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世界1のサッカー選手と落ちこぼれ高校生が入れ替わった話  作者: おばれ
第四章 序列を超えろ!二軍対三軍、試合 編
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第45話 全力でぶっ潰します

一方、二軍ベンチ前。


三軍とは違い、そこには落ち着いた緊張感が漂っていた。


二軍のキャプテン、三年の柴山は、手元のメモを見ながら選手たちを集めていた。


表情は冷静。


だが、その目は三軍側のアップを何度も確認している。


特に、一年のFW赤城零。


軽いパス回し。


身体の向き。


ボールを受ける前の首振り。


走り出す一歩目。


どれも、三軍の選手とは明らかに違っていた。


さらに、三軍の三年からも話を聞いている。


紅白戦で赤城が何をしたのか。


横田たちを相手に、どれほど異質なプレーを見せたのか。


そして、とんでもないシュートまで放ったこと。


柴山は、そこまで聞いてなお、話を盛っているとは思わなかった。


なぜなら――。


今のアップを見れば分かる。


あの一年は、普通ではない。


「まず、確認する」


柴山は、全員を見渡した。


「三軍だからといって油断するな。特にあそこにいる一年、名前は赤城零というらしい。あいつは要注意だ。三年の中でも噂になっててな、化け物みたいな一年が三軍にいるって」


二軍の選手たちの視線が、三軍側へ向く。


赤城は、表情を変えずにボールを受けていた。


柴山は続ける。


「前線でボールが入ったら、簡単に前を向かせるな。足元で受けさせた時点で危険だ」


一度、言葉を切る。


「周囲の選手も、赤城に集まりすぎるな。あいつを囮にして、サイドを使ってくる可能性もある」


作戦は淡々としている。


だが、細かい。


三軍を下に見ている雰囲気はなかった。


「赤城には、三島と鬼米で対応する」


その言葉に、一人の一年生がわずかに肩を動かした。


三島。


二軍にいる数少ない一年生の一人。


身長百八十二センチ。


大柄な体格に反して、ボールタッチは柔らかい。


後方からのロングフィードと足元の技術に優れ、守備力もそこそこある。


そして――性格は暗い。


三島は少し伏し目がちに、ぼそりと呟いた。


「……俺と鬼米さんで、ですか」


「そうだ」


柴山はうなずく。


「赤城は一人で見るには危険だ。お前が距離を取ってコースを切り、鬼米が潰す」


「現実的ですね……」


三島は、小さく息を吐いた。


「一対一で止めるとか言い出すより、ずっとマシです」


その瞬間。


隣に立っていた鬼米鉄が、ぐっと拳を握った。


「いや、俺がサシでやります」


三島の目が、ゆっくり鬼米へ向く。


「……言い出した」


鬼米は、赤城を見ていた。


その目は、完全に燃えている。


「あいつ、面白そうじゃないっすか。一年で、あの動き。だったら俺が正面から止めます」


柴山は眉をひそめる。


「鬼米。相手を甘く見るな」


「甘く見てないっす」


鬼米は即答した。


「だからサシでやりたいんすよ。全力でぶっ潰します」


三島が、少しだけ後ろへ下がる。


「……暑苦しい」


鬼米が振り向く。


「なんか言ったか、三島」


「いえ。現実的じゃないなと思っただけです」


「現実なんてもんは、ぶつかって変えるもんだろ」


「いや、そういう精神論が一番苦手です……」


三島は、心底面倒くさそうに目を伏せた。


柴山は深く息を吐く。


「鬼米。気持ちは分かった。ただし、最初だけだ」


「最初だけ?」


「序盤はお前に任せる。だが、危険だと判断したら三島と二枚で対応する」


鬼米は少し不満そうにしたが、すぐにうなずいた。


「分かりました。最初でぶっ潰します」


「だから、ぶっ潰すな。止めろ。監督にも言われてるだろ。」


柴山の訂正に、二軍の何人かが苦笑した。


三島だけは笑わず、赤城の方を見ていた。


「そんな厄介な奴を一対一で止めに行くとか、本当に理解できない」


小さな声。


三島の目にも警戒はあった。


ウォーミングアップ中の赤城の動きは、見れば見るほど嫌だった。


柴山が最後に全員へ声をかける。


「いいか。これはカテゴリ戦だ。上にいる俺たちが、下の相手に飲まれるわけにはいかない」


二軍の選手たちが顔を上げる。


「相手が三軍でも、勢いに乗らせれば厄介だ。最初の十分で主導権を握る。甘く入るな」


柴山は手を差し出した。


「円陣」


選手たちが集まる。


鬼米は、誰よりも強く肩を組んだ。


「勝つぞ」


柴山の声に、二軍の選手たちが応える。


「おおっ!」


その中で、鬼米だけがひときわ大きな声を張り上げた。


「全員まとめてぶっ潰すぞおおお!」


「いや、勝つぞでいいですよね…」


三島が小さく呟く。


その熱さに、少し引いている。


だが、鬼米は気にしない。


拳を握り、すでに戦う相手を見据えていた。


――その視線の先にいるのは、三軍の一年生。


赤城零。


そして、試合開始の笛が鳴ろうとしていた。


次回、白熱のカテゴリ戦キックオフ! 次回もお楽しみに!

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