↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界1のサッカー選手と落ちこぼれ高校生が入れ替わった話  作者: おばれ
第四章 序列を超えろ!二軍対三軍、試合 編
PR
42/50

第42話 一軍復帰を懸けて、零明の重戦車が動き出す

一軍の選手たちもグラウンド脇へ集まり始めていた。


キャプテンの守谷を中心に、小曽根を含む三年生たち。


その後ろには数人の一軍メンバーが並び、これから始まる二軍対三軍のカテゴリ戦を見ようとしていた。


その時だった。


グラウンドの向こう側から、大きな足音が近づいてくる。


「守谷さん!」


低く、よく通る声。


振り向いた守谷の表情が、少しだけ柔らかくなった。


「鬼米」


そこに立っていたのは、二年生DF・鬼米鉄だった。


ただ歩いてくるだけで、周囲の空気が少し重くなる。


零明の重戦車。


三月の練習試合で足首を負傷し、しばらく戦列を離れていた、元一軍センターバックだった。


「戻ってきたか」


守谷が声をかけると、鬼米は力強くうなずいた。


「はい。もういけます」


「足首は?」


「問題ないっす」


守谷は、じっと鬼米の足元を見る。


「本当にか?」


「……ちょっとだけ違和感はあります」


「あるんじゃないか」


「でも走れます。跳べます。ぶつかれます。なら問題ないっす」


鬼米は拳を握った。


「今日は二軍ですけど、全力でいきます。三軍だろうが一年だろうが、全部ぶっ潰して、一軍に戻ります」


守谷は苦笑する。


「ぶっ潰すな。止めろ」


「……止めます」


あまりにも素直な返事に、周囲の三年生たちから小さな笑いが漏れた。


鬼米は、ふとグラウンド脇に立っている副審の方へ視線を向ける。


片方は大神。


そして、もう片方は無表情で旗を持つ青砥煉。


鬼米の目が細くなった。


「あれが噂の青砥煉っすか」


小曽根の眉が、ぴくりと動く。


守谷も、わずかに嫌な予感を覚えた。


「ああ。一年で一軍に上がったトップ下だ」


「東京ムサシジュニアユース出身の天才ってやつですよね」


鬼米は、青砥をまっすぐ見た。


「挨拶行ってきます」


そう言って歩き出そうとした瞬間――。


守谷が反射的に鬼米の肩を掴んだ。


「待て」


「なんすか?」


「今はやめておけ」


「なんでですか?」


守谷は、一瞬だけ言葉を選んだ。


本音を言えば、青砥がいつもの調子で失礼な態度を取り、鬼米がそれに反応する未来が見えていた。


だが、それをそのまま言うわけにもいかない。


守谷は、落ち着いた声で言った。


「あいつ、今日はラインズマンだ。慣れない役目で緊張してるだろうから、そっとしておけ」


鬼米は、少し驚いたように青砥を見る。


「そうなんすか」


「そうだ」


守谷は、平然と言い切った。


その横で、小曽根が低く吐き捨てる。


「挨拶なんか必要ねぇよ。大した奴じゃない」


守谷がわずかに眉を寄せた。


だが、小曽根はそれ以上何も言わなかった。


鬼米は少し考え、それからあっさりとうなずいた。


「分かりました。試合前に邪魔するのも悪いっすね」


守谷は、内心で小さく息を吐いた。


「それより鬼米」


守谷は、話題を切り替える。


「油断するなよ」


鬼米の目が鋭くなる。


「油断はしません」


その声には、すでに熱がこもっていた。


「相手が三軍でも一年でも関係ない。俺はどんな敵でも全力でぶっ潰します」


「だから、ぶっ潰すな。止めろ」


「止めます」


またしても同じやり取り。


それに、周囲から小さな笑いが起こる。


だが、鬼米の表情は真剣だった。


一軍へ戻るための試合。


自分の力を証明するための試合。


鬼米鉄は、すでに戦う準備を終えていた。


守谷の視線が、ふとグラウンドの端へ向く。


三軍のアップ。


その中にいる、一人の一年生に…


次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。