5.強襲―14
守る─俺を?
そう思った時にはもうエミは前を向いていた。その小さな体に光の体躯が襲いかかる。
突如青い光が迸った。バチバチと空気を引き裂くような音が鳴り響く。
見ると、それは異形の兎だった。兎が稲妻をその身に纏っている。
エミが飛び上がった。人としては有り得ない高さまで飛翔する。その間に兎が目にも留まらぬ速さで走った。エミの体が回転する。そのまま右脚を突き出すと、真ん中の怪物の脳天に叩き込んだ。
白い光が膨らんで爆裂する。その両側を挟むように青い雷が、轟音を響かせながら落ちた。
強烈な閃光が視界を覆う。目の暗さが取れ、再び見えるようになった時には、もう怪物は居なくなっていた。
一瞬だった。一瞬で怪物が三体とも消えていた。エミが…今のはあのエミがやったのか。
「相変わらずスピードだけは一丁前だな」少年の声がする。見上げると先程と変わらず、大袈裟に言えば呑気にも空中に浮かぶ異形の上に居た。
「シェムハザ─っ!」エミがまたも空の異形を睨み付ける。すると閃光が瞬いた。稲妻と化した兎がまっすぐに空の異形に飛びかかっていく。
「─でもま、兎と龍じゃあ話にならねぇんだけど」
異形の翼が動いた、ように見えた。そう思った瞬間にはもう、爆風に揉まれていた。見えない硬い壁があらゆる方向から潰すように押し寄せる。
「──リュウっ!」吹き荒ぶ突風の騒音の中、エミの呼ぶ声が聞こえた気がした。




