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世界1のサッカー選手と落ちこぼれ高校生が入れ替わった話  作者: おばれ
第四章 序列を超えろ!二軍対三軍、試合 (前半戦)
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第54話 痛恨の失点


ピッチの外で見ていた守谷が、わずかに目を細めた。


「……やられたな」


小曽根が横を見る。


「何がだ?」


守谷は、牧が戻ろうとしている左サイドを見た。


「あの一年のサイドバックを、わざと上がらせた。あいつが守備にいると二軍の攻撃は引っかかる。なら、上がらせてから、その裏を使う」


小曽根は短く息を吐いた。


「なるほどな」


守谷は続ける。


「あの一年の読みだな。暗い顔してるわりに、嫌なところを見てる」


柴山は前線でボールを収め、鬼米の上がりを待った。


三軍の選手たちは、柴山へ寄せようとする。


だが、柴山は慌てない。


一拍、ためる。


そして、走り込んできた鬼米へパスを出した。


鬼米鉄が、前を向く。


その瞬間、三軍の選手たちは圧を感じた。


重い。


ただ走っているだけなのに、迫ってくる迫力が違う。


まるで、重戦車。


「どけどけどけぇ!」


鬼米が吠えた。


キソマルが身体を張って止めに入る。


「俺がいく!」


だが、鬼米の肩がぶつかった瞬間、キソマルの身体が弾かれた。


「ぐっ……!」


さらに別の三軍選手が寄せる。


鬼米はボールを少し前へ押し出し、強引に突破した。


一人。


二人。


三人。


三軍の選手たちは止めようとするが、正面からぶつかれば弾かれる。


一部の選手は、鬼米の圧に思わず足を止めた。


避けてしまった。


それほどまでに、鬼米の突進には迫力があった。


「まずい!」


キソマルが叫ぶ。


鬼米は、あっという間にゴール前まで迫った。


右足を振り上げる。


「ぶっ潰す!」


シュートモーション。


誰も間に合わない。


そう思われた瞬間だった。


赤城零が、そこに滑り込んだ。


「なっ……!」


鬼米の目が見開かれる。


赤城は前線にいたはずだ。


さっきまで、鬼米と駆け引きをしていたはずだ。


それなのに――。


誰よりも早く戻り、ゴール前で身体を投げ出していた。


鬼米のシュートが、赤城の身体に当たる。


鈍い音が響いた。


ボールが弾かれる。


「赤城!」


三軍から声が飛ぶ。


ピッチの外もざわついた。


「戻ってきたのか、あそこまで……?」


「ワントップだろ、あいつ」


「今の運動量、普通じゃないぞ」


森本監督も、思わず目を細める。


「攻撃だけじゃない。あそこまで戻るか」


吉澤コーチが驚いたように言う。


「相当きついはずです。さっきから攻撃の中心にもなっているのに」


鬼米は、ブロックに入った赤城を見下ろしていた。


驚き。


そして、その奥に喜びがあった。


「はっ……」


鬼米は笑った。


「お前、そこまで戻ってくんのかよ」


赤城は息を吐きながら、立ち上がろうとする。


「守らないと、点を取られますから」


「ますます気に入ったぜ」


だが、次の瞬間――。


赤城がブロックしたボールは、こぼれ球になっていた。


その先に、二軍の選手が詰めている。


「こぼれた!」


三軍の選手が反応するより早く、二軍の選手が右足を振った。


シュート。


ボールはゴール左隅へ転がる。


GKが飛ぶ。


届かない。


ネットが揺れた。


――同点。


二軍が追いついた。


「よし!」


柴山が拳を握る。


三島の読み。


柴山のキープ。


鬼米の突進。


牧が上がった隙を完全に突かれた。


二軍が、チームとして三軍を崩して奪った一点だった。


さあ、これでまた同点!次回もお楽しみに!

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