次男の入寮 −6
4月2日。入学式を翌日に控えて、次男が仙台へ向けて出発した。高速バスの旅。15時過ぎに「無事寮に着きました」と連絡があった。
入学式の会場はカメイアリーナ仙台(仙台市体育館)。家族で観ていた『ハイキュー!!』を思い出して胸熱だ。長男も次男もうんち君でスポーツもスポーツアニメも興味無いが、『ハイキュー!!』だけは観ていた。「バレーやってみたい」にはならなかったけど。
入学式当日。
8時半〜9時50分の入場に合わせて次男とは8時半に現地で待ち合わせ。夫と私は朝4時に家を出た。春感皆無でライナー付きのコートで全く問題無し。通常フォーマルだと天候(新潟においては入学式は十分寒いし、卒業式なら雪があることも少なくないのでコートと靴が大問題)が物凄く気になる所だが、入学式の参列に『入学者一名につき保護者一名』の制限があるため夫に任せて車でお留守番だ。なので、どーでもいい格好で楽ちん。
「入学式に出ない」「出来れば出たくない」と言うと、周りの人達からの賛意はほぼ得られない。さすがに私も幼稚園と小学校の入学式・卒業式はやる気満々で出席だったが、上二人が中〜高校時コロナ禍でセレモニーの保護者不参加が続いた時思ったのだ。「コレでいいじゃん。」
息子達も小さいが私は更に小さいので、ほとんど前の人の頭しか見えないし。名前を呼ばれた息子が返事をする「はい!」でしか彼を認識する事ができない。まして大学。五千人をこえる入学者の何処かに息子がいるはず(発見出来ないけど)、って。『其処に居たい』という気持ちにはならないかなあ。本人達には大事にしてほしいけど。
最寄りの駅の駐車場に車を停めて会場まで一緒に向かう。駅を越えると一面ほぼ黒い人並みが同じ方向に流れて行くので、流れに乗って進んだ。すんごい人。
会場入口付近まで辿り着くと、受付とは別の人垣(と思ったら、後ろに延々と続く長蛇の列)が。「何だろうね?」と夫とキョロキョロ(夫も小さめなので)していると、職員らしき方からアナウンス。
「入学式の看板と記念撮影ご希望の皆様、入学式終了後も時間とりますので入場して下さい。」
だって。記念撮影待ちの列だった。そういえば、幼稚園から高校まで、入学・卒業式だけではなく展覧会、発表会、体育祭、文化祭とあらゆる行事で見られた景色だ。『看板と私(とか息子)』の写真は欲しいと思った事は無いので、列に並ばずに済んでラッキー。
「あ!ニーニーいた!おーい。ニーニー。」
次男を見つけたらしい夫について行くと、スーツにダウンジャケットを羽織った次男を発見。まあね、寒いし。みんな着てるんだけど、スーツ姿を見たかった母心が可哀想。
「ニーニー、大学入学おめでとう。」
「ありがとう。入学式これからだけどね。」
「じゃあ中入るから、ママお留守番宜しく。車から離れる時はロックしてね。」
言われなくても鍵くらい掛けるが、まあいいや。手を振って二人と別れ、駐車場に戻った。暫く読書タイム。
車に戻って読書すること2時間弱で夫が戻ってきた。
どうだった?と聞くと開口一番
「話が長え!」
中に入って別れた後はやはりもう次男を発見できなかったそうで、話を聞いてるしかないけど然程面白くなかったと溢す。セレモニーに向かない夫婦だ。
「ニーニーは?」
「オリエンテーションが1時間くらい掛かるって。駅で待ち合わせしてる。電車乗って仙台駅周りでお昼食べよう。」
「ニーニー何が食べたいとか言ってた?」
「牛タン。」おお。
次男と合流して牛タン食べた後、車に戻って寮に向かう。途中次男の希望でスーパーに寄り食材を購入。食パンとヨーグルト、ハム、レタス。
離乳食が終わって以降、平日の朝食は基本的にパン。ほぼ食パン。スペースが大小4つに分かれた子ども用のメラミン(多分)のプレートに、大きい2箇所はおかず(ハムか目玉焼き/オムレツ、野菜)とパン。小さい2箇所にフルーツ(圧倒的にバナナ多し)とプレーンヨーグルトを盛ってオリゴ糖を掛けて完成だ。次男は高校生になってから、違うな、長男が大学生になって家にいなくなってから、お弁当を作る私の後ろで自分と弟の朝食を準備するようになった。手伝わせれば良いのにと思うが、弟の事はなぜか起こさず放置。ちなみに夫は朝食べないし、私は豆乳ヨーグルトだけなのでイジワルされているわけではない。
毎朝簡単な物ばっかり食べさせてたなーとしんみりするが、一人になっても同じ感じで過ごしているのを見ると『続けやすくて良かった』と思って良いのか?
メラミンのお皿は長男も次男も「これ便利だよねー、割れないし。」とそれぞれ持って行った。船とかヨットのイラストが可愛いお子様プレートで朝食を食べるもさっとした大学生。ふ。
寮に着いて、買った食材と追加で家から持って来た荷物を部屋に運び込む。まだまだ寮生の引っ越しは落ち着かないようで、大量の荷物が積まれたまま、というか先日見た時より多い気がする。今日入学式なのに、これからが本番的な?
やっぱりね。そうだろうと夫と話していたけれど、思った通り全然部屋が片付いてない。段ボールは床に転がってるし、ビニール袋は散乱。物は取り敢えず自分が使わない方のベッドに上げとけ、という状態。ごちゃごちゃと物の積まれたベッドに目を奪われたが、落ち着いて次男のベッドを見ると何かおかしい。
「ニーニー、マットレスは?」
畳ベッドの上には綿麻パッドシーツとかけ布団(最近よく見る毛布みたいな、めっちゃ暖かくて洗えるやつ)がもしゃっと巣穴チックに置いてある。コイツまさか、畳にシーツで寝たのか?
「え?コレじゃないの?コレしか無かったけど」
「コレはパッドシーツだねえ。マットレスに見えるか?これで寝たの?眠れた?」
寒いし、背中も痛いだろうに
「眠れたよ。フリース着たら意外と寒くなかった。」
なんか得意げに言うが、寒かったんじゃん。
「何日に何が何点届く、ってメモ渡したでしょ。ちゃんと確認して、無いなら無いで何とかしなきゃでしょ。」
「メモは、あー、はい。すみません。」
荷物を探しに行くと、ちゃんと全部あった。安定のニーニークオリティ。
軽くお説教してベッド周りだけ一緒に整えた。何日も検討に検討を重ねて選んだ『蒸れない、温かい、イージーケア』な寝具を堪能してほしい。後の片付けは自分でしっかりやれ。そうして次男を残し、家路についた。
寮費700円は大学に納入する寄宿料で、水道光熱費含む諸経費込みで大体月1万2千円。
「この寮に住むのがバイト」という寮生もいるとか。
一年の夏休みに帰省してきた次男が「寮で流しそうめんやった」と写真を見せてくれた。
竹で組まれた巨大な装置に、2階の窓からそうめんを流している。装置はもちろん自分達の自作で、角度が急すぎて『流す』より『落とす』に見える。写真のせい?
なんにせよ、楽しそうで何よりだ。




