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二十八章 同志、軍起こしを考える
「同志よ、先の話について考えを聞きたい。」
姫の言う先の話とは、大国が攻めてきたとき、いかにして早く軍を起こすか、というものである。
この年、大国が隣の国に攻め込み、定石どおりこの国から軍を送っている。
しかし、隣の国が占領されなかったのは、隣の国の力であり、この国の軍は大国に蹴散らされている。
つまり、この戦は三国の内、この国の軍が最も弱いことを露呈するものであり、この国の軍の在り方を見直すことが急務のこととなっている。
同志は答える。
そもそも、この国に戦える者が何人いるのか分からないこと。
軍を起こす合図とともに、村々で兵を集めても、みな揃ったか否か、分かる方法がないこと。
これは、日頃から訓練すべしと帝が命を発しても、訓練が行き届いているか否かさえ、分からないこと。
よって、かねてから提案のある、民全員の名前を記している名簿を作ることが、軍を起こすときにも有用であると、同志は言う。
「同志よ、私は心の底から、そなたを同志と呼ぶ。
私も全く同じ考えである。」
「姫よ、私の頑張りがそなたに伝わっていることが分かり、喜ばしい限りである。」
二人の笑い声は、障子の向こうにいる女中にも届くのであった。




