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世界1のサッカー選手と落ちこぼれ高校生が入れ替わった話  作者: おばれ
第四章 序列を超えろ!二軍対三軍、試合 編
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50/52

第50話 たった一人のゴールで、三軍の空気が変わった

鬼米は振り返ったまま、しばらく動けなかった。


自分の突進をかわされた。


力でねじ伏せるはずだった相手に、力そのものを利用された。


やがて、鬼米の口元がゆっくりと上がる。


怒りではない。


悔しさだけでもない。


歓喜に近い笑みだった。


「……なんて奴だ」


鬼米は拳を握る。


胸の奥が熱くなる。


こういう相手を待っていた。


全力でぶつかって、それでも倒れない相手。


むしろ、その力を利用して前へ進む相手。


「赤城……」


鬼米の目が、獲物を見るように鋭くなる。


「お前が、俺が戦ってみたかった相手だ」


観戦中の一軍のメンバーも騒然としていた。


守谷は静かに息を吐く。


「……あれが1年か」


小曽根も言葉を失っていた。


大神は旗を持ったまま、楽しそうに笑う。


「こら、面白くなってきたな」


青砥は無言だった。


だが、その目から退屈の色は消えていた。


ラインズマンとして立っていることに納得していなかったはずの青砥が、今は赤城の動きを追っている。


森本監督は、ゆっくりと佐々木コーチと吉澤コーチを見た。


「……彼は、本当に何者なんだ」


その声には、珍しく驚きが混じっていた。


佐々木コーチは答えられない。


吉澤コーチも、ただグラウンドを見つめている。


森本は再び赤城へ視線を戻した。


「ただ点を取っただけじゃない」


森本の目は、赤城の周囲へ向いていた。


さっきまで怯え、迷い、足が止まりかけていた三軍の選手たち。


その全員の目に、再び火が灯っている。


「一人でチームの空気まで変えてしまった」


佐々木コーチが息を呑む。


森本は低く呟いた。


「本当に……なんというやつだ」


コーチたちは何も言えなかった。


その評価は、決して大げさではなかった。


三軍の選手たちは、赤城のもとへ駆け寄る。


さっきまで沈んでいた空気は、完全に変わっていた。


勝てるかもしれない。


いや、勝ちたい。


赤城がいるなら、二軍相手でも戦える。


赤城は静かにゴールネットを見ていた。


そして、ゆっくりと振り返る。


視線の先には、鬼米鉄。


赤城の目もまた、熱を帯びていた。


鬼米は、自陣へ戻りながらも赤城から目を離せなかった。


胸の奥が熱い。


鬼米は、しばらくその場に立ち尽くしていた。


抜かれた。


それも、真正面から力で弾き飛ばされたわけではない。


自分の突進を、利用された。


「……っ」


鬼米は奥歯を噛み締めた。


悔しい。


ただ、恐怖はない。


むしろ、腹の奥から熱がこみ上げてくる。


赤城零。


あいつは、思っていたよりずっと上手い。


だが、それでも鬼米の中にある答えは単純だった。


――さっきは、突っ込みすぎた。


それだけだ。


「世界1のサッカー選手と落ちこぼれ高校生が入れ替わった話」という作品を書き始めて今回で50話となりました。まさか、飽き性の自分がここまで続くとは(笑)

構想では、赤城が日本代表になるまでは書き続けたいと思っています。それを実現するとなると1000話は余裕で超えそう(笑)まあ、ゆっくり書いていきます。

私の作品を見て、サッカーを見てみよう、やってみようと思う人が増えてくれることを願ってます!だってサッカーって本当に素晴らしいスポーツだから!

物語はまだまだ続くので今後もよろしくお願いいたします。


                        永遠のヒーロー おばれより

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