第12話「生意気な野郎は殴ってやんねぇと分かってくれねぇもんなのかなぁ」
その晩、萌香たちは風太のラーメン屋が構える和室の一間で寝て過ごすことに。昼間から陽が沈むまで遊び尽くしたからか、3人ともいびきをかいて寝ていた。襖をそっと開けた風太は「そっと開けなくても良かったか?」と微笑む。
襖を閉めた彼の顔つきは変わる。
彼はそのまま歩いて山奥にある芳香の墓のまえに立った。
「よぉ。そこに来ているのだろう? 野茂の娘さん?」
茂みからササッと音が。
振り返るとそこに塩塚萌々子がいた。腰に4本の刀をさしている彼女はみるに立派な無法者。だけど思ったよりも女の子という女の子に見えるのも正直な話だ。
「一人で来たか。親父と共に戦った英雄。見くびれない」
「相手は女の子だ。何人も連れて来る道理なんてないさ」
「それはオイラ達の方針に従うと言う意味でいいのか?」
「オイラ達?」
「あれ? 話が通じてないのか? 秋桜は本格的に再結成したのさ。かつて九尾たちと戦った同胞を集めてまた革命に臨む。今度は負けやしない。オイラ一人で九尾の首を斬ってやったのだからなぁ」
「は? 冗談はよせよ? 誰の墓の前でそういう話をしている?」
「おや? オイラをここに呼び寄せたのはアンタの筈なんだが?」
そう言って萌々子は柄を手に取りカチッと鳴らす。
「簡単な話だ。風太さん、オイラたちの戦争に参戦するかしないか。しないならしないでオイラも何もしねぇよ。それを止めようって言うならやるしかなくなる」
「へへっ……野茂の野郎……とんだ馬鹿を生みやがったな」
「馬鹿じゃねぇよ。狸だ。訂正しろ。で? どうする?」
「一発ぶん殴ってやるよ」
「正気か?」
「お前だろうが? 正気でないのは。ガキが夢をみて変えられるほど世の中ってヤツは甘くない」
「何にもしねぇなら平和に済む話なのになぁ……」
「強がるなよ。現実を知れ。阿婆擦れの娘がよう」
風太は拳を鳴らす。
空に溜まっている雲はこの時に溜まりあげた。
そしてそれは弾けるようにして大雨を降らす。
「ん?」
萌香は寝ていたが、虫の知らせを聞いたように目を覚ます。
「雨。そういえば雨が降るって天気予報で言っていたかな」
机のうえに手紙が置いてある。
目を擦りながらも彼女はその手紙に目をとおす。
眠気はすぐに吹っ飛んだ。
「はぁ……はぁ……」
降りしきる雨を浴びる中で萌香は走る。
走る。
彼女が墓場についてスグに彼女は目にした。
「パパ……」
そこにいたのは斬り捨てられた林風太。そして――
「お前さんが萌香か。父ちゃんに似ているなぁ」
塩塚萌々子も雨に打たれて待っていた。
「アンタが重道さんの……」
「おう。野生の勘でこっちに来たのだろうが、まぁ遅かったな。でも、アンタの父ちゃんは父ちゃんで筋を通した。立派な蛮狸だ。その生き様に免じて命ぐらい勘弁してやる。親子ともどもオイラに感謝――」
萌々子の顔面に強烈な拳が撃たれる。
続けさまに刀が振りおろされる。風太の前につきたてた刀だ。
だが、萌々子のすぐに抜刀して斬撃を防ぐ。
「コイツァ……どういうことだ? 息子がいて強い息子だって言うなら分かるが、お嬢さんでこの怪物感って言うのは随分と可笑しいなぁ……ウラァアアアッ!!!」
萌々子の一振りで萌香の体が宙に飛ばされる。
続けざまに今度は萌々子の斬撃が彼女を襲う。
が、刀には刀で応戦。
「随分と喧嘩慣れしているじゃねぇか。だけどなぁ、こんな田舎で威張っているぐらいじゃあ強いなんて言わねぇ。本当に強い奴は東京にくる。意味が分かるか? 殴るって言うのはなぁ……こういうのを言うんだよぉ!!!」
萌々子の拳が萌香の頬を撃つ。壁が壊れるほどの殴打で萌香は遂に倒された。
「オイラを殺すにゃあ優しすぎたな。ネーチャンよぉ」
そう言い残して彼女は立ち去る。
「パパ……パパ……」
這いずるようにして萌香は風太のもとへゆっくりとやってきたが。
伸ばした手は届かず意識が途絶えた――
激しいバトル回でした(#^.^#)
一応ネタバレを言っておくと萌香は死んでおりません(#^.^#)
幸い死ななくて済むって話なんですけども……まぁ次号(#^.^#)m9ドーン!!!




