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世界1のサッカー選手と落ちこぼれ高校生が入れ替わった話  作者: おばれ
第四章 序列を超えろ!二軍対三軍、試合 (前半戦)
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第51話 重戦車、再び

鬼米は、二軍キャプテンの柴山へ歩み寄った。


「柴山さん」


柴山は顔をしかめる。


「……なんだ」


「俺に、もう一回あいつをやらせてください」


「赤城をか?」


「はい」


鬼米は、赤城を睨んだまま答えた。


「次は突っ込みすぎません。あいつは俺の勢いを使ってかわした。だったら、今度は勢いを殺してぶつかればいい」


柴山の眉間に皺が寄る。


「今ので分かったと思うが、赤城は只者じゃない。現にお前をかわしたあの動き、次もやられて止められる保証はないだろ、それでもサシでいくというのか?」


「やられっぱなしは、性に合わないんで」


鬼米は拳を握った。


「それに、突っ込みすぎなければ、俺が負けるわけないです。技術があろうが、駆け引きがあろうが、最後に身体を当てれば俺の方が強い」


グラウンドの外で見ていた守谷が、小さくため息をついた。


「出たな、鬼米の悪い癖」


隣にいた小曽根も、腕を組んだままうなずく。


「……そうだな」


守谷は続けた。


「あいつ、強い相手を見ると、すぐサシで潰したがる。一軍の試合でも何度かあった。そのたびに俺か監督がなだめてきた」


小曽根はピッチの鬼米を見たまま、短く息を吐く。


「ま、ああいう奴だからな」


森本監督も、鬼米の様子を静かに見ていた。


「……悪い癖だな」


吉澤コーチが隣から尋ねる。


「止めますか?」


森本監督は腕を組んだまま、すぐには答えなかった。


ピッチの中では、柴山が鬼米を睨んでいる。


「鬼米。これはお前の喧嘩じゃない。カテゴリ戦だ。チームの試合だ」


「分かってます」


「なら、サシで止めることにこだわるな。ここからは安全に赤城には二枚で対応する」


鬼米は一歩も引かなかった。


「お願いします。あいつを止めたいんです」


「二枚で挟めばいい。普通に考えれば、それが一番確実だ」


「それじゃ意味ないです」


「意味?」


鬼米は低い声で言った。


「あいつに一回やられたのは俺です。だったら、俺が返します」


柴山は舌打ちした。


さっきのゴールを見る限り、赤城零はただの一年ではない。


むしろ、二軍全体で警戒すべき相手だ。


だが、鬼米の目はもう完全に赤城しか見ていなかった。


ここで無理に抑え込めば、逆に守備の集中を欠く可能性もある。


柴山は深く息を吐いた。


「……分かった」


鬼米の表情が、わずかに明るくなる。


「ただし、条件がある」


「なんですか」


「サシは許す。だが、突っ込みすぎるな。抜かれた時のカバーは三島が入る。中央のスペースは全員で締める。お前が赤城を見る間、チーム全体で赤城の逃げ道を消す」


三島が、暗い顔のままうなずいた。


「……まあ、それが現実的ですね」


柴山は鬼米に鋭い視線を向ける。


「勘違いするな。お前一人に任せるんじゃない。お前を中心に守るだけだ」


鬼米はニヤリと笑った。


「十分です」


柴山は、もう一度だけ念を押す。


「熱くなりすぎるなよ」


「大丈夫です。次は、ちゃんと見て潰します」


鬼米は、再び赤城へ視線を戻した。


さっきは勢いを利用された。


なら、次は勢い任せには行かない。


距離を詰める。


身体を当てる。


そして、最後はパワーで潰す。


鬼米の中では、まだ答えは変わっていなかった。


自分の力が通用しないはずがない。


突っ込みすぎなければ、負けるはずがない。


次回もお楽しみに!

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