表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/42

第17話:ジャージ越しの熱と、暗黙のルール

林間学校のキャンプ場は、湖のほとりにある鬱蒼とした森の中だった。


「いいか、ここは蚊やブユが多いからな。絶対にジャージの裾を捲るなよ」


教師の権藤が、虫除けスプレーを撒き散らしながら注意を促す。


昼間のプログラムは、驚くほど健全だった。


飯盒炊爨での火おこし、湖畔でのフィールドワーク。ワカハは重い水缶を軽々と運び、カポエイラで鍛えた足腰の強さを見せつけていた。ジャージ越しでも分かる、その太もものしなやかな曲線。動くたびに浮き出る、背中の肩甲骨のライン。


(……あんなに動いて。あんなに健康的なのに。夜になれば、またあの『お返し』が始まるのか……?)


佐藤は知っていた。この林間学校には、教師たちも見て見ぬふりをする「伝統」があることを。


テントのメンバーは夜が更ければ入れ替わり、誰がどのテントにいても、朝までに戻っていれば咎められない。


それは「共有」を文化とするこの村の、年に一度の解放区なのだ。


夕食後の片付け中、ワカハが佐藤の横を通り過ぎる際、小さく囁いた。


「……今夜。……楽しみだね、佐藤くん」


その声は、森のざわめきに紛れて、佐藤の耳の奥にだけ、熱いくさびのように打ち込まれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ