティの伝達係だよ」
「凄い!そんな重大な任務を!」
「リリーはインコだから、言葉を覚えられるからね」
シグマさんが、うれしそうにリリーちゃんを自慢する。
「モモちゃんは、討伐に連れて行くと、たくさん森の恵みを見つけてくれます」
負けずにナナも自慢する。
シグマさんは優しい顔で笑うと「そうか、ナナさんの従魔も優秀だね」と言った。
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ギルドからの帰り道、モモはプンスカ怒っていた。
「モモだって、ナナちゃんからお願いされれば、何だってできるんだからね!(小声)」
「わかってるよー」
「リリーより、ずっと上手にできるんだから!(小声)」
「うんうん、わかってるよー」
「ナナちゃんは、わかってない!モモはナナちゃんの使い魔なんだから、もっと凄いことお願いして!リリーよりも凄いやつ!」
「モモちゃん、もうちょっと声を落とそうか。お外だからね」
「モモも、重大な任務できる(小声)」
「わかってるよ、モモちゃん話せるしね。ロックとも仲良しだし、伝達係なんてお手のもんだよね」
「そうだよ、モモしゃべれるし(小声)」
「うんうん、じゃあ、ロックと話して、モモちゃんの任務決めよう」
「リリーより重要なやつにして(小声)」
「うんうん、当然だよ」
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「----っていう事があってね。ロックとモモちゃんの仕事について相談したいの」
「なるほど」
「モモは、ナナちゃんのお願いなら、なんだって聞いちゃうんだから」
「肉球スタンプのときは、最初渋ってたじゃない」
「後でまとめて押したかったの!最高にステキに押したでしょ?」
「確かに、場所が揃ってて良く押せてたな」
「でしょ?ロックわかってるぅ!」
「モモちゃん、伝達係やる?」
「リリーよりも凄いのって言ったでしょ!まあ、ナナちゃんがお願いするなら、やってもいいけど」
「モモ、重大な任務を頼みたい。高い所に登れて言葉が話せるモモにしかできない事だ」
「なになに?」
「モモは猫だし木登りも得意だから、俺たちの戦闘を高い場所から見れるだろう?上から見ていて危なくなったら、ナナに知らせる事はできるか?」
「もちろん!」
「俺たちが気づかない魔物が近づいてきてたり、後ろから狙われたりした時、知らせてくれたらすごく助かるんだ」
「モモちゃん、お願いできる?」
「できる!モモに任せて!」
「それから、偵察も頼めるか?お願いした時に、魔物に見つからないように様子を見に行って欲しい」
「モモちゃん、お願いできる?」
「わかった、任せて!」
「モモちゃん、すごく助かる!ありがとう!」
「モモ、隠密魔法あるから、そういうの得意」
モモちゃん、今サラッと重要な事をカミングアウトしました。
「モモちゃんって魔法使えるの?!」「モモ魔法使えるのか?!」
「使えるよ?使い魔だもん」
「他に、どんな魔法を?」
「魔法は隠密だけだよ。特技なら『幸運』があるよ」
「モモちゃん、『幸運』って、どんな特技?」
「いいものを見つけたり、いい事を引き寄せたりする特技」
「ああ、どうりで・・・」
「だから毎回森の恵みがあんなに・・・」
その日からモモは、使い魔として凄いお仕事を任される事になった。




