二十五章 同志、師弟を考える
「同志よ、先の話について考えを聞きたい。」
姫の言う先の話とは、何ゆえに同志が姫を先生と呼んではならないのか、というものである。
「姫よ、何度考えても私には分からぬ。」
姫は答える。
占いをする者は、自分が神になったと勘違いするほどの力を得ること。
傲慢になることがあっては、目もくもり、引いては国難への策が練れないこと。
それでは、千年先の民の暮らしも覚束ないこと。
自分が仲間を集めているのは、天地人和合の教えを常に見据えていたいからであると、姫は言う。
「姫よ、そなたの話はいつ聞いても頭が下がる。
初めに聞いた話が、為政者の脅し方であったときより、ずっとである。」
姫は考えを巡らす。
同志ができたものの、いざ何から話すか考えていると、頭が真っ白になり、思い浮かんだことが、先に皇子を脅したことであったこと。
そのまま同志に伝えることは不味いので、為政者という言葉で濁すにいたったこと。
考えるに、これからの世に、この国の為政者が暗君であることもあり得るため、「暗君に仕えたとき、いかに対応するか」というお題を出したこと。
狐族の長の根気は凄いと、姫は思う。
また、姫は考えを巡らす。
約束どおり形だけの結婚の儀が終わり、姫が皇子と同じ部屋にいるときは、狐族の長との思い出を話すこと。
皇子は興味深く聞き、また政務の助言を姫に求めること。
国史編纂や国守りの策も、どうにか取り入れていきたいと言ってくれたこと。
また、自分の仲間に、大国の学問を修めた同志を、皇子が推薦してくれたこと。
長が、同志の身の回りを調べたところ、全く問題がなかったこと。
やっと仲間が増え出したと、姫は思う。
更に、姫は考えを巡らす。
姫のお題に分からないと言い続ける同志から、大国の話を聞くことも面白いこと。
長から学んだ占いは、大国のものと似て非なるものであること。
解釈において、和合の教えが大国では弱いこと。
国史を編纂するにあたり、この国には固有の文化や文字がなかったことにしても、やり繰りはできそうであること。
大国の文化を真似る形をとる限りは、妬まれずの教えに従い、目をつけられることはないこと。
仲間ができることは、自分の世界を広げてくれること。
同志とともに町に繰り出し、忍びに声をかけ、かの人々を知るようになったこと。
宮の外を肌で感じることが、姫の楽しみになっていること。
仲間が増えることは、本当に大事なことだと、姫は思う。




