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世界1のサッカー選手と落ちこぼれ高校生が入れ替わった話  作者: おばれ
【番外編 その1】 世界一の身体、落ちこぼれの魂 編
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第32話 【番外編その1・前編】 僕の憧れは、世界一のストライカーだった

僕は、サッカーが大好きだ。


小学校の頃から、ずっとボールを追いかけてきた。


「零、今日も一緒に帰ろうぜ!」


「うん、銀次」


鶴見銀次。


僕が小学校の頃から、ずっと一緒にサッカーをしてきた友達だ。


僕たちは、小学校から同じチームでサッカーをしてきた。


けれど――二人とも、あまりサッカーが上手くなかった。


練習では頑張っている。


自主練もする。


それでも、試合になると出番は少なかった。


それでも、僕たちはサッカーをやめなかった。


「いつか、俺たちも試合で活躍しようぜ!」


銀次は、何度もそう言った。


僕も、そのたびに笑って答えた。


「うん。頑張ろう」


だけど――。


心の中では、ずっと思っていた。


僕なんかが、上手くなれるのかな。


試合に出ても、ミスをする。


周りの選手のほうが上手くて、自分だけ置いていかれる。


僕は、サッカーが好きだ。


だけど、好きなだけでは上手くならない。


だから、僕には自信がなかった。


そんな僕にも、一人だけ憧れているサッカー選手がいる。


クリス・レッド。


世界最高のストライカー。


僕は彼のことを、いつもこう呼んでいた。


――レッド様。


世界一のストライカー。


どんな状況でもゴールを奪う。


世界中のディフェンダーが警戒しているのに、それでもゴールを決める。


僕にとって、レッド様は憧れそのものだった。


いつか、あんな選手になれたら。


そんなことを、何度も夢見た。


もちろん、無理だと思っていた。


それでも――。


レッド様のプレーを見るのが、僕は大好きだった。


その日も、僕は学校でサッカーのことを考えていた。


特にその日の夜は、レッド様率いるポルトガル代表がワールドカップ決勝でスペインと戦う。


サッカーが好きな者なら、楽しみで仕方ない試合を控えている日だった。


そして――。


その日の午前中。


僕は体育館裏で足を滑らせた。


「うわっ!」


身体が大きく傾く。


次の瞬間――。


ゴンッ!


鈍い音がした。


後頭部に強い衝撃。


「……痛っ……」


視界が揺れた。


立ち上がろうとしたけれど、身体に力が入らない。


「零!?」


誰かの声が聞こえる。


銀次だ。


「おい、零! 大丈夫か!?」


「……銀次……?」


「頭打ったのか!?」


銀次が慌てて僕の身体を起こす。


「保健室行くぞ!」


「大丈夫……だよ」


「大丈夫なわけあるか!」


銀次に肩を貸してもらいながら、僕は保健室へ向かった。


頭が重い。


それだけだった。


吐き気もない。


意識もある。


だから、僕はたいしたことじゃないと思っていた。


でも――。


保健室の先生は、すぐに母親へ連絡した。


そして、そのまま学校を早退することになった。


病院で検査を受ける。


幸い、脳に異常はなかった。


「大きな問題はありません。ただ、今日は安静にしてください」


医師からそう言われた。


母さんが迎えに来てくれて、僕はそのまま家へ帰った。


けれど――。


頭の重さだけは、ずっと残っていた。


「零、本当に大丈夫?」


「うん……大丈夫」


そう答えたものの、自分でも少し不安だった。


それでも、その夜。


ワールドカップ決勝。


ポルトガル対スペイン。


そして――。


レッド様が出場する。


「……絶対に見る」


頭が重くても、それだけは譲れなかった。


そして深夜。


ついにキックオフの時間がやってきた。


テレビ画面いっぱいに、巨大なスタジアムが映し出される。


観客席は埋め尽くされていた。


その熱気だけで、画面越しにも空気が震えているように感じる。


そして――。


選手入場。


「来た……!」


僕はテレビに釘付けになった。


ポルトガル代表。


背番号17。


クリス・レッド。


「レッド様……!」


思わず声が出る。


実況も興奮した声を響かせていた。


『今日も大注目、クリス・レッド!』


スタジアムが大歓声に包まれる。


僕の胸も高鳴った。


世界最高のストライカー。


僕がずっと憧れてきた人。


その人が今、ワールドカップ決勝のピッチに立っている。


「すごい……」


僕は画面を見つめた。


自分とは、何もかも違う。


才能も。


身体能力も。


技術も。


メンタルも。


全部が違う。


でも――。


僕は、そんなレッド様を見るのが大好きだった。


「いつか……」


小さく呟く。


「僕も、あんなふうに……」


その瞬間だった。


視界が、ぐらりと揺れた。


「……あれ?」


頭が重い。


急に、身体から力が抜けていく。


テレビの音が遠ざかる。


『クリス・レッドが――』


実況の声が、途切れ途切れに聞こえる。


「……レッド……様……」


そこで、僕の意識は途切れた

番外編は、赤城零サイドから!前編になります。 次回、後編もお楽しみに!

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