不幸少女はタイムリープをする
女性は震える声で問いかけた。
女性「……いま、私に何をしたのですか?」
魔王は冷たく笑った。
魔王「呪いをかけた。 お前の血を引く子孫は、必ず不幸な人生を歩む。そういう呪いだ」
その言葉は、未来へと続く長い闇の始まりだった。
*
数百年後。
魔王の呪いは途切れることなく続き、 ひとりの少女の人生を容赦なく蝕んでいた。
少女は生まれた瞬間から運が悪かった。
両親を目の前で殺され、 スラム街でひとり生きるしかなかった。
世界は冷たく、残酷で、 少女に微笑みかけるものは何ひとつなかった。
あの日、あの少年に出会うまでは。
少年は異世界から来たという、不思議な存在だった。
彼と過ごす時間だけが、少女にとっての“幸せ”だった。
けれど、その幸せは長くは続かない。
ある日、少女は奴隷商人に誘拐されてしまう。
少年は必死に少女を探し回った。
その行動がきっかけで、 少年が異世界から来た勇者であることが王に知られてしまう。
少年は魔王討伐を命じられた。
そして、 魔王との激しい戦いの後遺症により、少年は命を落とした。
少女は、すべてを失った。
胸にぽっかりと穴が空いたような感覚。
世界から色が消えたような錯覚。
気づけば、涙が頬を伝っていた。
声が枯れるほど叫んでも、少年はもう戻らない。
少女にできたのは、 少年のために小さな墓を建てることだけだった。
それから少女は、毎日のように墓を訪れた。
雨の日も、風の日も。 ただ静かに、語りかけるように。
何年も。 何十年も。
気づけば、少女だった彼女の背中は丸くなり、 白い髪が増えていた。
それでも墓の前に立ち続けた。 あの少年を忘れたくなかった。
寿命の終わりが近づいたある日、 彼女は静かに自分の人生を振り返る。
「もう一度……会いたい」
頬を伝う一筋の涙。
やがて、彼女の呼吸は静かに止まり、 長い人生は幕を下ろした。
* ** ***
死んだはずの彼女は、意識を取り戻した。
視界に広がるのは、見覚えのある薄暗い空間。 鉄格子に囲まれた檻。
「……ここ、は……?」
腕を動かそうとすると、じゃらりと鎖が鳴る。
手首には枷。 そして、自分の手が…やけに若い。
「……過去に戻ってる?」
思わず息をのむ。
少女は周囲を見渡し、記憶が一気に蘇る。
「ここは……奴隷市場。 私が誘拐されて、売られそうになった……あの日の前日……?」
その瞬間。
ガタンッ!
何かが倒れる音が響いた。
少女は反射的に顔を上げる。
そこに立っていたのは、ずっと会いたかった少年だった。
黒髪黒目の少年。 彼の名前はアイカ。
「……アイカ君……アイカ君?」
アイカ「ナギ!!」
少年が叫びながら駆け寄ってくる。
アイカ「助けに来た!!」
その声を聞いた瞬間、 胸がぎゅっと締めつけられた。
震える唇から、か細い声がこぼれる。
ナギ「……会いたかった……」
アイカは迷わず手を伸ばした。
その瞬間
奴隷商人「動くな!」
檻の影から、彼女を誘拐した男が現れ、 ピストルを構えた。
ナギ「アイカ君!!危ない!!」
銃声が鳴り響いた。
アイカの頭に弾丸が当たる。
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