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世界1のサッカー選手と落ちこぼれ高校生が入れ替わった話  作者: おばれ
第二章 三軍の底から下剋上 編
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第25話 三軍の落ちこぼれだと思っていた一年が、化け物だった

 グラウンド脇の吉澤コーチが、思わず前に出る。


「今の……トラップしたのか? 撃ったのか?」


 佐々木コーチも目を細めたまま、赤城を見つめていた。


「両方だ。いや……ほとんど同時だった」


「高校生が、あんな処理できるのか?」


「普通は無理だ」


 二人の間に、重い沈黙が落ちる。


 吉澤は無意識に呟いた。


「……あんなプレイヤー、うちにいたのか」


 牧も、左サイドから動けずにいた。


 今のプレーを見て、背筋が震えていた。


 鶴見のパスはズレていた。


 しかも赤城は、横田に引っ張られていた。


 それなのに、赤城はそのすべてを受け入れた上で、ゴールに変えた。


 牧は小さく息を呑む。


 前半でベンチに下がっていた一年生たちも、言葉を失っていた。


 数日前、赤城は横田に喧嘩を売った。


 あの時は、無謀だと思った。


 何を言っているんだと思った。


 一番下手くそのくせに――。


 そうさえ思っていた。


 だが、今なら分かる。


 赤城は、勝てると思っていたのだ。


 いや、違う。


 勝つために――最初からすべてを見ていた。


「……赤城って、こんなに上手かったのかよ」


 誰かが呟いた。


 その声には、もう嘲笑はなかった。


 鶴見は、ゴールを決めた赤城を見ながら、拳を震わせていた。


(すげぇ……)


 自分のパスはズレた。


 それでも、赤城は決めた。


 だが、鶴見には分かっていた。


 あれは、赤城が無理やり合わせたのだ。


 完璧なパスではない。


 それでも――決めた。


「……化け物かよ」


 鶴見はそう呟きながら、笑っていた。


 赤城は横田を見下ろすこともなく、ゴールの中のボールを拾いに向かった。


 そして、静かに言う。


「あと一点」


 その声は、今度こそ全員に届いた。


 逆転まで、あと一点。


 三軍グラウンドの空気が――完全に変わっていた。


さあ、逆転できるか?1年チーム 次回もお楽しみに!

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