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不幸少女は、二度目の人生で勇者を救いたい  作者: 梅道
第1部 魔王退治 第7章 勇者処刑
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死ぬのはどっちだ。魔王?勇者?

王は驚愕していた。

娘であるサクナが男である勇者に告白したのだ。


サクナは王の跡を継ぐため、幼いころから剣術と教養を叩き込まれ、

男の子の服を着て、男として育てられてきた。

本当は、女の子として自由に生きてほしかった。

だが、サクナは「王になるため」に自分を偽り続けてきた。

そんなサクナが、処刑台の上の“勇者アイカ”に向かって叫んだ。


サクナ「勇者は僕の大切な人だ。僕は勇者と一緒に生きるんだ」


告白以外の何物でもない。


王 (これ……孫の顔を拝めるチャンスじゃないのか……?)


王は目を閉じて必死に考える。

王 (だが勇者は城で暴れ、今まさに処刑されようとしている…… なんとか止めないと……しかし処刑と言い出したのは私だ……)


葛藤しながら目を開けた王は、そこで異様な光景を目にした。


勇者アイカが二人いる。


処刑台の上で、アイカに化けて記憶を失っている魔王がぽつりとつぶやく。


魔王「おれが……おれがいる」


本物のアイカが叫ぶ。

アイカ「おれが本物だ!!!」


処刑場は一瞬で大混乱に陥った。


国民「おい、勇者が増えたぞ!」

国民「どっちが本物なんだ!」



勇者アイカの仲間であるサクナたちですら、状況をまったく理解できていなかった。


バイオレット「どういうことだ!!!」


マイマイ「ええええええええええええ!!」


サクナは先ほど突然現れた“もう一人のアイカ”を見る。

その後ろにはナギとメイメイがいる。


サクナ(あ、メイメイがいるこっちが偽物だ)

※本物のアイカである。


王は混乱の中、声を張り上げた。


王「本物のアイカなら、一緒に旅をしていた仲間。サクナ、聖女殿、杖の人との思い出を語れるはずだ!」


サクナ「そうですね!」


バイオレット「杖の人って、ひどくない」


王「ではまず……」


王「サクナと結婚できるか?」


処刑場「………………」


サクナ「お父様ぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」

サクナは顔を真っ赤にして叫ぶ。


王「大事な話なんだ。黙ってなさい。」

王は妙に真剣である。


アイカはナギを見つめた。

アイカ「俺は、ナギ一筋だから。」


ナギは頬を染めてアイカを見返す。

ナギ「アイカ君……」


王「あやしいなぁ」

王は舌打ちした。


魔王はその様子を見て、心底嫌そうに吐き捨てる。

魔王「反吐が出るぜ」

魔王は地面に唾を吐いた。


王「そっちの勇者はどうなんだ?」


魔王は胸を張って答えた。


魔王「私は、女なら基本だれでもいいです」


王「………」


処刑場「………………」


処刑場の空気が一瞬で凍りつく。


王「よし、次だ」


王は気を取り直し、もう一人の勇者、本物のアイカへ向き直る。


王「君の好きな女性のタイプは? 具体的に言え」


アイカは真顔で答えた。


アイカ「幸が薄い顔。自分より背の低い女性」


王「おまえ、偽物じゃないか?」

即答だった。


サクナ「なんで!?」


王「娘のことを何も分かっていない」


サクナ「私のことを基準にしてるんですか!?」


魔王はすかさず口を挟む。


魔王「できれば美人がいいです」


王「本物かも?」


王は魔王を見つめる。

魔王は自信満々にうなずいた。


王「………………」


王は長い沈黙のあと、本気で悩み始めた。

そして、ついに答えを出した。


王「よし、あとから現れた勇者が偽物だ。殺せ」


サクナ「えええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!」


アイカ「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


サクナとアイカは同時に叫んだ。


サクナ「お父様!! 私にも質問させてください!」


王「……わかった」


サクナは深く息を整え、真剣な瞳で二人の“勇者”を見つめた。


サクナ「あなたが、私と初めて出会った場所はどこ?」


アイカが答えようとした瞬間、サクナはアイカに向かってウィンクする。

そして、処刑台に固定された“もう一人のアイカ”を指さした。


サクナ「そっちから答えて」


魔王は自信満々に言った。


魔王「魔王城?」


サクナはすぐに本物のアイカへ向き直る。


サクナ「あなたは?」


アイカ「賭博場の外」


サクナは柔らかく微笑んだ。


サクナ「君が本物だね」


次の瞬間、サクナは剣を抜き放ち、処刑台へ跳び上がった。


一閃。


魔王の首が落ち、転がりながら醜い魔族の顔へと変わっていく。


魔王は討伐された。


国民は息を呑み、誰もがその場で動けなかった。

サクナは剣を収め、アイカの方へ静かに振り返る。

アイカはようやく、胸の奥の緊張がほどけていくのを感じた。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

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