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不幸少女は、二度目の人生で勇者を救いたい  作者: 梅道
第2部 亡き王女との約束 第2章 殺人事件
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容疑者

治安官「な、なんだと……ダークエルフ!!」


その言葉が落ちた瞬間、 宿屋の空気はまるで氷のように冷たく張り詰めた。

誰もが息を呑み、廊下の薄暗い灯りが不気味に揺れる。


獣人の男が、喉の奥で低くつぶやいた。

獣人の男「……ダークエルフ、じゃあ、そいつが犯人だな」


その声音は恐怖と偏見が混じったものだった。


アイカ「はぁ?なんでダークエルフだから犯人になるんだよ?」

アイカの声は怒りを含んでいたが、 周囲の空気はその正論すら押し返すほど重い。


ドワーフの男は腕を組み、鼻で笑った。

ドワーフの男「ダークエルフってのは悪の種族だぞ。 だいたい悪いことの原因はあいつらなんだ」


その言葉は、長年の偏見が染みついた石のように重かった。


アイカは眉をひそめ、静かに言った。

アイカ「……それは、嫌だな。 もしそのダークエルフが無実だったらどうすんだよ」


サクナはアイカを見つめ、ふわりと微笑んだ。


ドワーフの男は「何言ってんだこいつ」という顔でアイカを見る。


治安官は咳払いし、声を張り上げた。

治安官「そのダークエルフの女性はどこにいるんです!」


宿屋夫婦の夫が、廊下の奥を指さす。

その指は震えていない。むしろ、どこか“誘導するような”静けさがあった。


宿屋夫婦の夫「……部屋にいるはずです。事件の直前、姿を見かけました」


アイカはその言い方に違和感を覚えた。

アイカ(なんか……わざとらしい。 まるで、最初から彼女を犯人にしたいみたいだ)


治安官は部下に指示を出し、廊下の奥へ向かう。


その瞬間


廊下の奥の扉が、 ぎ……と、古い蝶番を鳴らしながらゆっくりと開いた。

薄暗い部屋の中から現れたのは、 青い髪を肩まで垂らしたダークエルフの女性だった。

青髪が揺れ、 震える手で扉を押さえながら、怯えた瞳でこちらを見ている。


その瞳は、 「助けて」と「怖い」が同時に溢れていた。


ダークエルフの女性「……あの……わ、私……」


その声は細く、今にも消えそうだった。

アイカはその瞬間、完全にフリーズした。

ダークエルフの女性の顔が、かつて護衛していた、

今は亡きソフィア姫とあまりにも似ていたから。


アイカ(……ソフィア姫……? いや、そんなはず……でも……似すぎてる)


胸の奥がぎゅっと締め付けられ、 懐かしさと痛みが一気に押し寄せた。


治安官「お前が!事件を起こしたのか!」

怒号が廊下に響く。


ダークエルフの女性はびくっと肩を震わせた。

ダークエルフの女性「……あの……わ、私……」


サクナは思わず前に出た。

サクナ「待って。そんな言い方したら、怖がるよ」


その声は柔らかく、 怯えた少女の心にそっと触れるようだった。


ダークエルフの女性はサクナの声に反応し、 少しだけ目を見開いた。

ダークエルフの女性「……私……私は……殺してない……」


アイカ(声まで……すごく似てる…… こんなの……偶然で済むのか?)


サクナ「まずは事情聴取だよね、治安官殿」


治安官はハッとしたように背筋を伸ばした。

治安官「私としたことが!申し訳ない。 私は平等でなければいけない!ダークエルフのお嬢さん!」


治安官「お名前と、このエルフを恨んで殺した理由を聞かせてくれ」


サクナ「いや、どういう……ひどいよそれ」

サクナは呆れる。


ダークエルフの女性は震える声で言った。

ダークエルフの女性「……私……私は……殺してない……」


そして。


ダークエルフの女性「……私……私は……ソフィア……」


アイカの目が大きく開かれた。

アイカ(名前まで……同じだ…… これは……偶然なのか)

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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