第15話「さて、どう生きようか?」
ソラたちは風太のラーメン屋で待機し続けた。
いや、それまで周囲を調べまわったが、何も分かることなんてなかった。ソラにも高津にもこの地域の人脈なんてない。ただ2人で鬼北町周囲を散策して回るだけの行動に終始したと言っていい。
「万事尽きたわね。帰ろうか? 広島に戻って幕田さんに聞いて萌香を待つしかなさそうね」
「ハニーがそう言うなら僕もそうするしかないなー。幕田さんって誰?」
「教えない。ま、ここに残って板尾のことでも調べてみたらどう? アンタさ、五十嵐から何か頼まれていたりするんじゃないの?」
「僕はマイハニーを追いかけてきただけだよ! ボスならマイハニーたちの店の前に店をだすってことにしたのだけど、虫を楽しむカフェを作りたいという僕の意向を無視してきたから、しばらく彼と口を聞かないでもいるよ」
「ん? 店をだす? 私達の店の前?」
「あれ? 知らなかったの?」
「知らねぇよ!! なんて真似するの!?」
「わわっ! 僕の胸座を掴むなよ! 嬉しくってドキドキしちゃうじゃないか!」
「ちゃんと教えなさい! 店のまえに店をだすってどういうこと!」
そこに一人の男が現れる。
「いらっしゃいって僕は店の人じゃなかった! ハニー! その手を放して! 興奮して冷静に話せないじゃないか! 溜まらん! このシチュエーション!」
「あなたは……」
ソラは高津を手放す。
「まだいたのか。萌香なら帰ってこないぞ」
風太のラーメン屋店主。風太が帰ってきた。
「萌香は!? どうなったのですか!?」
「やばい野郎とやりあった。俺も死ぬところだったが、末廻組の連中に救われた。信じてくれないかもしれないが、そいつに俺も萌香も殺されかけた」
「風太さんが?」
「はは、相手がメスガキだと侮ったのがよくなかった。重道の血をひいている奴だからな。強くて当然だ」
風太はカウンターの席に深い溜息を吐きながら腰掛ける。
「水。だしましょうか?」
「いい。ここに来る前にチョット飲んできた」
「……落ち着いてからでいいです。落ち着いてからでいいですから、この四国で今何が起きているのか。これまで何があったのか。教えて貰える範囲でも教えて貰えないですか?」
「明日でいいか? 今の俺は飲み過ぎていけねぇ」
「わかりました。じゃ待ちますよ」
「マイハニー。僕はお風呂に入っていいかい?」
「勝手にしろ」
「堪らないぜ。ベイベ」
風太はそのまま眠りについた。
ソラは少し微笑みながらも、まだここにいるべきだと行動をとることに。
懐からだしたのは真っ赤な彼女のスマホ。
「もしもし」
『もしもしだい。おめぇさん、まだ帰ってきてねぇよい』
「ええ。思ったより大変なことになって。それよりCEAの虫野郎がついてきて。それで彼が言うにドロップアウトの店の前に店が建ったって言うのだけど……」
『おう。建ったよい』
「さらっと言うなよ」
『ジメッと言うべきかい?』
「いや、そうじゃなくて……目的が何なのかがハッキリしないのが気持ち悪くて。私達に対しての嫌がらせなのか偵察なのか……」
『何にしても心配するまい。こっちの客足は減ってないしさ、向こうは向こうで全く商売にもなってねぇよい。寂しいものだい』
「そう……わかった。でも、こっちは思ったより萌香のことで世話がかかりそうだから、しばらく店を頼むね。じゃ」
『おう。でも、深入りしすぎはよしとくよい。オメェはアイツの仲間であっても、家族じゃねぇよい。オメェが迷惑かけることがないようにしろい。あばよい』
ソラが電話を切る。
「家族か」
その言葉に何か重たくもフワッとした感触が。
いびきをかいて寝ている風太はどこか幸せそうだ。
でも、そうでもない気もする。
今晩の愛媛の空は澱んで暗い。
「雨が降りそう。カッパを着ておいて良かったなぁ」
黒い合羽に身を包むのは萌香。それともう1人。
彼女は今治の港町までやってきていた――
神門さんっていうラッパーさんがいて。こういう歌があるんですよね。
いや、本当は「さて、これからどう動こう?」ってサブタイだと思うんですけど、ソラの事や萌香の事を想像し物語を膨らますとこのサブタイなのですね。
さて、萌香は今治に来ました。もう1人とは誰かしら?次号(#^.^#)m9ドーン!!!




