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不幸少女は、二度目の人生で勇者を救いたい  作者: 梅道
第5章 魔王軍四天王リョウキ(回復を操る魔族) 編
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30.魔王のお嫁さん候補

ナギを乗せたタイガーたち魔王軍は、闇の奥へと消えていく。

その背中が見えた瞬間、アイカの胸が焼けるように痛んだ。


アイカ「ナギ!!」


叫びと同時に地面を蹴る。 土が爆ぜ、アイカの身体は矢のように前へ


だが。


大地が震え、巨大な影が目の前に落ちた。


土煙が渦を巻き、視界を覆う。 風が止み、煙が晴れた時

そこに立っていたのは、身長五メートルを超える巨躯。

魔王軍四天王、リョウキ。


腕を組み、まるで散歩の途中で人間を見つけたかのような余裕の笑み。


リョウキ「行かせるわけないだろう」


その一言で、アイカの怒りが爆発した。


アイカ「どけぇぇぇぇぇ!!」


叫びと同時に地面が砕け、アイカは一直線に突撃。

振り抜いた拳は雷鳴のような轟音を生む。

だがリョウキは避けない。 むしろ、楽しむように拳を合わせてきた。


ドゴォォォォン!!


衝撃波が大地を揺らし、瓦礫が跳ね上がる。

アイカの身体は吹き飛ぶが、転がりながらもすぐに立ち上がった。


アイカ「まだだ!!」


再び突撃。 拳と拳がぶつかり合い、火花のような衝撃が散る。


拳。

拳。

拳。


肉と肉がぶつかる音が夜に響く。


だが、違和感。

リョウキは笑っていた。


ナギは確保した。 焦る必要はない。

むしろ、勇者がどこまでやれるのか“試している”。


数十発。 いや、それ以上の拳が交差した後

リョウキの拳が、アイカの腹に深く突き刺さった。


ドガァァァン!!


アイカの身体が地面に叩きつけられ、巨大なクレーターが生まれる。


リョウキ「弱いな」


冷たい声が落ちる。


アイカ「ぐっ……!」


肺が潰れそうな痛み。

それでも立ち上がろうとするアイカの瞳には、怒りと焦りが混じっていた。


その時


銀色の閃光が夜を裂いた。


サクナ姫「えいいい!!」


サクナ姫の叫びと共に、剣が弧を描く。 リョウキの肩から胸にかけて深い傷が走った。


だが。


傷口はみるみる塞がっていく。


サクナ姫「やっぱり……!」


サクナ姫の表情が険しくなる。


リョウキ「再生能力持ちなんでな」


リョウキは軽く肩を回し、再び構えた。


剣と拳が激突し、轟音が夜空に響く。 戦いながら、サクナ姫は叫ぶ。


サクナ姫「なぜナギちゃんを狙う!!」


リョウキ「ん?」


リョウキは当然のように答えた。


リョウキ「魔王様と結婚させて、女王様にするためだ」


……沈黙。

空気が凍りつく。


アイカ「……は?」


サクナ「え?」


バイオレット「は?」


マイマイ「は?」


アイカ、サクナ、バイオレット、マイマイが同時に固まる。


リョウキは首を傾げた。


リョウキ「魔王様ならそうするさぁ。なぁ、メイメイ!!」


全員の視線がメイメイへ向く。 メイメイは困った顔で小さく肩をすくめた。


メイメイ「わからないけど……その可能性は高い」


アイカ「どういうことだよ!」


アイカが怒鳴るが、メイメイは黙り込む。


アイカ「答えろ!! メイメイ!!」


しばらくの沈黙の後、観念したように口を開いた。


メイメイ「かつて、魔王様は人間の女に恋をしていた」


サクナが息を呑む。

空気が重く沈む。


メイメイ「でも種族の壁があった。 その女は別の男と結婚して……幸せな家庭を築いたんだ」


リョウキは静かに聞いている。


メイメイ「魔王様は、その女と子孫に“未来永劫続く呪い”をかけた。 そして、その血を引く子孫がナギちゃんだ」


アイカは言葉を失う。


アイカ「そ..」


アイカ「それでどうして結婚になるんだ!!」


アイカの叫びに、メイメイは少し考えてから答えた。


メイメイ「魔王様はな……心に空いた穴を埋めるものを、ずっと探している。 自分が恋した女と幸せになった男……魔王様は、その男になりたかったんだと思う」


リョウキ「うん。俺もそう思うぜ」


リョウキが大きく頷く。


アイカ「ふざけるな!! ナギの意思はどうなる!!」


アイカの怒号に、リョウキはふと真顔になった。


リョウキ「運がない。……なんて不幸な少女なんだろうな」


アイカ「てめぇぇぇぇ!!」


怒りの拳がリョウキの顔面を捉えた。


ドゴォォォン!!


巨体が吹き飛ぶ。 だがすぐに立ち上がり、嬉しそうに笑った。


リョウキ「やるじゃん!!」


その時、バイオレットが手を挙げる。


バイオレット「ちょっと待て。 そもそも魔族と人間じゃ子供は生まれないだろ? その計画、根本から無理じゃね?」


リョウキは腹を抱えて笑い出した。


リョウキ「フフフ…… ハハハハハ!!」


リョウキ「さっきタイガーっていただろ? あいつは人間と魔族のハーフだ」


全員が固まる。


サクナ姫「そんな……」


マイマイ「ありえません……」


バイオレット「私の知識でも聞いたことがないぞ!?」


リョウキは夜空を見上げた。


リョウキ「俺もそう思ってた。 でも実在したんだよ。 きっと世界で初めてのイレギュラーだ」


そして両手を広げる。


リョウキ「子供が生まれるってことは―― 人間と魔族は、もともと同じ祖先を持っているのかもしれない。 魔族と人間。 エルフ、ドワーフ、小人、獣人。 本当は分かり合えるのかもしれない」


リョウキの瞳が危険なほど輝く。


リョウキ「そして、魔王様とナギの子供が生まれた時。 この世界の常識は壊れる。 何が起きるかわからなくなる」


両手を天へ掲げ、叫ぶ。


リョウキ「なんてワクワクするんだ!!」


夜空に、狂気じみた笑い声が響き渡った。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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