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三章 姫、形を考える
「姫よ、今日は形の話をしよう。」
長は、子狐をくすぐる姫を横目に、縁側に腰掛けた。
長は語る。
「天は丸く、地は四角い」という言葉が、狐族に伝わっていること。
これは、占いの役割を教えてくれること。
円と四角、それぞれの中心から境目にぶつかる線を何本か引き、長さを比べること。
円の中に書かれる線はどれも等しく、四角の中に引かれた線はどれも異なること。
この意味するところは、天から生まれるものは皆に行き渡り、地から生まれるものは偏りがあること。
天は占いや神話を生み、地は食べ物を生むこと。
地が無ければ生きられず、天がなければ息苦しいこと。
よって、天と地の両方があって、民は安らかに生きること。
占いもまた、腹ではなく胸を満たすと、長は言う。
「狐族の長よ、神話や民話といった物語は、民が求めるものなのか。」
「姫よ、そのとおりである。
加えるならば、神話に出てくる英雄もまた、民の栄養になる。」
子狐は、姫の膝の上で、寝息を立てるのであった。




