5.強襲―15
「おーい、そっちあったかー?」
声を掛けられ顔を上げると、シャツを腕捲りした男がこちらを見ていた。坊主頭にサングラス、黒いスーツの上着は暑くて脱いだのか、近くの折れ曲がった杭に引っ掛けてある。
「あったら言ってるよ」そう適当に返事を返す。そしてまた瓦礫の山に目を戻した。
深い森の中、かつて集落があったであろう場所の残骸の中にいた。太陽は頭上から見下ろしてきていて、額から汗を噴き出させる。
幾人か、人の死骸も見受けられる。黒焦げに焼け死んだ者や、爆発に巻き込まれてバラバラになった者、何かに噛みちぎられたような者もある。
地面もあちらこちら、隕石でも落ちたように抉れていて、当時の凄惨さがまだ生々しく残っていた。
「にしても酷ぇもんだな。ネフィルが出たってだけでこれだもんな」
「口を動かさずに手を動かせよ」腕捲りの坊主頭に言う。その後垂れてきた汗が鬱陶しく、サングラスを外して自分の坊主頭を拭った。
「でもよ、ここだってネフィル対策してたんだろ。ミナミノクニって言やぁ、よく分かんねぇミコとか言う奴が奇術を使ってたらしいじゃねぇか」
「知らねぇよ」サボる同僚を尻目に、作業に戻る。「状況から察するに、中から出たんだろ」だからこの瓦礫の山を、墓荒らしのようにひっくり返しているのだ。
「まぁな。あちこちにネフィルの爆発した後もあるし、大変だったんだろうな」男は手でひらひらと煽ぎながら、辺りを見渡している。その手を作業のために動かせよ、と叱言を言いたくなる。
その後もその同僚は、暑いなだとか、ちょっと休憩などど言って、度々作業をサボっていた。それに追随したくなる衝動を抑えて瓦礫をひっくり返す。きっとこいつは選ばれない、今度選ばれるのは自分なのだ、と言い聞かせて。
しばらくして、その同僚が、あっ、と声を上げた。今度は何だ、と呆れた目を向けると、自分の足元を見て固まっている。その目線の先には黒いもやもやとした塊があった。
「─見つけた、ネフィルの卵」同僚は間の抜けた声を出した。




