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第4章:林間学校と、重なり合う残響  第16話:一ヶ月の空白と、緑の監獄

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祭りの夜の、あの狂おしいほどの熱狂から一ヶ月が過ぎた。


季節は夏本番。都会ならアスファルトの照り返しに喘ぐ時期だが、この村では容赦ない蝉時雨と、肌にまとわりつく湿った緑の匂いが支配している。


佐藤は、ガタガタと揺れる送迎バスの硬い座席で、自分の膝を見つめていた。


学校指定の紺色のジャージ。吸汗速乾素材のはずだが、じっと座っているだけで背中がじっとりと湿る。


(……一ヶ月だ。あの日から、一ヶ月も経ったんだ。なのに、僕たちの関係は一ミリも動いていない……!)


隣に座る田中は、イヤホンで音楽を聴きながら爆睡している。


佐藤は、数列前に座るワカハの後頭部を盗み見た。彼女もまたジャージ姿で、ポニーテールにした黒髪が、バスの揺れに合わせて小さく跳ねている。


あの祭りの翌日、彼女は平然と「みんなのワカハ」に戻った。昨日まで、二人で月明かりの下にいたことなど、最初から無かったかのように。


問い詰めようにも、彼女のあまりに自然な「クラスメイト」としての振る舞いに、佐藤は言葉を飲み込み続けてきた。


「……佐藤くん。そんなに外を見てると、酔うよ」


不意に、ワカハが振り返った。


その切れ長の瞳。一ヶ月前、自分を求めていたはずの瞳が、今はただの「世話焼きなクラスメイト」として佐藤を見ている。その温度差に、佐藤の胸はキリキリと音を立てて軋んだ。

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