【9月30日非公開予定】次なる目的地
「さーて、終わりっと」
その後、ユーデリアと共にこの町の人間の殲滅を行い、たった今完了したところだ。やっぱり、一人より二人の方が早く済む。それに、自我を失った奴隷が暴れているのも都合がよかった。
結果、示しあわせたわけではないけど複数人単位で、この町の人間を全滅させることができた。もちろん、その奴隷も終わった後で殺したけど。
「この町も、対した相手はいなかったな……」
結局、コルマを殺した後ではこの町で実力者を見つけることはできなかった。残念だ。
この剣も、もう少し試してみたかったんだけどな……斬った人物の自我を奪う、くらいしかまだ情報がない。
「で、次はどこ行くんだよ」
そこへユーデリアが、話しかけてくる。ふむ、口調はまたまだ生意気だけど、まあいっか。
「うぅん……一番行きたいのは、マルゴニア王国ってとこなんだよね。キミ、知ってる?」
次はどこへ……そう聞かれると困ってしまうが、目的地はと聞かれるならばそれは、マルゴニア王国だ。あぁ、殺す前にコルマや商人に聞いておけばよかった。
マルゴニア王国……私をこの世界に召喚したウィルドレッド・サラ・マルゴニアがいる国。私にとって、始まりの場所といってもいい。
いくらいろんな村や町の人間を殺したからといって、私が一番会いたいのは……私を召喚した、あの男だ。むしろ、あの男のいる王国に行くためにあちこちをまわっていってると言ってもいい。
まあ、誰にもなにも聞けてないからあまり意味がないんだけどね。
「マルゴニア王国……知ってる」
「そっかぁ、やっぱり知らな……え!?」
聞いてはみたが、どうせこの子も知らない……そう思っていたが、返ってきたのは予想外のものだった。
知ってる……その言葉は、耳を疑うものだった。同時に、私はユーデリアの肩を掴んで揺さぶっていた。
「ホントに? 知ってるの!?」
「い、っつ……」
「あ、ごめん……」
あまりに興奮しすぎて、肩を強く掴みすぎちゃったみたいだ。いけないいけない……落ち着け私。
思わぬところからの手がかりに、私はテンションが上がるのを抑えられない。ついに、探していた場所への手がかりが見つかったのだ。
「あんたは、マルゴニア王国に用があるんだ?」
「別にご主人様とかそんな風に呼ばせるつもりはないけど、呼び方もう少しなんとかならない?」
私が買った奴隷……とはいえ、この子の人生を縛る訳じゃない。馴れ合うつもりもない。とはいえ、呼び方もう少しなんとかならないだろうか。あんた呼ばわりはさすがにな。
「……なら、アン」
「……まあいいや」
アン・クーマはとっさに出た私の偽名だが……まあ、名前はたいした問題じゃあない。
私が聞きたいのは、もっと別のことだ。
「それで、マルゴニア王国を知ってるって?」
「あぁ。そりゃこの世界でも有名なでかい国だし……ボクは、そこで売られたんだ」
マルゴニア王国を知っている……知識の話ではなく、実態に居たことがあるとして。そこで、彼は奴隷へと身を落としたのか。
なるほどね。つまり……
「キミも、マルゴニア王国に恨みがある」
彼は、無言でうなずく。そっか……これはまた、素敵な偶然だ。この世界に対する憎悪の瞳……その始まりが、私と同じくマルゴニア王国にあったなんて。
これはますます、運命を感じられずにはいられないね。
「私も、マルゴニア王国に用がある……そこのくそ野郎には、どうしても私自身の手で復讐を与えたい」
マルゴニア王国であれば、もちろん私を召喚したあの男はいる。なんたって王子だ。
さらに……もしかしたら、一緒に冒険した、仲間だった奴らもいるかもしれない。あいつらならば、私を退屈させはしないだろう。
「じゃ、案内してよ……マルゴニア王国へ」
「あぁ。あのくそったれな国のにおいは覚えてる……どこにいたって、探しだせるさ」
王国を知ってるだけでなく、場所まで……これはますます、好都合だ。
待ってろよ、マルゴニア王国……!




