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八章 姫、白黒を考える
「姫よ、先の話について考えを聞きたい。」
長の言う先の話とは、「合わせるように手を叩いたとき、音はどちらの手から鳴るか」という言葉が大国の宗教にあるが、その心は何か、というものである。
姫は答える。
仮に右手から鳴ったとしたら、世では、右手が大きかったからという議論になること。
左手が鳴っても同じこと。
右手と左手のどちらが大きいかと考えることは、得られるものがないこと。
それよりも、鳴った音が人をどう喜ばすかを考えたいこと。
世では、騒動が起きる度に、どちらの罪が重いかという議論ばかり起こり、罪の重い方を罰することで終わりとする風潮があること。
せめて、自分は民の暮らしを良くすることに専念したいと、姫は言う。
池に手を入れ、水の冷たさを感じている子狐の背を、姫は撫でるのであった。




