第22話
扉が開く音がした。音が聞こえた方角的に玄関だろう。
家の宿主である空也は駆け足で玄関に向かった。
「戻ってきたか。」
空也が声をかけた先には、恒一と太郎がいた。
太「先生ただいま戻りました。」
恒「先生、遅れてすみません。」
恒一は歩きながら空也に頭を下げる。
空也は
「全然大丈夫だ。今日は仮免の反省会をやるつもりだったから、来てくれるだけでうれしいよ。」
と恒一に優しく話しかけた。
空也の言葉を聞き、恒一はゆっくりと顔を上げ、空也と目を合わせる。
「もう大丈夫なのか?」
「ええ、太郎さんのおかげで。」
空也はその言葉を聞き、恒一の肩をやさしく叩いた。
そして、空也は太郎に目を向ける。
「良くやった。」
「ありがとうございます。先生の助言のおかげです。」
「これからも恒一のことを助けてやってくれ。」
「わかりました。自分の手が届く範囲にいる内は精一杯助けます。」
「頼んだぞ。」
空也はそう言うと、恒一と同様に太郎の肩を優しく叩いた。
「よしっ、飯食ったら反省会をやるぞ!」
空也は二人にそう伝え、いつもご飯を食べている茶の間に向かった。
太郎と恒一は靴を脱ぎ空也の後を追って行った。
◇◇◇
昼食を終えた三人は座学を受けていた教室に入った。
恒一は試験の時と同じ机に座り、空也は黒板の前に立った。その隣には太郎もしっかりいる。
身だしなみを軽く整えた空也は恒一に話しかけた。
空「さて、本題に入る前に一つ聞いておこう。恒一、なぜ反省会を行わなければならないと思う?」
恒「はい!次同じ失敗をしないようにするためです。」
空「その通りだ。次の仮免は3月。ここまでに確実に受かるよう計画を練らなければならん。」
恒「今は9月だから…残り6か月ですか。」
太「6か月、苦手を克服するには十分な期間だ。」
空「そうだ。だが油断していると時間はあっという間に過ぎてしまう。故にしっかり計画を練なければならん。覚悟はいいか恒一?」
恒「はい!」
空也は恒一の言葉を聞き、黒板の下にあるチョークを手に取った。
そのまま黒板に『課題』と書き、恒一に話しかける。
「恒一、今の自分の課題点はどこだ?」
「はい。式操作です。」
「その通りだ。」
空也は課題と書かれているところの横に『式操作』と書き加えた。
空「内波の試験の時後ろで見ていたが、式操作がまだまだ拙いな。当たった瞬間に一気に流し込こんでしまっていた。これだと接触面に式が漏れて不発してしまう。これを矯正せないかん。」
恒「なるほど。そんな癖がついていたんですか…。」
太「癖…というよりも緊張によるものだろうな。」
空「太郎の言う通りだ。今の恒一だと感情の揺れによって不発するという危険が存在している。ここから箸でご飯を食べるくらい簡単にできる状態に仕上げる。いいな?」
恒「はい!」
◇◇◇
仮免試験終了の翌日。
龍明は採点書類を提出しに四国支部に来ていた。
慣れた通路を進んでいき、支部長室の前にやってきた。
龍明は扉の前に立ち止まり、扉を数回叩く。
「入れ。」
扉からの声を受け取り、龍明はゆっくりと扉を開けた。
「どうだった?受験者は。」
奥の机で書類を書いていた秋寧は筆を止め龍明に目線を向けた。
「はい。昨日帰って採点してたのですが、座学100点満点中85点で合格、体術も基準値をギリギリ満たす感じでした。ただ、式操作が基準値を大幅に下回ってしまいそれによって不合格になったという感じですね。」
「ほう。式操作はどれくらい酷かったんだ?」
「試験内容は『10回以内に内波を3連続決める』という内容でしたが、一度も決めることができませんでした。」
「ふーん。」
秋寧は後ろで腕を組み、椅子にもたれかかった。
「たつ(龍明の愛称)、恒一君のことどう思った?」
「そうですね…。半年でこの成長は早いなって思いましたね。このまま成長してくれれば半年後には確実に受かりますね。」
「なるほどね。」
秋寧は視線を天井を向けた。
その後龍明と秋寧の間に少しの間沈黙が訪れた。
「次の試験官誰にしようかねぇ?」
秋寧が沈黙を突き破り、龍明に話しかけた。
「支部長は行けないのですか?」
「支部長も副支部長も3月は忙しいからねぇ。行けそうにないかな。」
「僕もその時期は厳しいですねぇ。」
「そうか…。となれば行けるのはセイナくらいか。」
「セイナですか?でもあいt」
「他に変わりは。」
「いませんねぇ。」
「じゃあ決まりだな。セイナに頼んでおくよ。」
「うっす。じゃあ自分は失礼します。採点書類どこに置いとけばいいですか?」
「ああ、机に置いといてくれ。今日はありがとう。」
龍明は秋寧の机に書類を置き、「失礼しました。」と一礼して部屋を後にした。
本来は6月26日に投稿する予定でしたが、学生証を無くすという事態が発生したため急遽休載という措置になりました。本当にごめんなさい。




