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三兄弟  作者: 一二三


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末っ子という生き物 −5

 秋になり、何となく課金事件の熱りが冷めてきた(何で分かるかと言うと、お風呂掃除など『お仕置き』と言い付けられているお手伝いを催促されてからするようになってきた)頃、三男が再チャレンジしてきた。


 「ママ、前に言ってたディズニーランドの話なんだけどさー。保護者も一緒だったらいい?」

 「保護者って誰?」

 「友達の〇〇君のお母さん。あともう一人他のお母さんも行くかも。」

うーん。面倒臭い事を言う。中学生にもなって自分の親がどういう人か想像つかないかな。親同士の付き合いが無いにも関わらず「良かったね、行ってらっしゃい。」なんてなるわけないじゃん、と思うんだが。

 

 「ないな。」

 「え、と、それは何で?」

 「容易に想像つくと思うんだけど、サンサンは不思議な子だなあ。」

 「え」

 

 「サンサンが一人で行く、はダメじゃん。かかる費用が大きくてリスキーだし、何かあっても対処できない&責任持てない。でしょ?」

 「うん。だから保護者がいればいいんじゃないかなって。」

 「誰の保護者よ?。ママはさー、よく知らん他所の子を連れてディズニーランドに一泊旅行とか絶対行けないワケ。とても責任持てないもんね。怖すぎる。ママのお友達の子とかだったらまた別よ。親同士どんな人かよく知ってて信頼関係があるからね。けど今回は違うじゃん。自分は絶対無理って思うような事を他の人にさせられないでしょ。」

 「でもでも、僕だけじゃなくて友達6人くらいだよ。」

 「人数多くて余計に大変じゃん。サンサンさー、想像してみなよ。何か忘れ物したとか、怪我、病気、迷子になったとか地震とか、とにかく何か困った事が起きた時、全部最終的には保護者が背負い込むんだよ。お友達のお母さんにそれをさせるの?ママは無理。却下。」

 「うー。」

 「親の許可が得られなかった、で断りなさい。」

三男はちょっと不貞腐れ気味に、でも「はい」と返事をする。態度が悪いことを注意しようと思って、やめた。まだ中学生だもんね。このくらいは大目に見ようではないか。この話はこれで終わった、この時私はそう思っていた。


 数日後、学校から帰った三男が「ただいまー。」と私に寄ってきて学校からのお手紙などを渡す。そのやり取りの最後に思い出したように小さな封筒を差し出してきた。

 「ママ、これ。何かお手紙だって。」

えー、やな予感。「サン君のお母様へ」ってかいてあるよ。封筒を受け取りつつ三男の顔を見るが彼は目を合わせようとしない。便箋を取り出して目を通す。


 『突然のお手紙で驚かせてしまった事と思います〜』

 綺麗な字で丁寧に綴られたお手紙だった。手書きの字が綺麗って素晴らしいよね。その上文章も美しかったので、私の中でその手紙の主の〇〇君のお母さんのイメージは『美しい人』。

 手紙の内容は、『自分の息子がどうしてもサン君と一緒にディズニーランドに行きたいと言っている。かかる費用はこちらで負担するので、お家の都合はあると思うが何とか許可いただけないか。』というものだ。内容ね。本文はもっと綺麗だし丁寧で、私には復元できない。


 すごいなー、と思う。 この人何でこんな事するんだろう、とも思う。

 頭に浮かぶのは『家が貧しくて修学旅行に参加できない生徒と、それに胸を痛める教師が保護者に交渉する』絵だ。いや、もちろんこのお母さんが『お金の問題』と思ってこの手紙を書いたとは思わない。駄目だというのを押しての交渉だからという事なのだろうが、面倒なことになった。断り難いではないか。そして、チラチラとこちらの様子を窺う三男に腹が立つ。


 「サンサンさー、これ内容知ってる?まさかと思うけど、あなたがお願いしたんじゃないよね?」」

手紙を三男に差し出して読ませると、彼はブンブン首を振って否定した。

 「ママは駄目って言ったよね。どういう断り方したらこういう手紙が来るのかな。」

 「え、親がダメって。」

 「だよね。親が駄目って言ったから、それでその話は終わり。でも、行きたいなーとか友達に言ってたんじゃないの?だからお友達が何とかしようとしてこんなことになってるんじゃない?」

 「あー。はい。言ってたかも、です。」

何か僕怒られてるの?というような顔でボーっと立ってる三男にイラっとくる。


 「誰が行きたいの?」 

 「僕が行きたいです。」

 「何で『行きたいなー』って言ってるだけで何にもしないサンサンの為にお友達が親にお願いしてんの?何でお友達の親がこんな労を取ってんの?」

 「え」

 「行きたい本人のあなたが、親を説得する努力をするべきなんじゃないんですか?何で人にやらせてんの?自分の望みを叶えるのに他人を動かして自分は知らんフリ、自覚も無いなら良心の呵責も無いんだよね?卑怯じゃない?」

畳み掛ける私に、少し考え込んで迷うように答える。

 「説得って言ってもさ、ママは駄目って言ったら駄目じゃん。」


 「当たり前。理由も無く言ってんじゃないんだから。それでも説得する他無いならそれはあなたがするべきでは?少なくともあなたの知らない所でお友達のお母さんが頑張るような事では無いよねえ、幼稚園児じゃあるまいし。」

 「説得って。えっと、行かせてください。」

甘ったれの末っ子パワー炸裂だ。説得って。

 

 「駄目っつってんじゃん、バカなの?」

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