表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
陰陽寮、創設する  作者: りょう
18/32

十八章 姫、祭りを考える

「姫よ、そのままで良いから、これから祭りを見に行こう。」

 姫は、何ゆえ人は厠に行くのかを哲学しながら、布団でモゾモゾしているところを、長に手をつかまれ、お姫様抱っこされる。

 長は、姫に毛皮をかけると、村の入り口まで歩き、立ち止まる。

 今日は豊穣祭のようである。

 村の広場で盛大に火をたき、その周りを、獣の面をつけた村人達が踊り歩く。

 火の明かりが届くか否かのところに、ご馳走が積まれている。

 ‐歌い踊れや、飲めや食え。交わる者に、神宿る。‐

「姫よ、私は吉と凶の違いを考えたことがある。

気づいたことは、昨日と同じ今日を過ごせることが吉なのだと。

日々異なる、でも変わりなく過ごし、また次の祭りで騒ぐ民の暮らしを守ることが、私の使命かもしれぬと。」

「姫よ、先の話で、そなたは人でなくなることが怖いと言っていた。

私が思うに、そなたは鳥かごから出ようとしているのだ。

鳥かごの中は不自由かもしれぬが、無知であっても安全である。

しかし、そなたは自由を求めた。

自分を守るかごから出ることは、危険にさらされる代わりに、まことの太陽の明るさを知る。」

「姫よ、どうか私と一緒に、鳥かごから出てくれぬか。

ここにいる民は、大国の脅威など知らぬ。

ましてや、鳥かごを守っている人がいるなど夢にも思わぬ。

いつかは人も狐族も、皆が鳥かごの外を知るべきときが来る。

しかし、今はまだそのときではない。

まず、外を知る者が必要である。

外の世界を語ることのできる者が、今は必要なのである。

後は何を言ったらよいのか。」

「狐族の長よ、私はそなたの手を離したことはない。

この人だと思い、手をつないだ日から、この想いは変わらぬ。

そなたも不器用であるな。」

 長は、きびすを返し、来た道を戻る。

 わずかな月明かりをも通さぬ森の道は真っ暗である。

 姫には、それでも道が先に伸びていることが分かる。

 長の胸に顔を埋めた。

 帰ると姫は、すぐに厠に行った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ