王からのご褒美
魔王を討伐して数日がたった。
勇者パーティーは王の間へ呼び出され、玉座の前に並んでいた。
王は豪奢な椅子に腰かけ、ゆっくりと口を開く。
王「勇者よ」
王「娘であるサクナを魔王から救い出し」
王「そして魔王を倒した」
王「そんな世界の英雄に、我からご褒美をやろう」
アイカは慌てて手を振った。
アイカ「あ、大丈夫です」
王「遠慮するな」
アイカは黙るしかなかった。
王は満足げに笑い、玉座から身を乗り出す。
王「娘、サクナとの結婚を許す」
アイカ「なぁ!」
サクナ「お父様!! 私聞いてませんよ!」
王「サクナ。任せなさい」
サクナは任せられない顔をしていたが、王は気にしない。
そして王は、なぜかアイカへ向き直り、厳かに宣言した。
王「今日から君の名前はワクワクール9世と名乗るがよい」
※王の名はワクワクール8世である。
アイカ「申し訳ございません。私には心に決めた相手がいるので」
ナギが顔を赤くした。
王の間が静まり返る。
王「……わかった。サクナを正妻として、ナギを妾とする」
アイカ「いや、なんでそうなるの?」
その瞬間、衛兵ジミーが叫んだ。
ジミー「おい、王様にため口だと。殺すぞ!」
アイカ「物騒すぎるだろ!!」
サクナ「ジミー! 黙りなさい!」
ジミー「はい、姫様!」
王「……勇者よ。どうしてもだめか」
王「サクナは美人だぞ!」
王「性格もいい!!」
アイカ「私が愛する人は一人と決めているので」
バイオレット「ふっ、かっこいいこというぜ」
バイオレットは関心する。
マイマイ「ぶっふ――!!」
マイマイは笑いをこらえるのに失敗した。
アイカはマイマイをみて、顔を赤くした。
*
そして、夜になる。
王城の一室。
薄暗い灯りの中、王と衛兵ジミーがこそこそと向かい合っていた。
ジミー「王様、こんな夜中に呼び出して……何のご用ですか」
王は真剣な顔でうなずく。
王「勇者をハニートラップにかけるぞ」
ジミー「わかりました」
即答だった。
王「よし、まずは勇者の好みを再確認だ。幸が薄い顔で、背が低くて……」
ジミー「ナギ殿ですね」
王「そうだ。ならば」
王は拳を握りしめた。
王「幸が薄い顔の女を用意する!」
ジミー「了解しました!!」
王「あと背も低い女が理想だ!」
ジミー「承知しました!!」
王「あと不幸そうな雰囲気を全身から漂わせている者を!」
ジミー「了解しました!!」
王「あと人生で一度も報われたことがなさそうな者を!」
ジミー「了解しました!!」
王「あと――」
ジミー「王様、それただの不幸な人です」
王「勇者の好みだろうが!!」
ジミー「なるほど!!」
王「よし、明日までに“究極の不幸系美女”を探してまいれ!」
ジミー「ははぁ!!」
ジミーは勢いよく走り去った。
王は満足げにうなずく。
王「ふふ……これで勇者をおどして、サクナと結婚させるぞ……!」
王「ワクワクール家の繁栄は約束された……!」
王「そして、孫の顔を拝めれる」
王はひとりニヤニヤと笑った。
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