第14話
太郎が見守る中、空也と恒一の攻防戦が続く。
恒一が何とか隙を作ろうと必死に攻撃をしていく。
だが、空也はそれを完璧にいなしてしまう。
しかも空也は笑みを浮かべながら…。
恒一の脳内に式を使った攻撃をするという選択肢はなかった。
その大きな理由は、恒一の式操作の精度が未熟だからだ。
相手は恒一にとっての先生である空也。
今まで共に組手を行ってきた太郎とはわけが違う。
そんな人物を相手に新たなことを試みようとすることは危険すぎる。
他にも空也の式能を警戒するといった面もあるが、結局式操作が未熟でうかつに使えないという結論に至る。
そのことを知らない太郎は、恒一の警戒心の高さに感心しながら見守る。
恒一の動きは組手を始めたときとはわけが違う。
動きの無駄な癖がほとんどなくなり、攻撃一つ一つが鋭く素早くなった。
また、攻撃をし続けながらも防御にすぐに移行できる構えを維持しているのは努力の賜物と言えるだろう。
だが、それでも
「先生には程遠いな。」
太郎はそうつぶやいた。
◇◇◇
恒一は空也に両拳両脚で攻撃しながら、必死に背後を取ろうとする。
しかし、空也は背後に向かおうとする恒一と常にへそが向かい合うよう立ち回る。
恒一はこの攻防戦で左右に何十周もした。
それでも、空也の背後をとることができなかった。
「少し疲れてきたかな?ついさっきから攻撃方法が固定化されているよ。」
空也の言葉を耳に入れつつも恒一は攻撃をし続ける。
空也の言っていることは間違いではない。
現に恒一は息をわずかに切らしている。
時間にしておよそ10分。
恒一はずっと空也に攻撃をしていた。
たまに空也の攻撃を受け止めているとはいえ、恒一の脳内は攻撃で埋め尽くされているのかというほど攻撃をしている。
恒一の脳はもう…限界だった。
10分以上休まず攻防戦を繰り広げたことで、脳が冷静な判断ができないほど疲れてしまっていたのだ。
普段の太郎との組手では5分もたたずに太郎に一撃をもろにくらい倒れてしまうが、今回はその倍以上格上との組手をしている。
また、攻撃に意識を集中しすぎたせいで式操作が疎かになり、疲労を回復していない。
これらにより、恒一はただ攻撃するだけの存在となってしまったのだ。
「うーん、今日はここまでかな。」
そう言うと空也は恒一の両拳を受け止める。
いなしていた空也の腕が急に拳を受け止めたことに恒一は戸惑う。
なんとかほどこうともがくが、空也の握力がすさまじくほどくことができない。
そして、恒一の腹に強烈な痛みが走る。
恒一の視線の先には空也の膝が腹に直撃していた。
空也の膝蹴りによる痛みと長時間の攻撃による疲労によって、恒一は道場に倒れてしまった。
◇◇◇
「やっぱり長時間の戦闘は恒一には早かったか~。」
道場にあぐらをかきながら座る空也は恒一に話しかける。
起きたばかりの恒一は頭を押さえながら正座をして空也と話す。
「太郎さんとの組手ではこんなことにはならなかったのですが…、やっぱり自分はまだまだですね。」
「恒一、自分はまだまだという理由だけで片付けてはだめだ。」
端で見ていた太郎が恒一に話しかける。
太「お前の中で何が足りなかったのか、それを分析しなければ今後に生かされないぞ。」
恒「はい。自分のダメだったところ…、攻撃に意識を向けすぎたことでしょうか?」
空「いや、あれは私がわざと恒一が攻撃をし続けるよう仕向けていたんだよ。」
恒「…確かに。空也さんはあまり攻撃をしてきませんでした。なので自分は攻撃に意識を向けすぎて…。」
空「やっぱり恒一は単純すぎる。攻撃に意識を向けるとずっと攻撃をしてしまう。攻撃することも大事だが、一番は冷静な判断ができる状態にしておくことだ。今回はしなかったが、正直攻撃する隙は結構あったぞ、特に後半。」
恒「でも、自分は先生の攻撃を何度も受け止めていました!」
太「あれは恒一が攻撃ばかりに集中しないよう牽制の意味での攻撃だ。」
恒「そうだったんですか…。」
空「しかし式操作を全く使わなかったのが意外だったな。というか使えなかったのか?」
恒「はい…。あの時使えば隙を十分さらすのではと思いまして…。」
空「なるほど。私の式能を警戒してというわけではないのだな。」
恒「何のことですか?」
太「先生の式能で視界内の式の動きが見れる。だから俺は最初、先生の式能を知っていたか、あるいは警戒して式を使っていないと思っていたんだがな…。後半の疲労っぷりに単純に使えなかったのかと少しがっかりしたぞ。」
空「ははっ。そうだな。式操作がしっかりできていれば戦いながら疲労を回復して組手を続けられたな。」
恒「そうだった…!気づけておけば…。」
空「この辺はもう実践経験がものをいうな。数をこなしていくしかない。」
恒「そう…ですね。はやく先生に追いつけるよう頑張ります!」
太「その前に俺を超えてもらわないとな。」
3人の笑い声が道場中に響いた。
スランプです。
文章化能力が成長しません。
助けてください。




