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不幸少女は、二度目の人生で勇者を救いたい  作者: 梅道
第1章 人生やり直し 編
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プロローグ 魔王復活

この世界は二つに分かれていた。


人間たちが暮らす《人間界》。

そして、魔族のみが住まう《魔界》。


人間界には、人間だけではなく、エルフやドワーフなど様々な種族が存在し、豊かな自然と文化を築いていた。


一方の魔界は違う。

空は常に灰色に濁り、大地はひび割れ、黒い瘴気が漂う死の世界。

作物は育たず、水は毒に汚染され、力なき者は生き延びることすらできない。


そんな過酷な世界で生きる魔族たちは、ずっと憧れていた。


人間界に。


そして、長き絶望の時代の果てに、一人の“異端”が現れた。


その魔族は、他を圧倒する力を持っていた。

すべてを薙ぎ払い、すべてをねじ伏せ、魔族たちを率いたその存在は、自らをこう名乗る。



魔王


魔王軍は人間界へ侵攻を開始した。


圧倒的な力の前に、人間たちはなすすべなく敗北していき、

城は落ち、国は滅び、世界は魔王のものとなる寸前だった。


だが、魔王に支配されかけた世界に、一筋の希望が現れる。


異世界から召喚された、四人の勇者。


彼らは人類の希望となり、魔王軍と激突した。


長き戦いの末。ついに勇者たちは魔王を討ち倒す。


世界は救われ、使命を果たした勇者たちは、それぞれ元の世界へ帰還していく。



一人の男を除いて。



その後、人間界には束の間の平和が訪れた。


誰もが信じていた。


これで終わったのだと。


だが、終わってなど、いなかった。


瘴気渦巻く魔界の最奥で、巨大な魔法陣が、赤黒く脈動していた。

逃げ帰った魔族たちは、禁忌に手を出したのだ。



魔王復活の儀。


必要なのは、一万人の魔族の命。

老いた者。幼い子供。傷ついた兵士。


無数の悲鳴が響き渡る。


命が、魔法陣へ吸い込まれていく。


だが、誰も儀式を止めなかった。止められなかった。


生きるためだ。


もう魔界は限界だった。


弱い者から死んでいく。明日を迎えられる保証すらない。


だから彼らは祈った。


どうか救ってくれ、と。


そして。


魔法陣の中心で、“何か”が目を開いた。


魔王「…………ここは」

低い声だった。


現れたのは、魔王だった。


その瞬間、魔族たちが歓喜に沸く。


「魔王様だ!!」


「魔王様が復活されたぞ!!」


「これで我らは救われる!!」


歓声が響く。


しかし、復活した魔王は困惑したように周囲を見回した。


「……魔王様?」


まるで、小鹿のようにゆらゆら揺れている。


魔王はゆっくりと胸を押さえる。


そして、苦しげに顔を歪めた。


魔王「……うっ、気持ち悪い……」


次の瞬間。


魔王「うう..げろげろげろ」


魔王の口元から、ゲロが漏れ出した。


魔王「ぐっ……!?」


激しい吐き気。膝をつく魔王。


そして。ぼとり、と。


口から“卵”が落ちた。


「……卵?」


それはダチョウの卵のように大きさだった。


さらに。


ぼとり。

ぼとり。

ぼとり。


合計四つ。


四つの卵が、床に転がる。


その直後。ぱきり、と乾いた音が響いた。


卵にひびが入る。


一つ、また一つ。殻が割れていく。


そして、生まれた。


「……おぎゃあ」

「……おぎゃああ」

「……おぎゃあ」

「……おぎゃあ」


四人の赤子。


その場にいた全員が理解した。

この赤子たちは、“普通ではない”。


魔王は、四人を見下ろしながら静かに問う。


魔王「……お前たちは、なんだ?」


すると。赤子たちの肉体が、みるみる変化していく。


小さな手足が伸び、骨格が膨れ上がり、一瞬にして成人の姿へと成長した。


魔族たちがどよめく。


「なっ……!?」

「一瞬で成長しただと……!?」


その中で。

一人のもじゃもじゃ頭の男が、優雅に一礼した。


「はじめまして、魔王様。私たちはあなたの感情から生まれた。最強の魔族です。」


芝居がかった口調で胸に手を当てる。


「まずは、我々の自己紹介をさせていただきます」


全裸のもじゃもじゃ男は不気味な笑みを浮かべた。


メイメイ「私は、メイメイ」

メイメイ「あなた様から生まれた、記憶を操る能力を持つ魔族です」


次の男が前へ出る。顔面が不細工だった。


ハラヤ「僕は、ハラヤ」

ハラヤ「人を感情をネガティブにさせる能力をもつ魔族です」


ねっとりした声だった。


続いて前に出たのは、どこか挙動のおかしい男だった。


ユウキュ「小生は、ユウキュなり」

ユウキュ「他人に憑依する能力をもつ魔族でござる」


最後に。5メートルを超える大男が前へ出る。


拳をボキボキ鳴らしながら、ニカッと笑った。


リョウキ「俺は、リョウキ!」

リョウキ「暴力が大大大好きな魔族だ!」

リョウキ「能力は回復。ほぼ不死身です。」


笑顔だった。

だが目が笑っていない。


「「「……」」」


沈黙。

誰も声を出せない。


魔王は、四人を見回した。


魔王「お、おおお……」


魔王は思わず後ずさった。


魔王 (私の体はどうなってしまったんだ?こんなバケモノたちをゲロを吐くように作りだして……)


魔王が戸惑う中、リョウキが一歩前へ出る。


リョウキ「魔王様、私たちにご命令をください」


魔王「命令?」


リョウキ「あなたの目的です」


魔王は息をのみ、そして。


魔王「人間を滅ぼしたい」


魔族たちが歓喜に沸いた。


だが、魔王も魔族たちもまだ知らない。

異世界に帰還したはずの勇者の一人がこの世界に残っていることを。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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