五章 姫、生を考える
「姫よ、先の話について考えを聞きたい。」
長の言う先の話とは、権力者は、何ゆえに不老不死を求めるか、というものである。
姫は答える。
やはり死が怖いこと。
権力者であれば、あの手この手で探す手段があるため、かえって死を受け入れることができないと、姫は言う。
「姫よ、では、死を受け入れているが、不老不死を求める者がいるなら、何ゆえか。」
姫は答える。
自分も他人もの死を受け入れている者は、心残りがあると考えられること。
それは自分にしか成し得ない場合であること。
きっと、託しそびれているもの…。
不老不死を求める権力者の話は、偉業を引き継ぐことのできる者は現れにくいという教えが込められているかもしれないと、姫は言う。
「姫よ、見事である。」
長は続ける。
聞いた話から何を学ぶかは、自分次第であること。
では、教えであるが、自分の老いを知り、周りを見渡せど、後を継げる者がいないという過ちは、賢者も犯すこと。
よって、姫には仲間を作ってもらいたいこと。
教える教わるの別は、先生に値する資格があるかのように見せ、資格が備わってから教えようという気持ちを起こし、機を逃すこと。
よって、仲間を作り、共に成すことを目指してほしいこと。
共に成せば、共に育つからであること。
しかし、仲間と出会うことが難しいため、出会ったと思ったときは、その手は離してはならないと、長は言う。
姫は、長と子狐の手を握るのであった。




